【社員が結婚したときの社保・労働保険の手続き Q&A】

社員が結婚したときには、氏名変更等の手続きが発生することが一般的です。
この他、住所を変更する場合や退職する場合は、その旨の届出なども必要になります。
そこで、社員の結婚に伴い必要とされる届出に関してQ&A形式により説明します。
@ 結婚後も在社するが、夫の姓を名乗る
A 結婚退職後は働かない。失業給付を受けながら被扶養者となれるか
B 結婚退社の場合でも、失業給付を受けながら被扶養者になれるか
C 結婚による退職を理由に受給期間を延長できるか
D 退職後の医療保険はどうなる

@ 結婚後も在社するが、夫の姓を名乗る
【Question】
 女性社員のBさんが結婚します。当分は引き続き当社で働きます。Bさんの結婚に伴い会社が行わなければならない手続きを教えてください。なお、Bさんは夫の姓を名乗るそうです。
【Answer】
Bさんは結婚後、夫の姓に変わるようですので、社会保険事務所とハローワークに氏名変更の届出が必要となります。
(1) 社会保険事務所に届け出るもの

 @「健康保険・厚生年金保険氏名変更届」⇒健康保険被保険者証と年金手帳を添付して提出
   します。
  *健康保険被保険者証は自分で訂正してもよいとする社会保険事務所とシールを貼付後訂
  正する社会保険事務所があるようですので、事前に確認して手続きをした方がよいでしょう。
 A「厚生年金保険被保険者住所変更届」⇒住所が変わるときに提出します。


(2) ハローワークに届け出るもの

  「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」とBさんの雇用保険被保険者
 証を添付して「雇用保険被保険者氏名変更届」を提出すると、変更後の氏名が記載された事
 業主通知用と被保険者証が交付されます。


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A 結婚退職後は働かない。失業給付を受けながら被扶養者となれるか
【Question】
 6年間勤務したEさんは結婚のため退職しますが、当分の間働く意思はないそうです。Eさんは基本手当を受けながら夫になる人の被扶養者となることができますか。また、退職後に入籍した場合の雇用保険の氏名変更はどのようにすればよいのですか。
【Answer】
 Eさんは退職後働く意志がないようですので、雇用保険から失業給付(基本手当の支給)は行われません。
 したがって、夫の被扶養配偶者になることができます。
 失業給付を受けるには、受給資格を満たしている人が、住所地のハローワークに出かけ、離職票を提出して受給資格の決定を受けなければなりません。
 受給資格の決定とは、ハローワークがその人について、基本手当の受給資格があると認定することをいい、次のすべてに該当していることが要件です。

  @ 離職により被保険者資格喪失の確認を受けたこと
  A 労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること
  B 原則として離職の日以前1年間に雇用保険に加入した期間が通算して6ヶ月以上あること

 以上のことから、Eさんには基本手当は支給されないことになります。

  *Eさんが夫の被扶養配偶者になる場合は、夫の勤務している会社が、「被扶養者(異動)
    届」と「第3号被保険者関係届」を管轄社会保険事務所に提出します。

  *離職後1年以内に再就職する場合は、在職している会社と再就職先の会社の雇用保険
    の加入期間が通算されますので、当面は不要でも離職票は交付したほうがよいでしょう。

 次に、雇用保険の氏名変更ですが、将来Eさんが再就職したときに、「雇用保険被保険者資格取得届」により行うことができます。


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B 結婚退社の場合でも、失業給付を受けながら被扶養者になれるか
【Question】
 当社に4年間勤務したFさんが結婚のため退社します。Fさんは失業給付を受けながら被扶養者になることができますか。
【Answer】
 結婚退社の場合であっても、上記の3要件を満たしていれば、基本手当は支給されます。
 この基本手当日額が、3,611円未満(130万円を360日で割った金額)であれば被扶養者として認定されると思われます。


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C 結婚による退職を理由に受給期間を延長できるか
【Question】
 来月職場結婚するIさんが退職します。結婚後半年経過した頃から再び働きたいようです。Iさんのように結婚のため退職する場合、受給期間を延長することができますか。
【Answer】
 基本手当を受けられる期間(受給期間)は、離職日の翌日から起算して1年間が原則ですが、次のいずれかに該当する場合のみ、受給期間の延長(最大で受給期間が4年間となる)が認められます。

  @妊娠…産前6週間に限らず、本人が妊娠のために仕事に就くことができない旨を申し出た
    場合
  A出産…出産予定日の6週間前の日から出産後8週間を経過するまでの間
  B育児…3歳未満の子を養育する場合
  Cケガ又は病気の場合
  D常時本人の介護を必要とする場合の親族のケガ・病気、老衰、心身障害者の看病など

 したがって、Iさんの場合は、受給期間の延長は認められません。


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D 退職後の医療保険はどうなる
【Question】
 7年間勤務したKさんは、結婚退職後すぐに求職活動をするつもりのようです。退職後の医療保険について教えてください。
【Answer】
 Kさんの離職後の医療保険ですが、Kさんは失業給付を受けると思われますので被扶養者となることができません。任意継続保険者となり引き続き健康保険から給付を受けるか、あるいは国民健康保険の被保険者としての給付を受けることになります。

 (1) 任意継続被保険者となる場合
    任意継続被保険者資格取得申請書と次の書類を添付して、退職後20日以内に住所地の
    社会保険事務所に提出します。
   @被保険者資格を喪失したことを証明できる書類
    (被保険者資格喪失届の2枚目の被保険者資格喪失確認通知書のコピー、離職票、退
     職証明書など。以下同じ)
   A1ヶ月分の保険料
    (申請日により2ヶ月分徴収されることもありますので事前に確認した方がよいでしょう)
   B印鑑(朱肉のもの)


 (2) 国民健康保険の被保険者となる場合
    住所地の市区町村に、前掲(1)@とBを持参して手続きを行います。
   * 国民健康保険料を算定するため、その年の1月1日時点と退職時の住所が異なる場合
      は、前年中の所得の証明(源泉徴収票、確定申告書など)が必要になります。
   * すでに同一世帯に国民健康保険の被保険者がいる場合は、国民健康保険の被保険
      者証なお、保険料額や給付内容等については各市区町村により異なりますので担当
      窓口にお問い合わせください。


 一方、年金保険ですが、国民年金の第1号被保険者となりますので第2号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出が必要となります。この際、年金手帳の氏名変更を申し出て一緒に手続きを行ったほうがよいでしょう。また、雇用保険の氏名変更の届出は、ハローワークに求職の申込みを行うときに、その旨を申し出て行うことができます。
 ただし、住民票など書類の提示を求められることがありますので、事前に確認した方がよいでしょう。