"大阪臨床検査ISO15189研究会"発足について

 国際規格であるISO(International Organization for Standardization)から医療においてISO15189(臨床検査室質と適合能力に対する特定要求事項)が2003年2月に認定規格として制定されました。これによってわが国では、ISO15189を国内の臨床検査室に導入する方向で検討されてきました。
 
ISO15189の認定には、検査結果が非常に質の高い臨床検査室から発行されたものであるかを判断するための第3者からなる適合性評価機関が必要となります。そのため2003年12月から日本臨床検査標準協議会(JCCLS)と(財)日本適合性認定協会(JAB)が協力してISO15189に基づく臨床検査認定プログラム(審査委員の養成も含む)の開発を進めてきました。2005年度から臨床検査室認定プログラムの導入に向けて2004年10月にパイロット認定のための申請を受付け、2005年1月から審査を実施する予定です。
 ISO15189の認定はEUの臨床検査室で、義務づけられています。わが国では、現在のところISO15189の認定は強制されていない。しかし、アジア諸国(中国など)では、既にISO15189の認定作業が開始され取得する臨床検査室が増加しています。将来的には、臨床検査の質を保証する手段としてISO15189の認定が重要な価値を持つことは間違いないと予想されます。
 
現在、日本の病院における臨床検査部は、大変厳しい状況にあります。しかし、ISO15189が国際規格であり、世界の趨勢やアジアでのISO15189認定の進捗状況などを考慮すれば、乗り遅れないためにもISO15189認定プログラムを日本でも開始せざるを得ない状況と考えます。今後、日本で高く評価されている臨床検査室でもISO15189の認定施設でなければ臨床治験が、世界的に評価されない事態は避けなければなりません。
 このため臨床検査に携わる臨床検査専門医や臨床検査技師はISO15189を理解し、認定プログラムの審査に備えなければならないと思われます。そこで『大阪臨床検査ISO15189研究会』を立ち上げることになりました。

"大阪臨床検査ISO15189研究会"発起人  
大阪医科大学 臨床検査医学 教授 田窪孝行