<Simple Dreams>(Linda Ronstadt)

1977年9月発売
(曲目)

  1. It's So Easy
  2. Carmelita
  3. Simple Man,Simple Dream
  4. Sorrow Lives Here
  5. I Never Will Marry
  6. Blue Bayou
  7. Poor Poor Pitiful Me
  8. Maybe I'm Right
  9. Tambling Dice
  10. Old Paint

1970年代の半ばから80年代にかけて活躍した、アメリカを代表する女性シンガー、 リンダ・ロンシュタットのベストともいうべき歌声がこのアルバムで、堪能できます。
彼女は、自分では曲を作らずに、他人の作った隠れた名曲を拾い出して、オリジナル以上 の出来に昇華させることが得意であります。また、レパートリーも、ある時は、ニュー・ウェーブ、 またある時は、ジャズのスタンダード・ナンバーと言うように、非常に、幅広く、しかも、 完璧に消化しているふところの深さを持っています。
 このアルバムでは、アップ・テンポと、バラードのナンバーが、うまい具合に共存し、 非常に聴きごたえのある仕上がりとなっています。
オープニング・ナンバーの”It's So Easy”は、アップ・テンポのリズミカルなポップ・ナンバー で、リンダ・ロンシュタットの楽しい世界にあっという間に引きずり込みます。この曲の後は、 バラードの聴かせるナンバーが多く、リンダの澄んだ歌声が心にしみてきます。とりわけ白眉は、 ”Blue Bayou”で、これは、故ロイ・オービソンの名曲ですが、これを、リンダは、まさに自分の 物とし、オリジナルをはるかに超える位置に引き上げています。実に、感動的な名唱で、心が すっかり洗われる様です。
ストーンズのナンバー”Tumbling Dice”で、ロックン・ローラーとしての一面が色濃くでていますが、 このようなパワフルな一面と、”Carmelita””Maybe I'm Right”等のバラードに示される繊細な一面とが、 ほどよくバランスされた極上のブレンド・コーヒーとでもいうのが、このアルバムでしょうか。 最近、このような、聴かせるアルバムが少なくなって来ているのが、残念です。

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