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 ビオトープ BIOTOP
ビオトープとは、ドイツ語のBio(生物)とTop(場所)の合成語。
つまり、多種の生物たちがお互いにつながりをもって生きられる場所(環境)を意味する。

多様生物の保全・・・メダカは絶滅の危険性が増大している種として絶滅危惧種。
以前は各地で当たり前のように見られたメダカが、絶滅危惧種(野生種が東京都では絶滅)に指定されているように、
おもに市街地や、埋立地、造成地などからなる市街地では、野生生物の種数が少なく、自然環境が質量ともに乏しい。
近年、地域、学校などによっては、生物の生息空間(ビオトープ)となる自然環境の整備などによって、
生物多様性の質を高める取り組みが進められている。
ベランダでも可能な
ミニ・ビオトープの生態系。
我が家のミニ・ビオトープで生態系をつくっている生物

魚 類: クロメダカ、バラタナゴ。
エビ類: ミナミヌマエビ、ヤマトヌマエビ。
貝 類: 二枚貝:イシガイ、 巻き貝:イシマキガイ、タニシ。
水 草: スイレン、イグサ、スターグラス(白鷺の舞い、シューティングスター)、カモンバ。

採食生態
採食しているバラタナゴ
水底の微生物を採食しているメダカ
いっさい人工飼料は与えず、生物はビオトープの生態系だけで生活している。
メダカもタナゴも彼らの糞から発生した微生物などを食べて生きている。
動物性プランクトンは植物性プランクトンを食べ、魚類・エビ類・貝類などはそれらを採食して生きている。
動植物プランクトンは、かれらの食料をつくる生産者である。
水の浄化と繁殖生態 タナゴと二枚貝
水の浄化
二枚貝がもつ水を浄化する能力は大きい。

自然環境では海水・淡水に関わらず、二枚貝が水を浄化している。
人工の浄化フィルターを使用していないビオトープでは、
水の浄化を貝類の助けに頼っている。


繁殖生態
タナゴは二枚貝の中に産卵し、孵化するまで常に、
きれいな水を卵に送ってもらっている。
タナゴ♀がイシガイの中に産卵した後、放精している♂。
タナゴの♀の長い産卵管と産卵。
タナゴはカラスガイやイシガイなどに産卵するが、
人工の貝(陶磁器製)などにも産卵する。
繁殖生態 メダカと水草
水草(カモンバ)が出した気泡とクロメダカの交尾。
植物は動物が排出したCO2を取り込み、わたしたちにも必要な酸素を出す... それが水草などに気泡となって見られる。
クロメダカの交尾。
下が♂、♀の体を♂の背ビレでつかんでいる。
まったく給餌はしていないビオトープの生態系で、交尾・産卵などの繁殖と、採食・休息など、生活の全てが行われている。
メダカの産卵

メダカは水草の葉、茎、根などに産卵する。
水草は卵に新鮮な酸素を送り、酸欠にならない水づくりをする。
上の写真2枚は、いずれもメダカの産卵。
♀は体を左右にゆさぶりながら水草の中に入り、卵を水草にこすりつけて産卵する。
巻き貝、エビ類は掃除役。

タニシやイシマキガイなどの巻き貝、エビ類は、
水草、水槽などに発生したアオコなどを食べる。


タニシなどがアオコなどを採食することによって、
きれいに掃除された水草に日光がよく当たるため、
光合成が活発になる。
タニシの殻を掃除するエビ。
水草の茎や葉に付着したアオコなどを、
ひとつ1つていねいに食べてきれいにするタニシ。
微生物を採食しているヤマトヌマエビ(左)とミナミヌマエビ。
ミナミヌマエビが脱皮した脱け殻。
エビ類は脱皮して大きい体に成長する。
ミナミヌマエビの抱卵・産卵
産まれた仔エビ
スイレンなどの浮葉は、仔魚の隠れ家となり、
炎天下には魚類や海老類、貝類などの日よけになる。

