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史 抱卵-1
産卵・抱卵・育雛も縄張り内で行われます。
ウミネコは産卵後、約25日間、抱卵をつづけます。 好条件の縄張りについて...


好条件の縄張りで抱卵中のウミネコ。
巣の上部、後部、両サイドが草などに覆われていると、空からの天敵や雨・風、日射をしのぐことができ、
前方が開けた巣では、地上の天敵を察知しやすいことから、卵やヒナを守るために好条件の縄張りです。
その好条件の中で子育てをするために、激しい縄張り争いをしてきました。
コロニー(集団営巣地)の中には、岩場、斜面、平坦な草地、草の生えていない開けた場所などがあります。

縄張り内に草が生えていない巣では、卵や雛が天敵に見つかりやすく、また、雛が草に隠れて天敵、雨・風、日射を避けられないため、決して好条件の縄張りとはいえません。

開けた場所に産むウミネコの卵の色、模様が地肌の色に似ているのも、天敵に見つかりにくいためです。

条件が好くない縄張りで抱卵中
写真左上・右上は、開けた場所の縄張りで抱卵しているウミネコ。 左上の巣で孵化した雛は、死んでしまった。

左の写真は、草が生えていない開けた場所に縄張りをもったため、天敵の接近によって雛が巣から出て、隠れる草の代わりとして、建造物に身を寄せている様子。
縄張りが接近していないため、争いが少ない反面、雛の命に関わる大きな危険を伴います。


ウミネコは積極的に縄張り争いを仕掛ける個体もいれば、
縄張り争いを避けて、離れた場所で静かに営巣する個体も見られます。

接近し過ぎた縄張りでは・・・

ウミネコの縄張りは、10メートル四方に100つがいが営巣。つまり、ひとつがいの縄張りは1メートル四方。

ところが、縄張りが2メートル四方に5つ以上もある場所では、抱卵中であっても争いが絶えません。
ウミネコは非常に縄張り意識が強いため、抱卵時に座る向きを変えた個体の尾羽や翼が、隣の縄張りに接近したというだけで、争いが起きてしまいます。
そのため、抱卵期に卵が割れることもあり、育雛時には犠牲になる雛が少なくありません。

ヒナの死亡率のほとんどは、縄張り争いから。

双方が抱卵を中止して... 卵を踏んでの争い。
この争いは、抱卵中のウミネコ同士の縄張りが、接近し過ぎているために起こった。 
「さっき争っているとき、君の翼が私の縄張りに接近した」と後ろ隣のウミネコが争いを始めた。 争い中に翼が1メートル以上も広がるため、密集している縄張りでは争いが絶えません。 さらに3〜4ペアの争いにまで発展してしまいます。
争いのときは抱卵を中止するため、卵が冷やされたり、割れたり、巣から外に出ることもあります。
巣から外に出た卵を自分で巣に戻さないため、孵化率が低下する原因の一つと考えられます。
争いをしてまで大きい群でいる訳は、集団防衛をして、天敵に襲われにくいためです。

抱卵時のウミネコのオス・メス 卵をこうして温める

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