おすすめの教材の中から、選りすぐった情報を簡単に紹介します。
気に入ったものがあれば、なるべく自分で買って読みましょう。
(発音関係の本がたくさん売れれば、出版社も、それだけ発音に力をいれるはず!)
UDA氏は、著書やビデオ等で「発音がわかれば英語がわかる」として効果的な方法を発表しています。ここでは、『30音でマスターする英会話』のP.51から「母音をマスターするコツ」を引用します。
『母音を正しく発音するには、下あごのコントロール(唇ではなく、あごの動き)が重要となる。カタカナ式の発音では「開く音」を発音するのはむずかしいどころか不可能。
これに対し、英語の「開く音」には狭い口の形で声を出し始め、下あごを一瞬で大きく下げる一連の動作で発音する。下げ方は、あくびをするような大きな動きとなる。
下あごをコントロールし、正しく発音していると微妙に変化する英語特有の音を聞けるようになってくる。つまり、ネイティブの英語が聴き取れるようになり、会話力が向上するというわけだ。』
『30音でマスターする英会話』 鵜田豊著より
※「開く音」等については、UDA氏のホームページの説明がわかりやすいと思うので、下に引用しました。
box の o のように 日本語の「あ」よりも、口を大きく開いて発音する母音を 「開く音」といいます。 cut の u のように 日本語の「あ」と同じような口の開きで発音する母音を 「狭い音」といいます。 |
Note: 「開く音」「狭い音」「変化する音」は学術語ではなく、 発音の分類、解説のために私が作り出した用語です。 Y. Uda |
『30音でマスターする英会話』のP.52から「より英語らしく発音するために」を引用します。
『英語と日本語の決定的な違いは共鳴音
一般に日本語はノドを狭くして声を出すが、ネイティブは「あくび」をするようにノドを開け、ノドと鼻に共鳴させて声を出す。共鳴音がだせるようになれば、英語がどんどん耳に飛び込んでくるはずだ。』
『歯の位置と下あごのコントロール!
英語を話すときはしたあごを少し前に出し、上下のはがあうようにしておこう。これは口の中を広くして、英語特有の共鳴音を作るためだ。』
『30音でマスターする英会話』 鵜田豊著より
『...fatherの最初の母音が,ほぼこれに当たる.私は,この母音を「うがいの音」と呼んでいる.うがいをするときには,口を大きく開けるから,...,低くなる.また,うがいをするときには,顔が上を向き,舌は,それ自身の重みのために,...,頭の後ろのほうに垂れる.すなわち,このとき,舌の形は「低くて後ろ寄り」という...条件を満たすのである.』 ※「...」は引用者による省略個所
要約すると・・・うがいのときは
口を大きく開けるから 舌の位置は低くなる。
顔を上に向けるので 舌は頭の後ろのほうに垂れる
よって 舌の形は「低くて後ろ寄り」になる=fatherの最初の母音
『英語音声学入門』 松坂ヒロシ著より
「舌の動きを感じる」
よく発音の説明に舌の位置についての説明がありますが、なかなかすっきりとした実感をもてないのでは?下記の本の中の「アクセントと母音の音質」にある例を実際に言ってみると、微妙な舌の動きが感じられると思います。
『ネエサン [nEesaN] 「姉さん」
ニイサン [niIsaN] 「兄さん」
「姉さん」では、第1拍が第2拍に移るにつれて舌が上がるの[E]→[e]に、「兄さん」では、反対に下がっていく[i]→[I]。』※発音記号は正確に引用できませんでした。[E]は本当は3の鏡文字のような字です。アクセントを表す記号も、どうやって表記すればいいのかわからないので、省略しました。
この本は、他にもなるほどと納得することが、いっぱいあるので一読をおすすめします。
『音声学入門』 小泉保著 P115 より
著者は2重母音について『二重母音というのは1つの母音から他の母音への移動によって生じる音、つまりわたり音(glide)をもつ母音である。』と説明しています。
また『外国人学習者に共通する誤り』として『二重母音を2つの単母音として発音してしまうこと』をあげています。
著者のアドバイスは具体的でわかりやすいので、ちょっと長くなりますが引用してみます。
『おそらく、あらゆる二重母音に関して、心得ておかなければならない最も重要なことは、二重母音の前部分が後部分よりもはるかに長く、かつ強いということであろう。例えば、('eye'や'I'における)二重母音aIの大部分はaという母音であって、その二重母音の終わりの約4分の1だけにIへのわたり音が認められようになる。Iへのわたり音が生じると、音の強さは低下する。その結果としてのI部分は短く、弱いのである。したがって、外国人学習者は、英語の二重母音の終わりの部分をあまり強く発音してはいけないということを、常に意識していなければならない。』
※他の説明もわかりやすいので本書のご一読をおすすめします!本書は原書も日本語版も入手が容易なので読み比べてみると英語の勉強にもなりそうです。
『英語音声学・音韻論』 ピーター・ローチ著より
数年前のプライベートレッスンでのやりとりです。
M先生「日本語に2重母音はあると思うかね?」
Chikashi「考えたことないけど、あるんですか?」
M「いろいろな説があるようだが、私は、あるとしたら1つだけだと考えるのだが、なんだと思うかね?」
C「???」
M「”あい”だよ。」
C「えっ、あいですか?」
M先生が板書する。『あい(愛)』
C「???」
M「例えば”あお(青)”とくらべると”あい”のほうが少し”あ”と”い”の間でグライドしているのが分かるだろう。この母音の組合せだけが他のものと違っているんだ。」
C「でも英語と違ってわずか(なグライド)ですね。」
M「だから説がわかれるんだよ。私は2重母音と考えるがね。」
そして、M先生は「この字のほうがいいかな?」といいながら、ホワイトボードの”愛”の横に”藍”と書き加えてにっこり笑った。イギリス人のM先生は、日本語と中国語に堪能で、漢字の読み書きもできるとは聞いていたが、うわさ以上にすごかった。(あとで先生に参考文献を聞いたら、「もう前のことなので思い出せない。」とのこと。残念!!)
「プライベート レッスン」の先生の話しより