家系


何が悔しくてこんなに暑いんだろう?
と思う程暑い夏、家に帰ってくると
玄関先にごみが転がっていた。
よく見ると、猫だった。
ボロボロなので、ボロニャンと呼ぶ。
憐れなのでマタタビをあげたが動かない。
餌をあげても動かない。このまま死んじゃうんだ、
可愛そうだがこれも天命、末期の水をあげた。
翌日、餌は無くなっていて、
ボロニャンが玄関先に座っていた。
その後、なん日たっても死ぬ気配はなく
毎日、餌をたかりに来るようになった。

 
 その頃 ベランダには、ときどき遊びに来る
 細身の美猫もいた。
 三毛の毛並みも美しい上品な猫だった。
 ”没落貴族の令嬢”といった風情で、
 可愛そうなので、つい餌をあげたら、
 こいつもたかりに来るようになった。






鰯雲がぽこぽこ浮かぶ空の高い秋、そろそろ寒くなってきた頃、裏道をボロニャンが走り去って行った。ずいぶん元気になったなと思った。遠くにいたせいか、随分小さく見えた。翌日、ベランダの美猫が子猫を連れてきた。Sサイズのボロニャンだった。この日から、美猫はママニャン、子猫は(多分ボロニャンの子だから)コボロと命名された。下町のアパートでは、猫は御禁制、大家様に怒られてしまう。餌をあげれば毎日たかりにくる、と直感したので、餌はあげたくなかった。でも子猫の魅力は逆らい難く、餌をあげたら、こいつも毎日たかりに来る