| ★Story★
舞台は19世紀のパリ・オペラ座。プリマドンナのカルロッタを主役としたオペラ『ハンニバル』の稽古中、突然背景幕が落下した。気を悪くしたカルロッタは役を降りてしまい、代役に抜擢されたのはコーラスガールのクリスティーヌだった。それは、オペラ座の地下に住む“怪人”が、愛するクリスティーヌを主役にせんがための仕業だったのである。 クリスティーヌは見事に代役をこなし、拍手喝采をあびる。終演後、楽屋を訪れた幼なじみのラウルと再会、二人は喜びを分かち合った。しかし、ラウルが席を外したわずかな間に、オペラ座の怪人が楽屋の鏡の中から現われ、クリスティーヌをオペラ座の地下深くへと連れていった。神秘的な地下の湖を舟で渡り、クリスティーヌは怪人のすみかで歌のレッスンを受ける。 翌朝、怪人の素顔に好奇心を覚えたクリスティーヌは、怪人がオルガンに熱中している隙を見て仮面を剥ぎ取り、怪人の醜い素顔を見てしまう。激怒する怪人、しかし結局は仮面を返すように懇願した。クリスティーヌは怪人の孤独な心を感じ取り、仮面を返す。 オペラ座の支配人に怪人から脅迫状が届いた。「オペラ『イル・ムート』のプリマドンナをクリスティーヌにしないと、災いが起こる」というものだ。侮辱されたと怒るカルロッタをなだめ、支配人たちは怪人の要求を無視してしまう。舞台の初日、怪人の不気味な声が響いた。カルロッタの声はかえるの鳴き声になり、道具係のブケーは、首吊り死体となって落ちてくる。 大騒動の劇場を抜け出したクリスティーヌとラウルは、お互いの愛を確認しあう。二人の様子を陰から見ていた怪人の哀しみは恐ろしい嫉妬に変わった。 そして、カルロッタの代役で舞台に立ったクリステイーヌの足元をめがけてシャンデリアを落下させる。 半年後、場面は仮面舞踏会。集まった人々が華やかに歌って踊る中、クリスティーヌとラウルは密かに婚約を交わした。 舞踏会の途中、仮装した怪人が現れ、自作の新作オペラ「ドン・ファンの勝利」のスコアを支配人に渡して消える。 支配人のオフィスにまたもや怪人から脅迫状が届く。「『ドン・ファンの勝利』の主役をクリスティーヌに」というもの。ラウルは怪人を罠にかけようとクリスティーヌに主役をやるように言うが、クリスティーヌはそれを拒否する。 クリスティーヌは思い悩んだ末、父親の墓を訪ねた。そのとき、怪人が十字架の中から現れ、自分こそが父親の言っていた音楽の天使だ、とクリスティーヌを誘う。クリスティーヌは怪人のもと歩み行くが、追ってきたラウルの一言で我に返った。 さて「ドン・ファンの勝利」の初日。怪人はドン・ファン役のピアンジと入れ替わるが、体を包んだ衣装なので、誰も気がつかない。クリスティーヌはやや不審に思いながらも、舞台を続けた。 ドン・ファン役として激しい愛を告白する怪人。デュエットの途中で、クリスティーヌはドン・ファンのフードをはぎ、舞台は大混乱となる。ピアンジは死体となって舞台で発見された。怪人はクリスティーヌを連れていってしまう。 再び隠れ家である地下の湖へやってきた怪人は、クリスティーヌにウェデイング・ベールをかぶせ、結婚を迫っていた。そこにラウルがかけつけるが、首に縄をかけられてしまう。 怪人は「私の愛を受け入れてラウルを助けるか、拒絶してラウルを見殺しにするか」と選択を迫る。 卑怯なやり方に絶望するクリスティーヌ、しかし怪人の孤独な心も思いやって、怪人にキスをする。 あわれみの心を感じたのか、怪人はうずくまってしまう。そしてラウルを自由にし、二人に自分の前から姿を消すように言う。二人は言われた通りに去って行くが、 クリスティーヌはいったん戻ってきた。怪人は彼女に愛の告白をするが、 クリスティーヌはそのまま去って行く。 一人ぼっちで、「クリスティーヌ、愛している」と泣き崩れる怪人。2人を乗せた舟は怪人から遠ざかっていった。 怪人をとらえようとする人々が隠れ家に近づき、怪人は玉座に座ってマントを頭からかぶった。 クリスティーヌの親友、メグがかぶせてあるマントを剥ぎ取ると、そこにはもう怪人の姿はなかった。オペラ座の怪人の仮面だけが残されていたのである・・・。 ★演出★
以上のようにストーリーを書きましたが、ミュージカルでの本当の舞台の始まりは、 オークションの場面です。古びた布で覆われたものがちらばっていて、「何だ、このちっぽけな汚い舞台設定は!」と一瞬皆思うはず。車椅子の老人が、ペルシャ風の服を着た猿のオルゴールを落札します。彼こそ、後のラウルなのです!(もちろん、そのときは知る由もない。というか、わたしも聞いて知ったから、舞台だけでは分からないかも^^;。)オルゴールを見て過ぎた日のことを思い出すラウル・・。そのオルゴールは、最後の場面でクリスティーヌに去られた怪人が泣きながら聞いていたものなのです・・・! そしてオークションの目玉、巨大な品物から布が取り去られると、それは巨大なシャンデリア!音楽とともに明かりが灯り、シャンデリアは閃光と共に不気味に揺れながら客席の頭上高く上がっていきます。そう、そこで場面がストーリーの最初へとつながるのです。もちろん、シャンデリアが落ちたときも同じ音楽!ああ、時間がまわるまわる・・・・。 |