東京都衛生局発行資料より掲載
1 モデル規程作成についての考え方 【作成の経緯】 「人と動物との共生」というテーマが、より身近なものになってきています。動物と のふれあいは、私たちに生命の尊さ、友愛や平和の心を改めて気づかせてくれるととも に、人々の生活に喜びと潤いを与えてくれます。 最近では、犬、猫などが、人生の伴侶動物(コンパニオン・アニマル)として、人の 生活を精神的に支える不可欠の存在となっている事例も見られるようになりました。ま た、高齢化が進行し、核家族が増加するなかで、人と動物の絆(ヒューマン・アニマ ル・ボンド)も重要であるという考え方が都民の間に芽生えてきています。さらには、 老人医療や心理療法において動物たちが役立っており、動物を介した人の心の健康づく り (アニマル・セラピー)という、新たな評価も得ています。 一方、動物の不適正な飼養のために、近隣とのトラプルや苦情等の問題も多く発生し ています。特に、人口の集中している都市においては、人と動物とが共生していく上で の、周辺環境への様々な配慮が重要な課題となっています。飼い主は、動物の本能や習 性を正しく理解し、一定のルールに従って適正に飼養することが何よりも必要です。そ れと同時に、動物飼養について、周辺住民の理解を得られるように努めることが大切に なります。 特に、集合住宅での動物の飼養管理については、一戸建ての住宅における飼養に比ベ、 より細心の注意が要求されます。そして、集合住宅に住む他の居住者の深い理解と協カ も不可欠です。また、身体に障害のある人や、高齢者等で動物(人の日常生活行動を助 ける「サポート・ドッグ」など)の必要な人への理解と配慮も求められています。 平成4年7月、知事の諮問機関である東京都動物保護管理審議会から「東京都におけ る動物の適正飼養の推進策について」の答申が出され、この中で、集合住宅における動 物の適正飼養について、ルールづくりの必要性が提言されました。また、都内の一戸建 て以外の集合住宅等に居住する世帯が 65.7% (平成7年国勢調査)に達し、今後も 増加していくことが予測されます。これらのことから、都は、集合住宅における動物飼 養に関して、モデル規程を作成することとしました。 【基本的な考え方】 集合住宅における動物飼養の可否は、飼養を希望する居住者、飼養しない居住者、管 理組合又は貸主など関係者の合意が前提です。この合意に基づき、動物の飼養が円滑に 行われるよう、次のような考え方により作成しました。 (1) 集合住宅において動物を飼養する際に、飼い主に求められる適正飼養についての基 本的な事項を定めること。 (2) 動物を飼養しない他の居住者等の立場を尊重し、動物飼養に関するトラプルの防止 を図り、快適な居住環境の維持向上を目指すこと。 (3) 人と動物とが調和した、潤いのある生活を実現すること。 (4) 動物愛護精神を尊重し、動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての 責任を自覚し、動物を終生、適正に飼養すること。 2 集合住宅における動物飼養モデル規程 (目的) 第1 この規程は、 「○○集合住宅」の管理組合又は貸主(以下「管理組合等」とい う。) と居住者との間における動物を飼うことについての合意を前提に、「○○集合 住宅」において動物を飼うに当たって必要な事項を定めるとともに、動物の愛護につ いての理解を深めることを目的とする。 (飼い主の心構え) 第2 「○○集合住宅」において動物を飼う居住者(以下「飼い主」という。)は、次 のことを常に心掛けなければならない。 (1) 他の居住者の立場を尊重し、快適な生活環境の維持向上を図ること。 (2) 動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての責任を自覚し、動物を 終生、適正に飼うこと。 (3) 動物の保護及び管理に関する法律、東京都動物の保護及び管理に関する条例、狂 犬病予防法等に規定する飼い主の義務を守ること。 (飼い主の守るべき事項) 第3 飼い主は、次に掲げる事項を守り、動物を適正に飼わなければならない。 (1) 基本的な事項 ア 動物は、自己の居室又は管理組合等により指定された場所(以下「指定された 場所」という。)で飼うこと。 イ 自己の居室又は指定された場所以外で、動物にえさや水を与えたり、排せつを させないこと。 ウ 動物の異常な鳴き声やふん尿等から発する悪臭によって、近隣に迷惑をかけな いこと。 エ 動物は、常に清潔に保つとともに、疾病の予防、衛生害虫の発生防止等の健康 管理を行うこと。 オ 犬、猫には、必要な「しつけ」を行うこと。 カ 犬、猫等には、不妊去勢手術等の繁殖制限措置を行うよう努めること。 キ 動物による汚損、破損、傷害等が発生した場合は、その責任を負うとともに、 誠意を持って解決を図ること。 