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映画で楽しむエレガンス英語


正式な上流階級アクセントなんて、普段生活していてそうそう聞けるものではありませんよね。どうせなら、ストーリーとともに、映画で存分にエレガンスの世界を味わいましょう^^。

以下は、わたしのおすすめ作品です。ただし、それが100%正式なアクセントかどうかは保証できませんが(笑)。時代映画は、使われている英語もその時代のものですから、趣がありますよね〜♪


| マイ・フェア・レディ | エマ | 理想の結婚 | いつか晴れた日に |
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眺めのいい部屋 | 鳩の翼 |アナザー・カントリー|


マイ・フェア・レディ』 My Fair Lady (1964)

とりあえず、これは基本でしょう!ヘップバーン扮する貧しい花売り娘イライザが、音声学者ヒギンズ教授に出会い、彼の厳しい(意地悪な(?))指導の元で洗練されたレディに変身する、というミュージカル映画。

コックニー英語から上流階級の英語まで、各種英語の大集合!といった感じです(笑)。いろんなアクセントがいっぱい聞けるし、ヒギンズ教授の発音矯正方はかなり参考になるかも♪

エマ』 Emma (1996) 

原作はジェーン・オースティン。グィネス・パルトロウ演じる、勝気なお嬢様「エマ」が、恋のキューピットとなって親友ハリエットに恋人を見つけようと大はりきり・・・そこでいろんな騒動が巻き起こり、最後はエマ自身、すてきな恋にめぐりあっちゃう。

各シーンや衣装はためいきが出るほど美しいし、個性的な登場人物がざくざく登場して、なんとも楽しい映画です♪「品のある“はちゃめちゃ系”」とでもいいましょうか、ユーモアのセンスもあるし、わたしの大のお気に入り^^。

さてさて、グィネスのイギリス発音はとびきりキュート!最初、この映画を見て絶対イギリス人と思いましたもん。グィネス自身も、「この映画に出てよくイギリス人と間違えられたわ」なんて言ってましたね^^。アクセント的に、ここでのグィネスの英語は「つまった音」が多い気がします。それが正しい上流アクセントかどうかはおいといて(分からんだけ(笑))、チャーミングに聞こえることには違いなしっ。

わたし的に、耳に一番響き良かったのは、ハリエット役のトニ・コレットの英語。メロディーにそって流れるような発音なのです^^。女性の優しさにあふれたような上品なアクセント。ウエストン夫人役のグレタ・スカッキの英語も気品があってよいですねぇ。

男性陣の方はといいますと・・・。紳士の誉れ高いナイトリー役、ジェレミー・ノーサムの英語は・・・・とっても自然なもので、かえって耳にあまり残りません^^;。いいんだか悪いんだかね。それよりは、奔放なフランク・チャーチル役、ユマン・マクレガーの英語がよい!超〜〜鼻声の上流階級英語が、かえって耳に病みつきます(笑)。

『理想の結婚』 An Ideal Husband (1999)

原作は、オスカー・ワイルドの戯曲、"An Ideal Husband(理想の夫)"。映画のキャッチは「“理想の夫"をめぐって、淑女と悪女と賢女が誘って騙して脅かして。」なんていう粋なものでしたねぇ。

舞台は1895年、ロンドン上流社会。社交界でもおしどり夫婦として有名な若手政治家ロバートと聡明な妻ガートルード。ロバートの妹メイベルは、ロバートの親友で独身貴族アーサーがお気に入り。そこへウィーン社交界からやってくるのが、ロバートの秘密を握った、妖艶なチーブリー夫人。脅迫あり、かけひきあり、誤解あり・・・さてさて、理想の結婚とはいかに?

会話にあふれるウィットは、オスカー・ワイルド色ばりばりです。シーンもすてきだけど、この映画はやっぱり「会話」を楽しむものでしょう♪正直、知的過ぎて、気合入れて見ないと(聞かないと)、取り残されてしまいます(笑)。

アーサー役のルパート・エヴェレットのエレガントな英語がたまりませ〜ん。まさにハマリ役、という感じ。教科書テープ、彼に吹き込んでもらいたいもんだな。ガートルード役のケイト・ブランシェットは個人的に大好きな女優さん。彼女のアクセントには、品とともに「ハリ」があるんですよね。あんな英語話したい・・・・・(ムリムリ)。響き的には、チーブリー夫人役のジュリアン・ムーアの英語が印象的。とても、アメリカ出身とは思えない!悪女役には違いないんですけど、この上なく品があるのです。

メイベル役のミニー・ドライヴァーはイギリス人だそうですが・・・・この人の上流階級英語、なんでこんなに無理があるんだろう(笑)。逆に、絶対アメリカ人と思ったもん!ただし、「わたし、がんばってエレガントな英語話してま〜す」といった感じで誇張が多いので、かえって参考になるかと思われます。「ああ、こういう風に話そうとしてるんや」ってね(笑)。

いつか晴れた日に』 Sense and sensibility (1995)

