昼過ぎから降り始めた雨も、夕方には上がってしまって。
二人で歩く帰り道。泥を跳ねないようにと言う名目で、のんびりと。
せっかく持ってきてくれた傘も、今はただのお荷物になってしまって。
「なに、古着屋でお茶飲んでただけだから」
「あのひと、最近紅茶にこだわり始めたって本当?」
「ああ、なんだか時計片手にえっらい手間かけてたよ」
「それで、どうだった?」
「…タバコ吸いながら飲むなって怒られた。でも、まぁ悪くは無かったかな」
「わたしも、今度行ってみようかしら」
「時間に余裕のあるときにしないと、大変だと思うよー。今日だけで6種類も飲まされたし」
「本当に、凝り性よねぇ」
「時間に余裕のあるヤツは羨ましいねぇ」
なんて言いながらも、彼が灰羽達に合わせて、色々な話題を用意している事を私たちは知っている。
今日、レキに紅茶を出したのも彼なりに何か考えての事。
夕日に染まる道筋で、そんなふうに思った。
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