1977年9月発売
(曲目)
1970年代の半ばから80年代にかけて活躍した、アメリカを代表する女性シンガー、
リンダ・ロンシュタットのベストともいうべき歌声がこのアルバムで、堪能できます。
彼女は、自分では曲を作らずに、他人の作った隠れた名曲を拾い出して、オリジナル以上
の出来に昇華させることが得意であります。また、レパートリーも、ある時は、ニュー・ウェーブ、
またある時は、ジャズのスタンダード・ナンバーと言うように、非常に、幅広く、しかも、
完璧に消化しているふところの深さを持っています。
このアルバムでは、アップ・テンポと、バラードのナンバーが、うまい具合に共存し、
非常に聴きごたえのある仕上がりとなっています。
オープニング・ナンバーの”It's So Easy”は、アップ・テンポのリズミカルなポップ・ナンバー
で、リンダ・ロンシュタットの楽しい世界にあっという間に引きずり込みます。この曲の後は、
バラードの聴かせるナンバーが多く、リンダの澄んだ歌声が心にしみてきます。とりわけ白眉は、
”Blue Bayou”で、これは、故ロイ・オービソンの名曲ですが、これを、リンダは、まさに自分の
物とし、オリジナルをはるかに超える位置に引き上げています。実に、感動的な名唱で、心が
すっかり洗われる様です。
ストーンズのナンバー”Tumbling Dice”で、ロックン・ローラーとしての一面が色濃くでていますが、
このようなパワフルな一面と、”Carmelita””Maybe I'm Right”等のバラードに示される繊細な一面とが、
ほどよくバランスされた極上のブレンド・コーヒーとでもいうのが、このアルバムでしょうか。
最近、このような、聴かせるアルバムが少なくなって来ているのが、残念です。