ドラ１の採点簿（39年度オフ入団選手編）

〜入団後10年間の活躍を振り返る〜

Ｏカンファレンス

　走攻守に優れた即戦力内野手の古幡選手に５球団の指名が入ったドラフトだった。抽選の結果、竜安（現岐阜）への入団となった。１年目からフル出場を果たし、打率.280、本塁打28本、打点86の成績を残し新人王を獲得した。４年目からは長打力がさらにパワーアップし、ホームランを量産し続けている。新人王以外のタイトルの獲得がないこともあり評価に悩んだが、毎シーズンほぼフル出場を続けており、現在もチームの４番を張り続けていることを勘案すれば、Ａ評価は問題ないだろう。
　その他の野手では東北が獲得した達崎（登録名：SABURO）と石見（現宇部）が獲得した三小田の評価をB+とした。SABUROは首位打者や打点王のタイトルを獲得した実績や通算打率が３割を優に超える成績は十分だが、近年衰えが顕著で、48年度シーズンからはほとんど１軍での出場がなくなっていることがやや寂しいところ。三小田は通算成績こそドラ１としては平凡ながら、これまでに新人王も含めた４つのタイトル獲得が輝かしい。その他の野手では横浜の戸矢崎はまずまず、沖縄の近添はやや寂しい成績となっている。花園に入団した角井は出場試合が71試合に留まり、45年度シーズンオフに引退をしている。
　投手ではともに２球団の競合の中、入団した野池（福岡）と池宮（新居浜）が結果を残している。野池はこれまで88勝を挙げ、最多勝と３度の奪三振王に輝いている。欲を言えば、防御率をもう少し下げたいところ。一方、池宮はタイトル獲得こそないものの、毎シーズン安定した成績を残してきている。また、ここ３シーズン連続で２桁勝利をしており、まだまだこれからの活躍も期待できる投手だ。
　松広は入団した佐久では芽が出なかったが、移籍先の名古屋ではクローザーとして活躍。後半５シーズンの成績をみればB+の評価を与えてもいいだろう。軟投派投手として三木に入団した角村はクローザー、先発、中継ぎと良く頑張っているが、やや安定感に欠けるか。ドラ１ということでＢ評価とした。
　浜松が獲得した小屋松は潜在能力は非常に高い高校生だったが、入団後全く成長を見せず、これまでわずか２試合の登板に留まっている。基本、大失敗のドラフトになるが、ドラ１の高卒がここまで成長しないのも、浜松には気の毒というのが正直なところ。旭川（現丸ノ内）に入団した荻津はドラ1としてはＣ評価も致し方ないか。

*1：現宇部、*2：現岐阜、*3：現丸ノ内
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ１位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

Ｕカンファレンス

　目玉となる新人がいなかったのがこのオフのＵカンファレンスのドラフト。競合があったのは安濃津（現名古屋）が獲得した兼久だけで、特に野手指名に関しては全チームが単独指名という結果となった。成績全体をみてもそれなりに活躍している選手はいるものの、小粒感は拭えない世代といえよう。評価に関してもＡ評価は出なかった。
　野手から見てみると、東松山と厚木（現三島）が高卒ルーキーとして獲得した津倉と磐佐の活躍が目立つ。津倉はシュアなバッティングが持ち味のスイッチヒッターで、これまで1,109試合に出場。長打力こそないものの、毎シーズン３割に近い成績を安定して残している。磐佐は入団時こそ非力感があったものの、毎キャンプで実力を付け、５シーズン目からはレギュラーに定着。これまで３割を超える打率を残している。能力から言うと、さらに本塁打、打点を稼いで欲しいところ。花巻に入団の荒蒔はこれまで1,000試合以上に出場しているものの、この成績はやや寂しい。サードの守備力には定評があるが、このポジションだともう少し打力が欲しいところ。盛岡の諸野、伊勢の秋沢、京都（現大分）の橘谷は光るものも持っているが、この成績ではドラ１としてはＣ評価となるだろう。
　投手に目を向けると、やはりやや寂しいと言わざるを得ない。しいて挙げるならば、上述の兼久がこれまでに356試合に登板。150km/hを超える速球で１年目に奪三振王を獲得していることからB+とした。
　その他の投手では、多摩の甲が新人王を獲得し、将来を嘱望されていたが、その後伸び悩み48年度オフに引退を決めている。津の薫は２年目、３年目と２桁勝利を挙げたが、その後思ったような成績を残せていない。北海の新部は即戦力投手として入団し、これまでに70勝しているが、防御率５点台はいただけない。世田谷の小串は勝ち星を重ねることが出来ず、47年度シーズンより三島でプレーしているが、C評価は仕方がないところだろう。屋島の湯野川もＯカンファレンスの小屋松同様、将来性が十分期待できる高校生として獲得したものの、10シーズン経てども成長する気配が見られない。これだからドラフトは難しいし、面白いところでもあるんだよなぁ。

**1：現大分、*2：現三島、3：現名古屋
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ１位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

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