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4眠・脱皮・5齢幼虫 (終齢)
4眠はカイコの幼虫で最後の眠です。
約2日間、眠に入ります。
カイコの脱皮。
カイコの背にある半月紋は、脱皮によるズレがよく観察できます。
 まず腹部の皮膚が後方に引っ張られ、つづいて胸部が脱皮して新しい顔状紋が現れます。
カイコの側面の気門からは古い器官が引っ張り出され、移動しているようすが観察できます。
胸部・腹部の脱皮につづいて頭部が脱皮して、5令(終令)になります。
脱皮が終わると新しい皮膚が固まる数時間は、眠の状態で静止しています。
抜け殻は背面。
頭部の抜け殻。
胸部・腹部の抜け殻。
抜け殻は腹側。
5令幼虫
5令幼虫は食欲旺盛。一生の食事の80%以上を5令期に食べます。
当然、糞の量も多くなる。
カイコの糞は6弁の花形。
約1週間、食べ続けた5令幼虫は4令の3倍、約65〜85mmになります。
カイコの体内の絹糸腺には液状絹糸が溜まって、体重は蟻蚕時の1万倍以上にもなります。
背面中央の背脈管
お尻(心臓)から頭部に向かって体液(血液)が流れています。
写真左で黒く見える体液が、写真右では頭部の方向に流れているようすがわかります。
熟蚕(じゅくさん)
カイコの5齢幼虫は、約7日経つと全く食事をとらなくなり、
体の絹糸腺に溜まった絹物質が体表から透けて、暗黄色・あめ色に見えます。
熟蚕(じゅくさん)です。
体内の絹物質
カイコが頭を上げて左右に振るしぐさをしたり、糸を吐くようになったカイコは
よく歩き回ります。

蚕座で糸を吐き始めた熟蚕。 カイコは床と壁があれば繭(まゆ)を作ります。
(まぶし)
熟蚕になると、繭が作れる部屋に入れます。
その部屋を蔟(まぶし)と呼びます。

自作の蔟は、高さ約40mm、1区画を約30×45mmで仕切ります。
カイコの好みで入る区画と、入らない区画が生じるため、
蔟の区画数は、熟蚕頭数の約2倍が必要です。
回転蔟(営業用)
養蚕農家では、縦型の回転蔟を使います。 ひとつの蔟は12×13で156区画です。
回転蔟は、中心を支点に回転するように吊した蔟です。
熟蚕は足場糸を吐いて繭を作り始めるまで、上へ上へと登る性質が強いため、上部の区画だけに片寄ります。
蔟の上部に熟蚕が片寄ればバランスが崩れるため、蔟が重力で支点を中心に回転します。
回転で上下の入れ替わりを繰り返すことによって、熟蚕がバランスよく区画に入って繭を作る位置を決めます。
その仕組が回転蔟です。

上蔟(じょうぞく)
蔟に熟蚕を入れる作業を上蔟といいます。
上蔟日の目安は、5令幼虫時、午前中の平均飼育温度の累計が190℃を超えたとき、だそうです。
たとえば、飼育温度20℃で10日目が上蔟日の目安となり、それを見計らって上繭しています。
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