<エリオット波動の基礎講座>

  1. (エリオット波動の基本形)
  2.  エリオット波動は、上昇相場においては、上昇5波、下降3波の計8波が基本の形 である。(上図参照)
    上昇5波は、3つの推進波と2つの調整波からなり、下降3波は、2つの推進波と 1つの調整波からなっている。推進波とは、大きな波と同じ方向に動く波動で、 調整波とは、大きな波と逆の方向に動く波動で、上図で(1)(3)(5)が推進波 、(2)(4)が調整波である。
     それぞれの波動は、さらに同様の波動に細分化される。(1)(3)(5) (A)(C)は、5波動に、(2)(4)(B)は、3波動にわかれる。 (1)の波動が、@ A B C Dにわかれるとすると、@  B  Dは、 さらに5波動に、A Cは、さらに3波動にわかれる。  いちばんもとの形は、上昇の5波動、下降の3波動で全部で8波動。この3、5、 8という数字全てがフィボナッチ数である。次の細分化では、上昇21波動、 下降13波動で全部で34波動。この13、21、34もフィボナッチ数である。 さらなる細分化では、上昇89波動、下降55波動で全部で144波動。この 55、89、144もフィボナッチ数である。
     フィボナッチ数については、あとでくわしく説明する予定である。

  3. (推進波)
  4.  [エクステンション]

     同じ、推進波でも、第1波、第3波、第5波では、たいてい大きさは異なる。 第1波、第3波、第5波のうちのいずれかがさらに5つの小さな波に分かれて大きく なる場合、いわゆるエクステンション(拡張)を示す時がある。
    普通、第1波は、大底からの回復過程で、それほど、大きな上昇にはならないことが 多い。大きくなるのは、第3波、または、第5波のことが多い。下図を参照して いただきたい。

    [ダイアゴナル・トライアングル]

    ダイアゴナル・トライアングルは、斜め三角形で、通常最終波動の第5波に現れる 。このダイアゴナル・トライアングルを構成する波動は、第1波、第3波、第5波 の順の大きさで、次第に小さく煮詰まって、大きな波動が終了する。

    [未達成]

    通常は、第5波は、第3波の頂上を超えるが、たまに、超えずに、未達成で終わる ケースがある。これを、未達成(フェイラー)という。

  5. (調整波)
  6.  上昇波での(2)(4)、下降波での(B)がいわゆる調整波であるが、この 調整波には、いくつかのパターンがある。

     [ジグザグ]

      通常、もっとも多く見られるパターン。A−B−Cの波動で   AとCが5波動で、Bが3波動の5ー3ー5のパターン。B波は、A波の天井 には及ばない。このジグザグの変形で、A−B−C−X−A’−B’−C’の   ダブル・ジグザグが、大きな調整の時にたまに見られる。

     [フラット]

    強い地合いの時に良く見られる。AとBが3波動で、Cが5波動の3ー3ー5の パターン。B波は、A波の天井を超え、C波は、A波の底を下回ることが多い。   B波は、急激な戻しになることが多い。フラットの変形にランニング調整がある   。BがA波の天井を超え、なおかつC波がA波の底を上回る形。

       [トライアングル]

    第4波で良く見られるパターン。三角持ち合いともいわれる。大きな波動から   次第に小さな波動になり、煮詰まった後に、メイン・トレンドへ放れていく。   トライアングルは、普通、5波動で構成され、それぞれの波動は、3波動に   分かれる。
       トライアングルは、形で、アセンディング・トライアングル(上方への   三角形)、シンメトリカル・トライアングル(上下対称)、ディセンディング・   トライアングル(下方への三角形)に分けられる。

     この調整波については、オータネーション(交替)の法則が適用され、第2波と 第4波の調整パターンが同じものになることはない。たとえば、第2波で、単純な ジグザグ調整であれば、第4波は、ジグザグ以外のフラット調整やトライアングル になるであろう。逆に、第2波が、フラットであれば、第4波は、ジグザグになる 可能性が高いといえよう。

  7. (フィボナッチ数)
  8.   フィボナッチ数、この神秘の数列を発見したのは、13世紀の数学者、レオナルド・ フィボナッチである。

     1+1=2 1+2=3 2+3=5 3+5=8 5+8=13 このように、連続する2つの数を足したものが、次の数になる。

    1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233

     [この数列の極めて興味深い点]

     ある数を1つ前の数で割ると、1.618。1つ後ろの数で割ると 0.618。    55÷34=1.6176   55÷89=0.6179    1.618X0.618=1

     ある数を2つ前の数で割ると 2.618。2つ後ろの数で割ると 0.382。    144÷55=2.6181  34÷89=0.3820     2.618X0.382=1  先ほどの0.618を二乗すると0.382。1.618を二乗すると2.618  になる。

      この0.382や0.682、1.618や2.618はエリオット波動での  目標値を定めるのに欠かせない数字である。
      高値または安値からの押しや戻りを予想する場合,上昇または下落した幅の  0.382倍から0.618倍がメドとなる。

     

  9. (重要な法則)
  10.  エリオット波動については、いくつかの法則があるが、ここではその中で最重要 の法則のみ抜粋する。

     ”第3波が、最短になることはない。”

     推進波の第1波、第3波、第5波の中で 第3波は 一番エクステンションし やすい波動だが、この3つの中で、一番短くなることはないのである。第3波が 一番短くなるような波動の取り方は、間違っているのである。
     もし 第3波が第1波よりも短かった場合、第5波は当然のことながら第3波 よりも短くなる。ということは、第5波の天井の最高値、または底の最安値は、予想 がある程度つくことになる。

       これだけを気をつければ、エリオット波動の習得には、問題ないはずである。

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