実は、私は最終稿をよく知らない。初めて買ったブルックナーの交響曲第4番がこのCDだった。最終稿を聴いたときに、最初に気がついたのは、第三楽章が全く別な曲であるということだった。この曲を知る大多数の人が最終稿を聴いているはずである。第一稿の第三楽章がどんな曲なのかは、文字では説明しにくいが、最近買ったスコア(勿論第一稿)によると、拍子は最終稿と同じ(だと思う)四分の三拍子である。冒頭にホルンのソロがあるのも同じだが、主題は全く違う。しかも、四分の三拍子にもかかわらず二連符で書いてあるので、そこだけ聴くと、二拍子にきこえる。その後、四分の三拍子の中に、トランペットだけが四分の二拍子で、「付点八分休符−十六分音符−四分音符」というリズムを演奏する。また、スコアを見て気がついたことは、この版にはテューバがない。そのため、バストロンボーンに、テューバの分まで非常に過酷な音符がかかれている。交響曲全体の話に戻ると、この交響曲は第三稿が最終稿であり、小節数だけで比較すると、
| 第一楽章 | 第二楽章 | 第三楽章 | 第四楽章 | |
|---|---|---|---|---|
| 第一稿(1874) | 630 | 246 | 336+132+26 | 616 |
| 第二稿(1878) | --- | --- | --- | 477 |
| 第三稿(1878/80) | 573 | 247 | 259+54 | 541 |