2003.08.28
税込み表示の「困惑模様」
(2003年8月27日 日経新聞より)
 来年4月からの「消費税込み表示義務付け」に小売業・外食産業・流通業が準備に追われている。

 大手スーパーなどではシステム変更に数億かかるところもあり日本チェーンストア協会ではコストが最も少ない“総額のみを表示する方式”を勧めている。また書籍業界では、スリップ(間に挟んである注文カード)での対応を決定。カバーの変更に比べ半分で済むとはいえ、苦肉の策である。

 100円ショップは「業種の名前なので変更はしない」との弁だが利幅の少ない同業界では値下げは不可能、いまだ「対応は未定」と悩んでいる。

 また、1円未満部分の扱いも波紋を広げている。現行では“○○銭”の部分は『切り捨て』だったが4月以降のルールに当てはめると『切り捨ては認められない』となる。

 財務省では4月以降”1円未満を切り捨てずに納付して欲しい”としていたが、○○銭部分を小売店が負担をするか、切り上げて消費者に負担をして貰うか、のどちらかしか選択肢が無いため、大きな反発を呼んでいるこの声を受け、時限措置として『総額表示が定着するまでの間』端数切捨てを認める方針。

 “税込み表示”や“切捨てを認めず納付”は、一部では「消費税額を見えにくくして税率を上げやすくする狙いもあるのでは‥」との見方すらある。4月からの《実質的な増税》に向けて、各業界知恵を絞っている。