【減価償却に関するQ&A】

減価償却は、固定資産の取得価額を各事業年度に費用配分する会計上の手続きですが、判断に迷うことが実務では多いようです。
そこで参考になりそうな以下の事例をQ&Aで示します。
@ 自動車の取得に伴う諸費用の取扱い
A 展示用機械の耐用年数
B 固定資産の取得に際して支出する付随費用
C 不動産譲受時の固定資産税の分担金の取扱い
D パソコン代の区分
E ソフトウェアの税務上の取扱い
F 家事関連費の取扱い


@ 自動車の取得に伴う諸費用の取扱い
【Question】
自動車を購入した際に、次の(1)から(5)の費用を支払いました。これらも取得価額に含める必要がありますか。
また、購入の際に取り付けたカーステレオやカーエアコン代はどのように取り扱われますか。

(1) 検査登録費用
(2) 自動車取得税
(3) 自動車税
(4) 自動車重量税
(5) 自賠責保険料
【Answer】
  (1)、(2)については自動車の取得に関連して支出するものですが、事後的費用でもあること
 から、取得価額に含めるか費用にするか選択できます。
  (3)、(4)、(5)は自動車の取得に関連して支出するものでなく、所有することにより発生する費
 用なので、取得価額に含める必要はありません。
  カーステレオ、カーエアコンについては、車両と一体ですので、一括して車両の耐用年数を適
 用することになります。


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A 展示用機械の耐用年数
【Question】
 当社は機械製造業ですが、宣伝のために1台展示実演しています。この機械の処理はどうなりますか。
【Answer】
 展示品であっても、販売を目的としていれば棚卸資産となります。
 しかし、専ら実演による商品の販売促進を目的として販売を予定していないものは、減価償却資産として取り扱います。そして、その他の機械で金属製のものとして耐用年数17年になります。


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B 固定資産の取得に際して支出する付随費用
【Question】
 当社に4年間勤務したFさんが結婚のため退社します。Fさんは失業給付を受けながら被扶養者になることができますか。
【Answer】
 原則としては、固定資産の取得に伴って支出する費用なので、取得価額に算入すべきものですが、仲介手数料は、購入のために直接要した費用であるのに対し、不動産取得税及び登録免許税は、固定資産取得後の、いわゆる事後的費用と考えられますので、必ずしも固定資産の取得価額に算入する必要はなく、取得価額に算入するかどうかは法人の任意とされています。
 したがって、不動産取得税、登録免許税は、損金にすることができます。


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C 不動産譲受時の固定資産税の分担金の取扱い
【Question】
 中古のアパートを購入する予定ですが、その譲渡契約において、売主が賦課された固定資産税のうち、当社に引き渡された日以降の分を売主に支払うことになっています。この固定資産税相当額は、経費ですか、それとも取得価額に算入して減価償却の対象になりますか。
【Answer】
 土地及び建物の取得に際して、売主が既に支払った固定資産税について、買主に引き渡した日以降の分を、負担額として買主に請求する習慣が、実務上まだ残っているようです。
 固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日現在で固定資産課税台帳に、所有者として登録されている者(売主)とされており、この分担金も売主が本来負担すべきもので、譲渡価格を決定する際に反映されるべきものとされています。
 したがって、負担した固定資産税相当額も土地及び建物の取得価額に含めて、建物については減価償却の対象となります。


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D パソコン代の区分
【Question】
 P社はパソコンを購入しましたが、当初から基本ソフトの他、表計算ソフト等の応用ソフトも入っています。購入代金の明細が本体代金のみの場合には、ソフトウェアとの区分はどうしたらよいですか。
【Answer】
 最近のパソコンには、基本ソフトの他にワープロソフトのような応用ソフトが最初から組み込まれているものが多いようです。基本ソフトは、コンピュータを作動させるために最低限必要なものであり、コンピュータ本体の一部と考えられます。応用ソフトについてもメーカー側で最初から組み込んであるものは、1個当たりの単価が低いものと考えられますので、本体代金に含まれている場合には、全額を本体代金としても差し支えないようです。
 ただし、購入明細等でコンピュータ本体の代金と、ソフトウェアの代金とが区分されているときには、区分して資産計上する必要があります。


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E ソフトウェアの税務上の取扱い
【Question】
 数年前からソフトウェアの取扱いが変更されたそうですが、ポイントを教えてください。
【Answer】
 平成12年4月1日以降に取得するソフトウェアについては、税務上の資産区分が、繰延資産から無形固定資産に変更されています。
 取扱いの変更点を図示すると下表のようになります。
 また、変更に伴い、少額資産の一括損金算入額の基準も変わり、繰延資産の20万円未満から10万円未満に下がっています。
取得区分 用途区分 平成12年3月31日以前
に取得したもの
平成12年4月1日以降に
取得するもの
他の者から購入又は
他の者へ製作依頼して取得
自社利用 繰延資産
(償却期間5年)
無形固定資産
(耐用年数5年)
研究開発用 無形固定資産
(耐用年数3年)
販売用
自社で製作又は
開発して取得
自社利用 費用処理 無形固定資産
(耐用年数5年)
研究開発用 無形固定資産
(耐用年数3年)
販売用 製造原価算入


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F 家事関連費の取扱い
【Question】
 個人で所有しているアパート(全10室)の1室が空いたままなので、個人的に利用しています。どう処理すべきですか。
【Answer】
 すべて同じ大きさの部屋とすると、個人的に利用した月からは減価償却費の10%は経費となりません。
 また、固定資産税や借入金がある場合の支払利息、共用電気料等についても同様に取り扱うことになります。