What's Guin Saga


ハヤカワ文庫 原作栗本薫
1998年9月現在で正編61巻(第1巻初版1982年)、外伝15巻が刊行されている。
全100巻と作者はのたまうているようだ。

キレノア大陸には中原と呼ばれる地域がある。そこはパロ、ケイロニア、ゴーラ3大公国という3つの国が均整を保つことで平和が維持されてきたが、ゴーラ3大公国のひとつ、新興国家モンゴールが、突如としてパロに攻め込んだことで情勢は大きく変わりつつあった。

そのような中突如としてどこからか現れたのが主人公グインである。
アーノルド=シュワルツェネッガーも驚くほどに、芸術的なまでに鍛え上げられた肉体と、決して間違うことのない沈着冷静な判断力、そして豹頭を持つ戦士、それがグインだ。
グインが何者で、何処から来たのか、そしてなんのために・・・
一切が語られていない。なぜならグイン自身にその記憶がないためである。
グインは自身を得るために、運命を選び、求め、委ねる。
世界に突如として現れたグイン、危難に立たされたパロの双子の王子と王女を救うことから彼の自己探求の冒険は始まった。しかし2人の安全を確認するとグインは二人のもとを離れてゆく。
グインを動かすものは未知なる自身に対する焦慮の念のみだからだ。
伝説に語られる人外秘境の地に自身を求め、ヒトの世界に戻り自身を求める。

グインの謎についてはシリーズを読み進めていくことで、徐々に明かされてきている部分もあるが
その多くは今だ混迷の域を脱し得ない。このグインの謎が明かされる時こそ、つまりはグインの物語がひとつの終わりを遂げることになるであろう。
本シリーズの根底に流れるテーマはただひとつ、グインの自己探求にあるはずなのだから。

しかしこの、はず、という点に本シリーズの大きな特徴があったりする。
グイン自己探求の冒険が、本編では必ずしも語られていないのである。
というのは主人公グイン、あまり本編に出てこないのだ(^^;)
5巻まではグインとパロの双子を中心に物語が進むのだが、6巻以降はグインがいない地域へも物語が展開し、そちらでは当然ながらグインは出てこない。
11巻でパロの双子と別れて後は、次に登場するのは17巻で、やはり突如ケイロニアに現れる。以降、パロ、ケイロニア、ゴーラ(モンゴール)へと物語が展開し、44巻を最後に、現在61巻になってもグインは出てこない。44巻が発行されたのが94年6月だから、以降実に4年間、およそ20巻に渡って正編に登場していないことになる。
この未登場の間、グインは何処で何をしているのか。それは外伝に語られていたりする。
もしこれからグインを読み始めようと言うのであれば、どのような順番で外伝を読めば良いのか。
答えは簡単である。
グインがいなくなったら読めば良い(^^)
ではいついなくなるのかって?
大丈夫、後顧の憂いを危惧するグインは言うのだ。
「俺は旅に出る」と

シリーズを読み始める上で、大きな障壁となるのは、その膨大な冊数かもしれない。
外伝を含めて―将来的には正編だけでさらなる巻数になると思われるが―70冊以上のグインサーガが書棚に並ぶ様はまさに圧巻である。しかしこのサーガが多くのファンを持つことも事実である。
なぜならば、グイン以外にもあまた登場するキャラクター達はいずれも個性的で、魅力的であり、ノリにノった作者栗本薫が織り成す英雄譚、歴史絵巻は時に重厚に、時に軽妙な文体でその世界を映し出すからだ。

中原の覇王たるべく戦乱突き進むイシュトヴァーン、世界生成の謎に取りつかれた闇の貴公子アルド=ナリス、繊細かつ緻密に編みこまれてゆく運命の輪は中原の姿を如何なる模様に紡ぎ出すのか。
最初の頃と設定が違うんじゃないか、あの伏線はどーなってるんだ、と読み進めるのも面白い。
くどいほどの作者の後書きも楽しみのひとつだったりする。
まずは「グイン・サーガ ハンドブック」(ハヤカワ文庫 500円)も出ているので概略を掴みたいヒトにはそちらもお勧めする。

続巻が期待される一方で、その終焉が今から惜しまれる、そんなシリーズだ。
***
基本的に私は完結していない物語は嫌いなのである。
なぜなら先がわからないと、気になって虫歯が痛くなってくるからだ。
また持続力に乏しく、物事に飽きっぽいのも事実である。
そんな私がなぜグイン・サーガを読み始めたのか。
グイン・サーガを読み始めたのは90年、8年前である。実は天野喜孝の描くイラストと、ヒロイックファンタジーっぽい雰囲気、三国志や日本の戦国時代を彷彿とさせる宣伝文句、これらが以前から気になっていたのは事実で、ハンドブックが刊行されたため、―これが90年に出たので90年から読み始めた、と言えるのだが―ならば、と、それを購入したのが始まりだ。
ハンドブックを読んでみて、興味持てなそうであったら、読むまい、と思っていたのである。
そして見事にはまった。

今ではインターネットで情報を検索できる時代になったようなので(なんか親父臭い^^;)、グイン・サーガのホームページも多数存在する。その中からこのサイトを訪れてくれたあなたが少しでもグイン・サーガの世界に興味を持っていただけたら幸甚に思われる。
1998年9月記す 重蔵

余談
作者によれば、グインサーガは全100巻と決まっているらしいが、タイトル的にいくつか決まっているものもがある。とりあえず最終巻100巻のタイトルは「豹頭王の花嫁」。

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