原作は、これまたジェーン・オースティンで、邦題は『分別と多感』。
19世紀初頭のイギリス。父親の死後、後妻だった母親と3人姉妹は貧しくなり、先妻の息子夫婦に家を追い出されてしまいます。エマ・トンプソン演じる長女エレノアは“Sense(分別)”あって、自分の感情を抑制するタイプ。ケイト・ウィンスレット演じる次女マリアンヌは、“多感=Sensibility”で情熱をもてあまし、思うがままに行動したいタイプ。出会いがあって、別れがあって・・・・最後にはそれぞれの幸せをつかみます。

「貧しくなって」といっても、やっぱりそんじょそこらの普通の貧乏ではないから(笑)、何だかんだいってエレガント。パーティーのシーンなんかもあるし、自然描写もすてき。

エマ・トンプソンの演技&発音も好きですけど、やっぱりケイト・ウィンスレットのアクセントは品があって美しいと思う。女優さんとしてより、彼女の「英語」が好きなんです(笑)。彼女、声もきれいですもんね〜。

眺めのいい部屋』 A room with a view (1986)

E.M.フォースターの小説が原作。イギリスの令嬢ルーシーが、旅先のフィレンツェで進歩的な青年ジョージに出会い、ジョージはルーシーにくちづけする。厳しくしつけらたルーシーはただ惑うばかり。帰国後、貴族的青年との婚約、婚約解消といろいろあって、ジョージへの真実の愛に目覚めます。

なんかいっぱい賞をとっている作品の割に、イマイチ感動出来なかった^^;。多分、原作で呼んだら、あの「ものかしさ」がかえって心を揺さぶるのでしょう。ただ、英語教材としてはなかなかよろしい思います。慇懃無礼な礼儀作法やらフレーズやらであふれていますし。

ルーシー役のヘレナ・ボナム・カーターのアクセントがこれまたよい!初々しくって、耳に心地よい発音です♪

鳩の翼』 The Wings of the Dove (1997)

原作はヘンリー・ジェームズ。「花のロンドンに咲き、水のヴェニスに散った恋。」
「生きていくためには愛を捨てなくてはならないケイト。愛に生きるには時間が足りないミリー。
ゴンドラには一人の男と、一人の女しか乗れない。」このキャッチ、好きなんですよ〜。

没落した中産階級の娘ケイトは、新聞記者マートンを愛しているんだけど、伝統と因習に縛られ、彼との結婚には踏み切れない。そんな中、莫大な遺産を相続しながらも不治の病に侵された、天使のようなアメリカ人ミリーに会う。マートンに惹かれたミリー、それを利用しようとするケイト。恋の迷路に迷い込んだ三人の運命は・・・?

神秘と官能にあふれたヴェニスへの旅、これまたため息ものの美しさなのです。無垢な美しさ、というよりは残酷な美しさ、といったところ。英語うんぬんというか、シーンのすばらしさにとことん惚れた!

ヘレナ・ボナム・カーターが、ここではケイト役で登場。なかなか凄みがあって(あからさまじゃないですヨ)、ぞくぞくします。ただし、アクセント的には、『眺めのいい部屋』の時の方が良かったような。ミリー役のアリソン・エリオットはアメリカ人で、アメリカ人の役なんですけど、彼女の英語もかなりエレガントでしたよ♪あんまりアメリカンには聞こえませんでした。

タイトルにも通じるこの英語、とても心に残りました。
〜I wish I had wings of the dove so I could fly away.〜
ミリーがサンマルコ大聖堂のテラスから下(というか世界)を見下ろしながら言うセリフ。自由への飛翔を望み、限られた時間を精一杯生きるミリーと、因習に縛られて踏み出せないケイトの対照が、とても印象的。

アナザー・カントリー』 Another Country(1984)

原作はジュリアン・ミッチェルの戯曲。祖国イギリスを裏切り、ソ連のダブルスパイとなった主人公。1983年のモスクワで、ジャーナリストがもはや老人となった主人公にインタビュー。彼は1930年代のパブリックスクール時代の出来事を語り、エリート社会の残酷さを映し出します。スクール時代の、権力闘争やら厳しい習慣やらに、共産主義思想があいまった回想シーンが映画の中心なわけなのですが・・・。

正直、わたし的には「だからスパイになったんだい」という結論には直結できませんでした。というか、ちゃんと内容を追ってなかった^^;。ここでの見所は、ひとえに「パブリックスクールとはどんなもん?」といったところ(笑)。

主人公が、またまたルパート・エヴェレット。若い男だらけの世界で、もちろんロマンスもあったりするわけで、これまさにハマリ役。少女マンガでいったら、全ページのバックにバラが咲いていることでしょう(笑)。登場人物もほとんど男性。ここで、ある驚くべき(?)発見をしました。

「さすがに、ここまでパブリック・スクール・アクセントの男性ばっかりの会話だと、“くどい”」!(笑)。
普通のイギリス英語に混じるか、はたまた男女の会話であるなら、「んまぁ、エレガント」と思いますが、全員が全員(しかも男性)がねっとり話すと、「ああああ、ごめん、もういいわ」と思ってしまいます。そんな気分を味わいたい方に、ぜひおすすめ(笑)。