1969年12月発売
(曲目)
60年代、何かとBeatles と対比され続けたRolling Stones。Beatles 解散後も活動を
続け、デビュ−後、30数年間もrolling し続け、世界最高のRock'n Roll Bandの地位を
保っています。その、Rolling Stones のアルバムで一番好きなのが、この"Let It Bleed" で
す。このアルバムは、1969年の末に発表されましたが、その頃のStonesは、オリジナル・
メンバ−であったBrian Jones の急死、そして新メンバ−Mick Taylor の参加という
グル−プとしての大転換期にさしかかっており、また、映画"Gimmie Shelter"で見られた様に
コンサ−トで死亡者が出るというような事件に巻き込まれるなど、環境としては、決して良い
とは言えないものでありましたが、このアルバムでは、そうした負の部分を全く感じさせない見事
な出来栄えとなっています。
1966年から67年にかけては、Beatles の模倣といった面が見られ、特にアルバム
”Their Satanic Majesties Request"は、Beatles のアルバム"Sgt.Pepper's Lonely Heart's
Club Band"を、"We Love You"は"All You Need Is Love" を真似ているとか意識しているとか
言われてもしようがない面がありました。しかし、この前作のアルバム"Beggars Banquet" は、
Stonesのル−ツのR&B に戻り、Stonesらしさを追求した好アルバムであり、このあたりから
Stonesは、Beatles の呪縛から逃れ、自分達の音楽の方向性を確立していったのではないかと
思います。そして、それが花開いたのがこのアルバムでしょう。
静かな、エレキ・ギタ−のアルペジオから始まり、次第に盛り上がりを見せるハ−ド・ロック・
ナンバ−の"Gimmie Shelter"は、私の最も好きなStones Number。"Love In vain" は、前作の
"Beggars Banquet" からの流れを組むR&B ナンバ−で、Mickがしっとり歌い上げています。
また、"Country Honk"は、カントリ−版の"Honkey Tonk Women"。"Midnight Rambler" は、R&B 色の
濃いロック・ナンバ−でこのような曲がまさにStonesぽいといえるでしょう。ハ−モニカの音が
彩りを添えています。
このアルバムの中で特筆すべきナンバ−は、最後の"You Can't Always Get What You Want" です。
最初に聞くと、これがStonesなのかと思うような華やかな女性コ−ラスやホルンの音も含まれて
いますが、決してそのような派手なアレンジが浮いておらず、Mickのボ−カルやStonesの演奏とうまく
ハ−モニ−を奏でています。この2−3年前までは、そうした新しいものを自分達の音楽にうまく消化
できないでいましたが、ここに来てようやく自分達の音楽が確立し、幅広さが出てきたようです。
そして、70年代以降、名実ともに、トップ・バンドの位置を占めることとなるのです。
このアルバムは、Stonesの音楽が確立した名盤で、70年代、80年代、90年代の活躍を予期させる
ものといえましょう。今後もRolling し続けることを期待します。