浮き葉を日傘代わりにしているメダカの成魚
よく泳げない仔魚は水草の近くにいる... それは天敵に見つかると、捕食されないように水草の下へ逃げられるため。
アキアカネ 避暑地へ移動
2005年6月28日  アキアカネ数万匹が船橋市上空を飛んで山に向かった。
アキアカネは7月に羽化するが、気温が急上昇したため6月に一斉羽化した。 このニュースは新聞にも・・・

アキアカネ

7月に平地の池、田んぼなどで羽化した後、夏季は標高1,400メートル以上の涼しい山で過ごし、10月になると里に下りてきて繁殖する。

その時季、アキアカネの♂のからだが婚姻色の真っ赤になることから、『赤トンボ』と呼ばれている。

このトンボがビオトープに産卵すれば、ヤゴが産まれ、ヤゴはメダカを捕食して成長し、翌年、羽化して成虫・アキアカネになる。

ビオトープの生態系

ミニ・ビオトープの中でも、多様な生物同士が互いにつながりをもって生活し、その生態系のバランスが保たれている。
しかし、どれか1つの生物が増すぎ・減りすぎ、あるいは欠けることによって、その生物に依存して生活している生物は、
生きてゆくことが困難になり、生態系のバランスが崩れてしまう。
生物が棲める水質などの生息環境こそ欠かせない大切さがある。

自然界では1種の生物が絶滅すると、それに依存して生きている生物10-30種以上が絶滅するといわれている。
2000年代には1日100種以上の生物が絶滅に追い込まれている。
彼らが生きて行けない環境では、わたしたちも生きられないのだ。

ビオトープ内のメダカを透明な水槽で観察・撮影した生態・生命の誕生などはこちら


ミニ・ビオトープづくりについて

容器(鉢・水槽)について
容器の形は、丸形でも角形の鉢でもよいが、生物を観察しやすいのは透明な容器・水槽などである。
ビオトープづくりは、素焼き鉢にこだわる必要はない。
素焼き鉢からしみ出した水が蒸発するときの放熱作用によって水温の上昇を防ぐといわれているが、
実験の結果、釉薬を用いた鉢でも置場を選んだり、水草種・浮葉の数によって素焼鉢の水温よりも
低く抑えることが可能である。
蒸発する水を補うために水を追加する手間は、どのような材質の容器でも同じ。

用土について
水鉢やスイレン鉢に付属している土があるが、付属しているような土は使用しない。
植物種によって土は異なるため、植物を購入した時点で植わっているポット、または鉢ごと水底に沈めたほうがよい。
ポットのままのほうが、魚が土を掘り返して微生物を食べても土の微塵が水に混ざらないため、水草や卵を汚さない。

鉢・生物の購入について
特に生物(動植物)の購入は、必ず自分の目で品質を確かめられる近くの店で購入することをお勧めする。

業者の中にはNature Biotopは品名で、「ビオトープとは全く関係ない」業者がある。
そのような業者が発行した小冊子などに掲載してある水辺植物の管理状態を信用し、取り寄せて購入した場合は、
届いた生物が死んでいた、ほとんど枯れて腐っていたなどの不良品に、不愉快な思いをさせられることになる。

ビオトープや水槽の動植物が不要になった場合について

不要になった動・植物を自然界や公園の池などに放さない。
たとえば、飼育していたメダカと、もともと川などにいるメダカは一見同じように見えるが、遺伝子型が異なるため、
川などに放流した場合、これら両方の遺伝子を受け継いだ子孫が交雑種となる結果になる。
そのため、不要になった動植物は、自然を乱すような放流は行わないように注意する必要がある。 参照

メダカの地域差について

メダカの遺伝子型は、大きく分けて北日本集団型と南日本集団型の2グループに分けられ、
さらに丹後半島には、北日本集団型と南日本集団型の特徴をもった集団が棲んでいる。
北日本集団型は、集団の中で遺伝子型の変化が小さく、ほぼ均一という特徴があり、
南日本集団型は、集団の中で遺伝子型の変化が大きく、9つの地域型あり、中国大陸のメダカとの共通点もあるという。
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