1978年発売
(曲目)
市民生活の匂いを醸し出すピアニスト、とでもBilly Joelを呼べば良いのでしょうか。
もう一人の偉大なるピアニストElton Johnと比較した時に、感じることです。同じピアニスト
であり、ロックン・ローラーである両者ですが、その作風には、かなり異なる面があります。
Elton Johnの方は、作曲だけで作詩はしないという面があるのでしょうが、どちらかと言うと、
生活の匂いというものを感じさせず、作品をおとぎの世界の出来事のように感じさせるところが、
あり、市民生活、特に労働者の生活を生き生きと描くBilly Joelとは、対照的です。
前作”The Stranger” でスターへのきっかけをつかんだ、Billy が、その人気と実力を
盤石のものとしたのが、このアルバム”52nd Street”です。これは、まさにニューヨーク市民の
生活を描いたもので、”My Life””Honesty”のような、ポップなナンバーもありますが、全体的に
大都市ニューヨークの息遣いを、緊張感あるハードな音で表現しており、まさにニューヨークを知り
つくした者が作った傑作と言えるでしょう。
気候も温暖で住みやすいウェスト・コーストよりも、やはり自分は、ニューヨークを愛しているという
彼のニューヨークに対する思い入れが伝わってくる1枚です。この後、Billy は、数々の名アルバムを
出しましたが、私は、この”52nd Street”にBilly の心髄を一番感じます。