5th Lecture


各国の大きさを無視し、同一の単位として取り扱い、様々な側面を検討してきたが、このことは一国の大きさとその経済成長との間に有意義な関係が無いという意味を含んでいる。

大きさの異なる(国土的にも人口的にも)国々を比較可能な同等の単位として取り扱うことで、近代における経済成長の有意義な一般的特徴というものを確立することが出来るのだろうか?
第一次的接近としてそれを肯定する。
近代における経済成長が、インダストリアル・システムと人間の欲望の共通性と独立国家という形での人間組織とが結合したものである限り、多くの共通した特徴を示すものと期待してよい。

一国の大きさというものが本来、近代的な経済成長の特徴に関する有力な一要因として含まれなければならぬほど決定的なものではない。


  1. 他の条件が等しいならば、小国の経済構造はより大きな国のそれよりも多様でなく、生産はより少ない産業部門に集中されるであろう。
    1. 小国経済にとってある種の近代産業に関する工場の最適な最小規模は、それが欠けるか、外国市場に依存してのみ維持されうるであろう。
    2. 小国が世界的な市場に対して、自然資源や立地条件などで有利性を持つならば、小国の限られた資本と労働力の大部分は一部門もしくは、少数の部門に集中されるであろう。

  2. 一人当たりの経済活動において最終需要の広範な構造は、小国についても大国についても同様であるはずである。
    最終需要の多様な構造と国内生産物のより集中的な構造とのギャップは大国よりも小国の方が相対的にはるかに大きいことになる。

  3. 最終需要の多様な構造と国内生産物のより集中的な構造のギャップは外国貿易によって可能となる。

P.118 第10表からの考察
外国貿易比率=(輸出+輸入)/(国民所得+輸入)
各国を人口規模によってカテゴライズすると、外国貿易比率は人口の規模が小さくなるに従って上昇する。

  1. 小国の貿易に関して
    1. 輸出は1・2の財貨に集中しがちである。
    2. 小国の輸入と特に輸出は、相手国の点においても集中する。

  2. 外国貿易は国際分業機構として作用するので、外国貿易は大国よりも小国にとって遙かに重要である。
    しかし、外国貿易の平均比率は、人口の大きさが減少するに従って上昇するが、ある高水準に達すると、その上昇は停止する。
    利用可能な生産物全体のうち、外国貿易によって獲得できるもの割合は、上限を持ち、国内の資源によって獲得されなければならない産出物の割合は、それに対応する下限を持っている。

  3. 小国内で行われなければならない生産活動が、大国にとっては可能な規模の経済性の利益を十分に獲得することが出来る、その大きさからくる非効率を免れないであろう。

    しかし、その不利益を相殺するいくつかの有利性も存在するかもしれない。

    1. 国内統一が達成できる。
      土地保有・労働問題・企業統制・課税などに関して、長期的な決定を行うことが容易である。また、感情の共通性・運命同一の観念・全体の利益に対する個人もしくは集団の利益の従属は、宗教的・人種的などの多様性を持った大国よりも、明らかに有利に働く。
    2. 状況の変化に適応する速さ。
      経済成長は技術的な可能性の変化と国家構造の変化とに対する、継続的な適応の仮定なのであるから、その様な適応が速やかになされると言うことは、明らかに有利な点である。


外国貿易比率の傾向を決定する要因

  1. 運輸・通信における技術変化は、国境を越える動きを用意にする。よって、外国貿易の絶対量を増大させるに違いない。
    しかし、このことは必ずしも外国貿易比率の上昇を意味しない。

  2. 各国の産業構造の発展において、ある段階は他の段階よりも外国貿易を一層促進し、そのため、ある時期の外国貿易比率を高め、他の時期を弱めるかもしれない。

    M部門がS部門よりも急速に発展→外国貿易比率上昇
    産出物のうち、S部門の占める割合が大きくなる段階→外国貿易比率低下

  3. 国民経済の初稿増が時と共に変化する。
    政治的な統合は外国貿易比率の低下をもたらし、政治的な分離はその逆をもたらすであろう。
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