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今日はいよいよ美術史美術館を訪れる日。ヨーロッパ3大美術館のひとつという、由緒正しき美術館(本によって違うけど^^;)。考えただけでも胸が高鳴る。ホテルを出たのは9時すぎ、今日もなかり冷え込んでいる。昨日のなごり雪がところどころに見えるが、凍ってしまっていて、夜店のかき氷みたい。10時開館まで、辺りを探索。ブルク庭園でモーツァルト像を見て、再び王宮を眺める。そして、ほんのり雪をかぶったマリア・テレジア像を眺めていると、開館を待つ人々が集まってきた。 いよいよ入場。一歩足を踏み入れると、あまりに豪華な内部の装飾に驚くばかり。王宮が上品な趣きだとすると、こちらは壮麗なる極み。大理石をふんだんに使った、華やかかつ厳かな空間。ふきぬけの天井を見上げると、すいこまれそうなほどの美しい丸天井がのぞく。階段を上りつつ、踊り場には大きな彫刻たち、複雑な装飾の壁、天井の飾りにはクリムトの絵がそえられている。360度、この世のものとは思えぬ豪華さで、立ちすくんでしまいそうだ。建物の装飾が美しすぎて、肝心の絵にたどりつくまでに、かなりの時間がかかった。何とも不思議な美しさ・・・、そう、不思議。あまりにも豪華絢爛なのに、どうしてここまで品があるのか。これまでも豪華な宮殿など、たくさん見てきたのに、なぜかあの息の詰まる感じがしない。ウィーンの美的感覚がなせる技、そう、あまりにも美しくて不思議なくらいなのだ。 |
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天井の飾り//クリムトの絵画
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内部は、迷うほどの造りではなく、むしろこんなに小さいの、と思わせる構造なのに、すごい所有量なので驚く。そう、まるで四次元の世界みたいに。
胸を高鳴らせ、まずは特別展示場へ。うす暗い部屋の中、ミケランジェロ、ビットリア=コロンナ展が行われている。ミケランジェロの素描などを見ていると、イタリア恋しさで胸がいっぱいになった。 いよいよ、イタリア、スペイン、フランスの絵画コレクションの続き部屋へ。たくさんの絵画がつまった部屋に足を踏み入れるだけで、この上ない幸福感でいっぱいになった。天井の中心は大きく電灯のようになっていて、そのまわりを白彫刻の装飾が取り巻いている。ドアの上の金色の装飾も美しい。そして次々と現れる絵画には、ただもう息をのむばかり。ヴェロネーゼやジョルジョーネ、ティントレットなど、見知った画家の絵がずらっと並んでいて、目が離せない。『ダナエ』をはじめとするティツィアーノの名作や、ラファエロの聖母子像まであった。ブロンズィーノやカラヴァッジョ、ティエポロ、プッサン・・・、それこそ数え切れない。ヴェラスケスの絵も充実していて、青いドレスを着たマルゲリータ王女など、見所はつきない。しかも人も少なく、部屋には私のみ、ということもしばしばあり、自分の世界に没頭することができた。全く、こうしてすばらしい絵画を鑑賞していると、生きてて良かった、と心から思える。実際に目で見てこそ味わえるこの世界。じっくり時間をかけて鑑賞できた。 絵画コーナーの半分を見終えた時点で1時がすぎていた。興奮冷めやらぬまま、休憩をとることにした。カフェのある空間が、これまた信じられないほど豪華で、そわそわしてしまうほど。入口から上に見えたふきぬけの丸い穴からつきぬけた丸天井が堂々たる雰囲気をかもし出している。カフェでは、アップルストゥルドゥールとメランジュを注文した。ウィーンで絶対に口にしようと思っていたケーキだ。パリパリしたパイ生地に包まれたアップルパイ、程よい酸っぱさが濃厚なホイップクリームと良く合う。泡立てられたメランジュは、あまりカプチーノと変わらないかな、でも味はなかなか。パンフレットを読みながら、優雅なひとときを過ごすことができた。 1階、2階にあるショップへ立ち寄ると、様々な画集、ポストカード、アクセサリー等が並んでいる。いつか、絵画に書かれた女性がつけているアクセサリーのレプリカとか、欲しいな。今日はあくまでも下見だが、あれこれ見て回るだけでも楽しくて仕方がない。絵画の後半は後日の楽しみにとっておいて、1階のコレクションを見て回ることにしよう。 まず、古代エジプト−オリエントコレクションへ足を踏み入れる。色とりどりの文字の書かれたミイラの棺やパピルス、ファラオや神々の彫刻など、大英博物館を思い出させる。天井画や壁画もエジプトチックに描かれていて、何とも目に鮮やか。ギリシャ、ローマ彫刻の部屋には神々の像などが置かれていて、古代世界を感じる。広い一室は特にすばらしく、床や壁、天井の細部に渡ってギリシャ、ローマ的な装飾が施されていて、ぼーっとなるあまり、ちっとも前に進むことができない。再び、「不思議な美しさ」を感じた。 半分を越えると、彫刻、工芸コレクションに入る。バロックやロココ、マニエリスムのひときわゴージャスな品々が並ぶ。これでもか、といわんばかりに配された宝石がきらきら光り、心が奪われそうだ。タピストリーや時計など、豪華なものばかり、全く、さすがに世界に誇る美術館。コレクションの質の高さに感嘆せざるを得ない。ああ、ウィーンに来て良かった!叫びたくなりそうな満足感。3階もあるはずが、しまっているみたい?今日はここまでにしよう。 館内を出たのは5時すぎ頃、このまま帰るのも惜しい気がして、リンクを散策することに。いつも、王宮、オペラ座方面を通っていたので、今日は逆周りしてみよう。ギリシャ神殿さながらの美しい建物を前に、「アテネの泉」と呼ばれる女神像が勇ましくたたずんでいる。さらに進むと、ネオ・ゴシック風の市庁舎がそびえたっている。はるか天までのびる尖塔の、何と壮大なこと!尖塔の先と流れる雪の重なる部分を見上げていると、まるで建物自体が動いているように見え、感動で熱くなった。シンデレラ城さながらのスケールだ。 道路をはさんだ反対側には、ブルク劇場が見える。歴史を感じさせる美しい建物で、オペラ座よりも格調が高く見える。そして、さらに足を進めると、ヨーロッパの名門、ウィーン大学が。こちらも、大学とは思えない見事な外装だ。それにしても、見事な建物の上部には必ずといっていいほど人物像や天使像が下をのぞいていて、なぜだか緊張してしまう。さらに奥にあるのがヴォティーフ教会。ゴシック様式のギザギザの尖塔、複雑な多重スクロールには感激だ。内部はうす暗い石造だが、ステンドグラスの美しいこと、沈黙の中にも目がさめるようだ。色鮮やかな光を見ていると、まるで時間が止まったような気がしてくる。近くの本屋へよって、しばし時間を過ごした。ああ、あったまる。ワゴンセールで英語版ピーターパンを買う。 さて、そろそろ家路に着こうかな。外はやや薄く暗くなっていて、建物もほのかにライトアップされている。市庁舎のたくさんの窓からはぼうっとオレンジの光がもれていて、まさに舞踏会の最中のシンデレラ城。バルコニーから、王子様と王女様の姿が見えそうだ。ホテルに戻ると、冷えた体がとけてくよう。ああ、今日も最高でした!! |