海岸線地帯・海岸湿地の鳥

タンチョウ 絶滅危惧2類 (VU)特別天然記念物

タンチョウの成鳥  釧路湿原
種 名 ツル目/ツル科/タンチョウ 丹頂*
    Grus japonensis Japanese Crane

時 期 留鳥、または漂鳥。 外国では渡り鳥。

形 態 L140mm、翼を広げると2m40cmにもなる。
    嘴峰160-170mm 翼長625-664mm
    尾長240-275mm ふ蹠266-314mm.
    雌雄同色。
    頭頂は、赤い皮膚が裸出(50mm)している。
    裸出している赤い皮膚は興奮すると100mmになる。
    体は白色。 足は黒い。
    眼先、喉、前頸から後頸にかけて黒色。
    翼の次列風切と三列風切は黒い。
    尾羽は白く、光彩と脚は黒い。嘴は黒っぽい黄色で
    先端から2/3のところに鼻孔がある。
    鳴き声: オスは「クッ クッ」
         メスは「クァッ クァッ」と鳴く。
* 丹頂鶴の名の由来は、
丹はという意味で、頭頂が赤い鶴であることから丹頂鶴。
羽ばたくと初列風切の先端は、指先のように開いている。
次列風切と三列風切りの黒色が目立つ。
生   態
分 布 旧北区。
    北海道と、ユーラシア大陸に分かれて、2つの個体群がある。
    ユーラシア大陸の個体群は、アムール川中流、沿海州南部、中国東北部に繁殖分布し、
    朝鮮半島、中国東部に渡って越冬する渡り鳥。
    北海道の個体群は、留鳥、または漂鳥。
    冬は阿寒町、鶴居村などの人里近くで越冬し、春から秋は釧路湿原から野付半島を経て北方領土まで繁殖分布する。

    1924年に約30羽となり、環境省を始め保護増殖事業実施の成果で、現在、生息数が800羽に増加した。
    絶滅危惧2類 (VU)
    アホウドリや、タンチョウは、絶滅危惧2類 (VU) になりましたが、現状では保護増殖事業に依存しており、
    事業を停止した場合は、生息数の急激な減少が生じることが予想されます。
生息地

繁殖期は、広々とした低層湿原、河川、湖沼、海岸に接している湿原で生息する。

越冬地では、湿地、耕地、不凍の河川、湖沼、干潟に生息する。

積雪期は、トウモロコシなどで餌付けしている餌場へ群で飛来する。
越冬組のつがい 9月 鶴居村
採   食

新芽、葉、種子、果実、穀類の植物質、昆虫類、ミミズ、タニシ、甲殻類、ドジョウなどの魚類、カエル、小鳥の雛、
ネズミなどの動物質も食べる雑食性。
首を下げて、湿原の水辺をゆっくり歩きながら嘴で探って餌を探し、
餌を見つけると、ついばんだり、先端の鋭い嘴で突き刺して採食する。

首を下げて、湿地をゆっくり歩きながら餌を採食する。
嘴で水中をさぐって餌を探す。
繁殖地に近い湿地で、餌を探す。
つがいでドジョウを採食している湿地。
タンチョウの趾(あしゆび)

タンチョウは木にとまることがないため,第1趾が短く,上方についている。
湿地を歩くため,足が泥の中に潜らないように他の3趾が長く,広がっている。
採食していたつがいが、突然、愛の絆を確かめ合う踊りを、はじめた。 
繁   殖
抱卵交代時、嘴で卵を回転している親鳥
2つの卵を抱いて温める
繁 殖 繁殖期は、3-10月。 一夫一妻。
    巣づくり: 雌雄が協力して巣をつくる。 湿原の中の地上に、枯れ草などを敷いて、大きな皿形の巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、2個。 1巣2卵が無事に育つのは、繁殖に成功するつがいの10%ほどしかない。
    抱卵: 雌雄交代で約30日間、抱卵する。  孵化した雛は、早成性。
釧路湿原の中にあるタンチョウ繁殖地。
薄茶色の雛は親鳥の近くの草むらにいた。

雛の餌を探しに飛ぶ親鳥。 8月

    孵化: 孵化後、3日で巣を離れる。 雛は自力で餌を捕ることができるが.....
        親の後をついて歩き、父親・母親が捕ってくれた餌を、くち移しでもらって食べる。
        生後、100日ほどで親鳥とほぼ同じ大きさになるが、翌年の突き放し(親子の別れ)まで、
        「ピーピー」と鳴いて親に餌をねだる。
求愛のディスプレイ
タンチョウの求愛行動・鶴の舞い

オス・メスが向かい合って飛び跳ね・鳴き交わしをする。
オスが嘴を空に向けて「クッ クッ」と鳴くと、
メスも嘴を空に向けて「クァッ クァッ」と鳴き返す。
「クッ クッ」「クァッ クァッ」と大声で鳴き交わす。 

ときどき、つがいは愛の絆を確かめる鶴の舞いをする。
1月

冬期は、人里の給餌場に群で越冬する。 群には親と春に生まれた子の家族が見られる。
夜間は、大きな群となって、川の浅瀬をねぐらにして片脚で眠る。
夜が明けると、給餌場に向かう。
2-3月、親鳥は若鳥の独立を促すため、前年に生まれた若鳥への給餌を減らし、頻繁に突っつきを繰り返して、
突き放し(子別れ)をする。 子を置き去りにして子別れをする親鳥もいる。
いずれの場合も、突き放しを終えた親鳥は、繁殖地へ行く。
春期は、繁殖地で、つがいの求愛ディスプレイが活発になる。
夏期は、湿原に2-7平方kmもの縄張りを、つがい単位で形成して分散する。
10-11月に縄張りを解消する。 繁殖しない若鳥は小さな群か、単独で過ごす。

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