1967年1月発売
(曲目)
Monkees は、イギリスのBeatles に対抗してアメリカのミュ−ジック・ビジネス界が総力を
あげて作り出したアイドル・グル−プで、テレビ・ショ−により、一時期(1966−68)、相当な人気を
得ました。ただ、その人気とは裏腹に、作られたグル−プというレッテルが貼られ、音楽的には、あまり評価
されていません。
私は、テレビ・ショ−"The Monkees" のリアル・タイムでの視聴者でありました。小学3年か4年くらいで
あったと思います。ですから、テレビを通じて彼らの音楽に触れておりましたので、後年、Monkees のレコ−ド
を買って聞いた時は、聞いたことのある曲が非常に多く懐かしさを感じました。しかも、覚えやすい良質な
ポップ・ナンバ−が多いので、私には、とても魅力的に感じました。
彼らも、単なるアイドルだけでなく、音楽的にも少しづつ成長していきましたが、作られたグル−プとしての
イメ−ジはなかなかぬぐい去ることはできませんでした。しかも、タ−ゲットとしたBeatles は、優れた曲を
どんどん産み出していきましたので、その対比もあって、低い評価しかされなかったのでしょう。しかし、
私は、もっと評価しても良いのではないかと思います。
この彼らの2枚目のアルバム"More Of The Monkees"は、かれらの絶頂期に発売になり、その前のデビュ−・アルバム
"The Monkees" の13週連続NO.1のすぐあとをうけ、18週連続NO.1となり、あわせて31週連続NO.1と
いう快挙を成し遂げました。内容もそれに見合う良質で多彩なポップ・ナンバ−のオン・パレ−ドとなっております。
それもそのはず、アメリカを代表する作曲家たちの作品を集めたものだからです。まず、Tommy Boyce & Bobby Hartが
"She" と"Steppin' Stone"。Neil Diamondが"I'm A Believer"と"Look Out"。Neil Sedaka & Carole Bayerが"When Love
Comes Knockin'"。 Gerry Goffin & Carole Kingが"Sometime In The Morning"。確かに、一流の素材であってもそれを
演出する人が二流であれば、良い作品はできませんが、このアルバムの出来からすると、彼らもデビュ−・アルバムの頃よりも
一段と音楽的な成長を遂げており、決して世間で言われているようなあやつり人形ではなかったとはっきりと言えるでしょう。
"She" や"Sometime In The Morning" でのMicky のボ−カルは、味のある聞かせるものとなっており、アイドルという先入観を持って
聞くと、意外な歌のうまさに驚くでしょう。Mikeは自作曲で持ち味をだしていますが、特に"The Kind Of Girl I Could Love" では、
彼の好きなカントリ−のフレ−バ−に満ちた曲です。Peter がボ−カルの"Your Antie Grizelda" は、コミカルの雰囲気を持った楽しい曲
です。Davyは、その甘い声を"Look Out"や"Hold On Girl"で生かしてますが、特に"The Day We Fall In Love" でのささやきは、女の子を
しびれさせたことでしょう。
このアルバムの後も彼らは、成長し、素晴らしいアルバムを創っていきました。ただ、1968年の春、テレビ・ショ−の終了後、
人気に衰えが出始め、しばらくしてPeter が脱退、崩壊の道をたどっていくことになります。光り輝いた期間は、短かったですが
それでも一時は、Beatles にせまる人気を博し、その名を歴史に刻みつけることになりました。もう一度、彼らの成した業績を冷静に
評価してみていただきたいと思います。その取っ掛かりとしてこのアルバムは、ピッタリであると思います。