商法改正―会社法―


 現在、代表的な会社形態として株式会社と有限会社があります。世間では、株式会社のほうがかっこうがいいといっていますが、税法上では、株式会社と有限会社に違いはなく、資本金額の違いなどで課税しています。 
 両者の違いは、株式会社では取締役の任期が2年で、登記をしないと罰金がかかるのですが、有限会社では任期は無制限となっていることなどです。
 平成17年3月22日に商法改正(会社法)法案が国会に提出されました。施行は平成18年4月1日を予定しています。この会社法の大きな特徴は、次のようなものです。


    ・最低資本金制度の撤廃
    ・有限会社の廃止及び株式会社への一本化




(1)最低資本金制度の撤廃

 現在、会社設立時に必要な最低資本金額は、株式会社が1,000万円、有限会社が300万円です。これが、18年4月以降は資本金の下限がなくなり、1円の資本金で会社を設立することが可能となります。
 これに伴い、新事業創出促進法の確認会社(いわゆる1円会社)という概念がなくなり、普通の会社となります。これに対する手続はまだ明確になっていません。




(2)有限会社の廃止及び株式会社への一本化

 18年4月以降、有限会社の設立はできなくなります。
なお、既存の有限会社は廃止されること無く、経過措置により継続可能です。ただ、継続期間は未定です。
 
 今回の商法改正では、新規設立でも株式会社となります。
 また、既存の有限会社についても、増資なしで株式会社となります。
 有限会社と株式会社の違いは下の図にまとめてありますが、株式会社の場合、取締役の任期が決まっていること、決算公告をすることなどがあげられます。




最後に、現在の会社と18年4月以降の会社の比較をしてみました。


(参考文献)週刊T&Amaster 4月25日号 No112 37頁


     <18年3月まで>
有限会社 株式会社
機 関 取締役会の設置 ×
取締役の員数 1人以上 3人以上
取締役の任期 無制限 2年
取締役の解任 普通決議 特別決議
監査役の設置 任意 1人以上
株 式 種類株の発行
株券の発行 ×
自己株式の取得
新株予約権の発行 ×
最低資本金 300万円 1,000万円
計算書類の公告 ×
株式交換 ×


     <18年4月以降>
株式会社(譲渡制限会社)
機 関 取締役会の設置 任意
取締役の員数 1人以上
取締役の任期 最長10年
取締役の解任 普通決議
監査役の設置 任意
株 式 種類株の発行
株券の発行
自己株式の取得
新株予約権の発行
最低資本金 1円
計算書類の公告
株式交換