エリオット波動は、上昇相場においては、上昇5波、下降3波の計8波が基本の形
である。(上図参照)
上昇5波は、3つの推進波と2つの調整波からなり、下降3波は、2つの推進波と
1つの調整波からなっている。推進波とは、大きな波と同じ方向に動く波動で、
調整波とは、大きな波と逆の方向に動く波動で、上図で(1)(3)(5)が推進波
、(2)(4)が調整波である。
それぞれの波動は、さらに同様の波動に細分化される。(1)(3)(5)
(A)(C)は、5波動に、(2)(4)(B)は、3波動にわかれる。
(1)の波動が、@ A B C Dにわかれるとすると、@ B Dは、
さらに5波動に、A Cは、さらに3波動にわかれる。
いちばんもとの形は、上昇の5波動、下降の3波動で全部で8波動。この3、5、
8という数字全てがフィボナッチ数である。次の細分化では、上昇21波動、
下降13波動で全部で34波動。この13、21、34もフィボナッチ数である。
さらなる細分化では、上昇89波動、下降55波動で全部で144波動。この
55、89、144もフィボナッチ数である。
フィボナッチ数については、あとでくわしく説明する予定である。
[エクステンション]
同じ、推進波でも、第1波、第3波、第5波では、たいてい大きさは異なる。
第1波、第3波、第5波のうちのいずれかがさらに5つの小さな波に分かれて大きく
なる場合、いわゆるエクステンション(拡張)を示す時がある。
普通、第1波は、大底からの回復過程で、それほど、大きな上昇にはならないことが
多い。大きくなるのは、第3波、または、第5波のことが多い。下図を参照して
いただきたい。
[ダイアゴナル・トライアングル]
ダイアゴナル・トライアングルは、斜め三角形で、通常最終波動の第5波に現れる 。このダイアゴナル・トライアングルを構成する波動は、第1波、第3波、第5波 の順の大きさで、次第に小さく煮詰まって、大きな波動が終了する。
[未達成]
通常は、第5波は、第3波の頂上を超えるが、たまに、超えずに、未達成で終わる ケースがある。これを、未達成(フェイラー)という。
上昇波での(2)(4)、下降波での(B)がいわゆる調整波であるが、この 調整波には、いくつかのパターンがある。
[ジグザグ]
通常、もっとも多く見られるパターン。A−B−Cの波動で AとCが5波動で、Bが3波動の5ー3ー5のパターン。B波は、A波の天井 には及ばない。このジグザグの変形で、A−B−C−X−A’−B’−C’の ダブル・ジグザグが、大きな調整の時にたまに見られる。
[フラット]
強い地合いの時に良く見られる。AとBが3波動で、Cが5波動の3ー3ー5の パターン。B波は、A波の天井を超え、C波は、A波の底を下回ることが多い。 B波は、急激な戻しになることが多い。フラットの変形にランニング調整がある 。BがA波の天井を超え、なおかつC波がA波の底を上回る形。
[トライアングル]
第4波で良く見られるパターン。三角持ち合いともいわれる。大きな波動から
次第に小さな波動になり、煮詰まった後に、メイン・トレンドへ放れていく。
トライアングルは、普通、5波動で構成され、それぞれの波動は、3波動に
分かれる。
トライアングルは、形で、アセンディング・トライアングル(上方への
三角形)、シンメトリカル・トライアングル(上下対称)、ディセンディング・
トライアングル(下方への三角形)に分けられる。
この調整波については、オータネーション(交替)の法則が適用され、第2波と 第4波の調整パターンが同じものになることはない。たとえば、第2波で、単純な ジグザグ調整であれば、第4波は、ジグザグ以外のフラット調整やトライアングル になるであろう。逆に、第2波が、フラットであれば、第4波は、ジグザグになる 可能性が高いといえよう。
フィボナッチ数、この神秘の数列を発見したのは、13世紀の数学者、レオナルド・ フィボナッチである。
1+1=2 1+2=3 2+3=5 3+5=8 5+8=13 このように、連続する2つの数を足したものが、次の数になる。
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233
[この数列の極めて興味深い点]
ある数を1つ前の数で割ると、1.618。1つ後ろの数で割ると 0.618。 55÷34=1.6176 55÷89=0.6179 1.618X0.618=1
ある数を2つ前の数で割ると 2.618。2つ後ろの数で割ると 0.382。 144÷55=2.6181 34÷89=0.3820 2.618X0.382=1 先ほどの0.618を二乗すると0.382。1.618を二乗すると2.618 になる。
この0.382や0.682、1.618や2.618はエリオット波動での
目標値を定めるのに欠かせない数字である。
高値または安値からの押しや戻りを予想する場合,上昇または下落した幅の
0.382倍から0.618倍がメドとなる。
エリオット波動については、いくつかの法則があるが、ここではその中で最重要 の法則のみ抜粋する。
”第3波が、最短になることはない。”
推進波の第1波、第3波、第5波の中で 第3波は 一番エクステンションし
やすい波動だが、この3つの中で、一番短くなることはないのである。第3波が
一番短くなるような波動の取り方は、間違っているのである。
もし 第3波が第1波よりも短かった場合、第5波は当然のことながら第3波
よりも短くなる。ということは、第5波の天井の最高値、または底の最安値は、予想
がある程度つくことになる。
これだけを気をつければ、エリオット波動の習得には、問題ないはずである。