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 突き放し・親子の別れ
7月、ウミネコはほとんどが巣立つ。 巣立った幼鳥に突然、悲しい別れが・・・

ウミネコの突き放し
巣立ち間近の幼鳥でも親に餌をねだりますが、
ある日突然、親は給餌を拒否して餌を与えなくなります。
幼鳥は「ピーピー ピーピー」と鳴いて、しきりに餌をねだります。
親は餌を与えないだけではなく、子どものいない方へ体を傾け、
我が子への給餌を拒否する行動をします。
親は子どもを残し、30メートルほど離れた場所へ飛び去りました。
子どもは、親に去られて気が狂ったような声で「ピーピーピーピー」
と泣き叫びます。
その幼鳥の声は、なんとも辛そうに聞こえます。
離れた場所にいる親を見つけた幼鳥は、
親に餌をもらうため、鳴きながら走って猛進します。
幼鳥は砂浜を走って走って..... 再び、親に会えました。 しかし、親はそっぽを向いたまま。
その親に餌をねだる「ピーピー」という幼鳥の声が、波の音に消されることもなく聞こえます。
親鳥は、ねだる我が子に顔を背けます。 親はさらに一歩後退して、我が子と目線を合わせません。
紡錘形の格好で餌をねだる幼鳥の姿は、途方に暮れた感じ。
幼鳥は嘴を大きく開いて、何度も親に餌をねだりますが、
親は、それに応じません。
親は我が子から離れます。
幼鳥は「きょうは、なぜ?」と思っていることでしょう。
子どもは諦めず、しつこく親を追います。 子どもが親に近づけば、親は離れる... それを繰り返します。
幼鳥が餌を欲しがって親鳥に餌をねだって走ります。
着けば離れられ、着けば離れられ...を繰り返されて、「ピーピー」と鳴きつづける幼鳥は悲しくなっているに違いない。
幼鳥は、何度も親に追いついては餌をねだりますが、親に離れられてしまいます。
親は、子どもが自分で餌がとれるように自立させるため、子どもを突き放しているのですが、
まだそのことが子どもには解っていないようです。
親は突き放しに入って、初めて子どもとと顔を合わせましたが...
それは、餌を欲しがる我が子に対し、
餌をねだりに来ないように追い払う威嚇(いかく)でした。
親鳥の威嚇は、我が子へ効き目がありませんでした。
親との距離を詰め、餌をねだります。
親は我が子を突き放そうとしますが、親の後を追います。 親は、その我が子を振り返り、再び、威嚇をします。
幼い子どもは威嚇をされても親元へ走り寄ります。 親は今までにない距離まで離れます。
親は突き放しに入ってから威嚇以外では顔を合わせなかったが、我が子を振り返りました。
これで子どもが餌をねだるのを諦めたか、と親は思ったのかも知れません。
ところが、またまた親のそばに走り寄りってきて、餌をねだります。 親は子どもから離れるため、走ります。その親と伴走する幼鳥。
親は走って子どもとの距離を離しました。
子どもは、またまた親を追ってきました。 しかし、親は我が子に追いつかれる前に、更に離れ.......
親は我が子を突き放し、別れの飛びたち態勢。
ついに子別れです。
別れとも知らず、子どもは接近してくる親へ走り寄りました。
親が我が子を見た最後かも知れません。 涙が出てきました。
親は幼鳥の目の前を通過し、飛び去りました。
「元気でね」と子どもを祈ったことでしょう。
孵化して約40日間、給餌をしてもらい、
危険から守ってもらい、ここまで
育ててもらった親に飛び去られ、
淋しそうな幼鳥てした。
飛び去った親を眼で追います。
「どこへ行ったの?」 左を向いても
右に向いても親の姿は、もうありません。  幼鳥は「ピーピー」と鳴きながら親を捜しに砂浜を走ります。
抱卵25日間、孵化して約45日後に子別れ。
親の役目は、ここまでです。

わずか45日ほどの親子生活での「突き放し」は、自然の掟と解っていながらも若鳥が可哀想に思えますが、若鳥の集団をつくって、自立して生きてゆきます。




写真左 突き放しは、子どもをつついたり、威嚇をして
追い払う親もいます。

砂浜に集まったウミネコの成鳥と若鳥たち。
写真の手前は、突き放された若鳥の集団、奥は親子連れ。その親子も、ここで別れを迎えます。
右上と下の親子は、突き放し中のウミネコ。 子どもに別れを告げた親は、飛びたちました。
この個体も親の役目はここまでで、終わりました。

自立してゆく若鳥たちも やがて離島

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