ク 地震、火災等の非常災害時には、動物を保護するとともに、動物が他の居住者 等に危害を及ぽさないよう留意すること。 ケ 動物が死亡した場合には、適切な取扱いを行うこと。 (2) 他の居住者等に配慮する事項 ア 自己の居室又は指定された場所以外で、動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃 等を行わないこと。 イ 動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃等を行う場合は、必ず窓を閉めるなどし て、毛や羽等の飛散を防止すること。 ウ 犬、猫等が自己の居室又は指定された場所以外で万一排せつした場合は、ふん 便を必ず持ち帰るとともに、衛生的な後始末を行うこと。 エ 犬、猫等を散歩させる時には、砂場や芝生等(具体的な場所は、各集合住宅で 定める。)の立入りを禁止された場所に入れないこと。 オ 廊下、エレベーター等では、動物は抱きかかえ、又はケージ等に入れ、移動す ること。 カ エレベーターを利用する場合は、同乗者に迷惑のかからないよう配慮すること。 (飼い主の会) 第4 この集合住宅の飼い主は、管理組合等の指導の下に、 「飼い主の会」を設ける。 2 「飼い主の会」は、飼い主全員及びその他の入会を希望する居住者で構成し、会則 を定め、適正な運営を図る。 3 「飼い主の会」の役割は、次のとおりとする。 (1) 会員相互の友好を深めるとともに、動物の正しい飼い方に関する知識を広めるよ う努めること。 (2) 会員以外の居住者及び近隣住民にも、動物と暮らすことへの理解を深めてもらう よう努めること。 (3) 住宅内の共有施設や住宅周辺の環境及び衛生の保持に努めること。 (4) 動物を飼おうとする居住者の相談窓口となること。 (5) 飼い主が自ら解決することが困難な問題が生じた場合には、その飼い主とともに 適切な解決を図ること。 (6) この規程に違反した飼い主に対し、適切な飼い方等を指導すること。 (7) 管理組合等に対し、会の組織及び運営状況について適宜報告すること。 (居住者の理解) 第5 居住者は、動物の愛護について理解し、人と動物が共生できる快適な生活環境づ くりに協力するものとする。 (飼うことの出来る動物の種類)) 第6 居住者が飼うことのできる動物の種類は、次のとおりとする。 (1) 犬及ぴ猫(大きさ及び種類は、各集合住宅で定める。) (2) 小鳥(具体的な種類は、各集合住宅で定める。) (3) その他の動物(具体的な種類は、各集合住宅で定める。) (飼うことの出来る動物の数) 第7 居住者が飼うことのできる動物の数(一世亨当たり)は、次のとおりとする。 ただし、複数の種類の動物を飼う場合の数は、別に定めるものとする。 (頭羽数は、 各集合住宅で定める。) (1) 犬又は猫については、○頭以内(頭数は、各集合住宅で定める。) (2) 小鳥については、○羽以内(羽数は、各集合住宅で定める。) (3) その他の動物については、○頭羽以内(頭羽数は、各集合住宅で定める。) 第8 居住者は、管理組合等に対して、次に掲げる手続を行わなけれぱならない。 (1) 動物を飼う場合は、あらかじめ許可を受けるとともに、この規程を遵守する旨を 誓約すること。 (2) 犬を飼う場合は、(1)の手続を経た後、速やかに狂犬病予防法第4条に規定する登 録及ぴ同法第5条に規定する予防注射を行った旨の証明を提示すること。 (3) 動物を飼わなくなった場合は、その旨届け出ること。 (動物の標識) 第9 飼い主は、管理組合等が発行する標識を、他の居住者等が見やすい場所に掲示し ておかなければならない。 (盲導犬等に対する配慮) 第10 居住者が、盲導犬、聴導犬、介助(護)犬等の動物(以下「盲導犬等」という。) を必要とする場合においては、管理組合等及び他の居住者は、その動物の必要性に十 分配慮するものとする。 2 盲導犬等については、次に掲げる項目の適用を除外する。 (1) 第3 (飼い主の守るべき事項)の(2)のオ (2) 第6 (飼うことのできる動物の種類) (飼い主に対する指導、禁止等) 第11 飼い主が、この規程に違反し、他の居住者及び近隣住民に迷惑や危害を与えた場 合で、 「飼い主の会」の指導にもかかわらず解決が図られないときは、管理組合等が、 その飼い主を指導することができる。 2 管理組合等が、度重なる指導を行ったにもかかわらず、間題が解決されない場合は、 管理組合等は、その飼い主に対し、動物を飼うことを禁止することができる。 3 動物を飼うことを禁止された飼い主は、新たな飼い主を探すなど、速やかに適切な 措置をとらなければならない。 (管理組合などの業務代行) 第12 「飼い主の会」は、管理組合等からの指示により、次に掲げる項目について管理 組合等の業務を代行することができる。 (1) 第8 (居住者の行う手続) (2) 第9 (動物の標識)