『鳩の翼』 The Wings of the
Dove (1997) 原作はヘンリー・ジェームズ。「花のロンドンに咲き、水のヴェニスに散った恋。」
「生きていくためには愛を捨てなくてはならないケイト。愛に生きるには時間が足りないミリー。
ゴンドラには一人の男と、一人の女しか乗れない。」このキャッチ、好きなんですよ〜。
没落した中産階級の娘ケイトは、新聞記者マートンを愛しているんだけど、伝統と因習に縛られ、彼との結婚には踏み切れない。そんな中、莫大な遺産を相続しながらも不治の病に侵された、天使のようなアメリカ人ミリーに会う。マートンに惹かれたミリー、それを利用しようとするケイト。恋の迷路に迷い込んだ三人の運命は・・・?
神秘と官能にあふれたヴェニスへの旅、これまたため息ものの美しさなのです。無垢な美しさ、というよりは残酷な美しさ、といったところ。英語うんぬんというか、シーンのすばらしさにとことん惚れた!
ヘレナ・ボナム・カーターが、ここではケイト役で登場。なかなか凄みがあって(あからさまじゃないですヨ)、ぞくぞくします。ただし、アクセント的には、『眺めのいい部屋』の時の方が良かったような。ミリー役のアリソン・エリオットはアメリカ人で、アメリカ人の役なんですけど、彼女の英語もかなりエレガントでしたよ♪あんまりアメリカンには聞こえませんでした。
タイトルにも通じるこの英語、とても心に残りました。
〜I wish I had wings of the dove so I could fly away.〜
ミリーがサンマルコ大聖堂のテラスから下(というか世界)を見下ろしながら言うセリフ。自由への飛翔を望み、限られた時間を精一杯生きるミリーと、因習に縛られて踏み出せないケイトの対照が、とても印象的。
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