1974年3月発売
(曲目)
Queen の存在を知ったのは高校の時、同じクラスの音楽好きの友達からでした。
「とにかく、凄いんだ。聴いてみてくれ。」と、彼の家で、Queen のファ−スト・アルバムを
聞いたのですが、彼の言葉には、偽りはありませんでした。スピ−ド感あふれるサウンド、急激な曲調の
変化、一糸みだれぬ高音のコ−ラスの見事さ。まさに、70年代の新しいサウンドだと、興奮を
覚え、彼らの音楽の虜となりはじめました。そして、セカンド・アルバムのこのQueenU を聴いて、
彼らは、本物の中の本物だと確信するに至りました。このころは、まだ、日本でも人気の出る前で、
一般的な評価としては、Zeppellin の模倣とする遅れた見方をする人が多く、私は、何故、皆この
良さがわからないのだろうと不思議でなりませんでした。しかし、killer QueenやBohemian Rhapsody
のヒット曲が出て、世界的な人気が高まるにつれ、そのような偏見は薄れ、70年代を代表する
ス−パ−・グル−プへと成長していくことになります。まだ、評価される前から、彼らの偉大の素質を
見抜いた事は、私にも、少しは音楽のセンスはあるのかなと多少、自惚れております。
このQueen が異色だったのは、彼らの経歴にもあります。それまで、Rockは、不良少年の音楽という
概念があったのですが、彼らは、大学卒、いわばインテリで、そうしたことが音にもあらわれ、
それまでのRockの持っていたどろどろした部分がなく、いわば、淡白なすっきりとした聴きやすい音
で、逆に、私達には新鮮に聞こえたのかもしれません。
このアルバム"QueenU" ですが、今はCDとなっており、A面とB面の区別はありませんが、LPに
おいては、A面がWhite Side、B面がBlack Sideとなっており、White SideはBrian May、Black Sideは
Freddie Mercury の曲が中心となっており、2つのsideは、異なるQueen の顔を見せております。ある
意味では、Beatles のあの"Abbey Road"を意識したアルバムの作りになっているのではないでしょうか。
Black Sideのメドレ−は、まさにそういった感じをいだかせますが、私は、"Abbey Road"よりこの"QueenU"
の方が好きです。特に、Ogre Battle から始まるBlack sideは、私の最も好きな片面であります。
華麗な高音コ−ラス、それから、逆回転テ−プの音で始まるOgre battle からのメドレ−は、スピ−ド感に
あふれ、また、変幻自在のメロディ−は、単純なメロディ−の羅列に慣れた私達の思考形態を超え、1曲が
まるで、2曲にも3曲にも聞こえてしまう魔力を持っています。疾風のあとは、やすらぎがあり、Nevermore
はまさにそんな安らぎのひとときです。その後、再び、The March Of The Queenで七変化のQueen が再登場。
そして伸びのある高音のFreddie のボ−カルが映えるFunny How Love Isは、私の最も、好きなQueen のナンバ−。
華麗なるピアノのイントロで始まる最後のSeven Seas Of Rhyeは、ファ−スト・アルバムにあったInstrumental
Numberに歌詞をつけたもので、この曲で、この華麗なる"QueenU" の音楽劇は幕を閉じます。このアルバムの他にも
たくさんの傑作を残したQueen のまさに中心人物であったFreddie Mercury が、すでに天に召されましたのは、誠に
残念と言う他ありません。まさに、天才の早死にで、音楽界の多大なる損失でしょう。御冥福をお祈りいたします。