【税金一口メモ】

◆老年者控除廃止と源泉徴収
 平成17年分所得税から、老年者控除(年齢65歳以上の人で合計所得金額が1,000万円以下の人が対象、控除額50万円)が廃止されます。
 これに伴って、給与所得者で扶養控除等(異動)申告書を提出している人(甲種適用者)の源泉徴収について、注意する必要があります。
 甲種適用者については、扶養親族等の数に応じて、源泉徴収する税額が異なりますが、平成16年12月までに支給する給与については、老年者について扶養親族等の数に1人としてカウントしますが、平成17年1月1日以降支給する給与については、扶養親族等の数に含めないことになります。
 したがって、支給額がまったく同じであっても、1月分以降の源泉徴収税額は、増加することになります。

◆贈与の時期
 財産の贈与を受けると贈与税の課税対象となります。贈与税は、原則として一年間に受けたすべての贈与をベースに計算することになり、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署に申告をすることになります。
 贈与財産の取得時期によって、課税価格や申告時期が決まることになりますが、贈与の時期は、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時、とされています。
 ただし、不動産のように所有権移転の登記の目的となる財産については、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、その登記のあった時に贈与があったものとして取り扱うものとされています。

◆少額減価償却資産
 使用可能期間が1年未満、又は取得価額が10万円未満の資産については、少額減価償却資産として、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金の額に算入することができます。
 この取得価額については、通常一単位として取引されるその単位ごとに判定します。
 なお、少額減価償却資産は、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金経理している場合に限り、損金の額に算入することができることとされています。
 したがって、事業に使用した事業年度でいったん資産計上したものについては、通常の減価償却資産と同様に減価償却することになりますので、その後の事業年度で一時に損金経理したとしても、減価償却限度額を超える金額は損金の額に算入することはできません。

◆事業用固定資産の売却
 消費税で簡易課税制度を選択している場合には、第一種事業から第五種事業までの区分に応じたみなし仕入率を適用することになりますが、事業者が行う事業が代一種事業から第五種事業までのいずれの事業に該当するかの判定は、原則として、課税資産の譲渡等ごとに行うことになります。
 ところで、事業者が事業用固定資産の売却を行った場合には、たとえ卸売業者や小売業者であったとしても、その売却は第四種事業(みなし仕入率60%)に該当することになりますので、注意する必要があります。
 なお、二種類以上の事業を営む場合、いずれか一種類の事業の課税売上高が、総課税売上高の75%以上になるときは、その事業のみなし仕入率を全体に適用することができます。

◆商業地等の固定資産税・都市計画税の減額
 平成16年度税制改正で、商業地等に対する固定資産税及び都市計画税について、負担水準(前年度課税標準額がその年度分の評価額に占める割合)の上限が法定された70%の場合に算定される税額から、負担水準60%から70%の範囲内でそれそれの市町村(東京都の特別区については、都)の条例で定める負担水準により算定される税額まで、一律に減額することができる措置が新設されました。
 この特例は、平成16年度分及び平成17年度分の固定資産税及び都市計画税について適用されます。
 ただし、実際に商業地等の固定資産税及び都市計画税の減額措置を導入するかどうかについては、それぞれの市町村(東京都の特別区については、都)が判断することになります。

◆源泉税・機械計算の特例
 毎月の給与から控除される所得税の源泉徴収税額は、原則として給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を用いて計算しますが、パソコン等で機械計算を行う場合には、月額表の甲欄を適用する給与に限り特例が認められています。月額表は、社会保険料等控除後の金額の段階(階級)に応じて税額が定められています。これは各段階(階級)の中間値を前提とした税額となっていますが、機械計算の特例は、各段階(階級)の中間値ではなく、実際の金額に応じた税額によることを認められているものです。
 機械計算の特例を適用すると、毎月の税額に数十円の差が生じることがありますが、最終的に年末調整や確定申告で精算することになりますので、年税額に差が生じることはありません。

◆個人課税事業者の死亡
 消費税の課税事業者である個人が死亡した場合には、死亡した課税事業者の相続人は、死亡した人の納税地を所轄する税務署長に対して「個人事業者の死亡届出書」を速やかに提出しなければならないこととされています。
 また、相続によって事業を承継した場合には、新規開業の場合とは異なり、相続によって事業を承継した年において、基準期間となる前々年の被相続人の課税売上高が三千万円(平成17年以降については一千万円)を超えている場合には、消費税の免税事業者には該当しませんので注意する必要があります。
 相続による事業の承継によって課税事業者となった場合には、「課税事業者届出書」を提出することになります。