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カイコの求愛・交尾

カイコの性フェロモン・求愛

♀は排尿3分後、性フェロモンを出し、
お尻を高々と上げて♂に求愛。
カイコの性フェロモン。
左右の黄色い袋が
カイコの性フェロモンの袋。
中央には産卵管がある。
♀は蛾尿を排泄して3分後、側胞・性誘引腺を体外へ出して膨大に拡張させます。
性誘引腺にある*性フェロモンの袋を体外へ出して膨らませ、お尻を左右に振って性フェロモンの匂いで♂に求愛します。

*性フェロモンは、現在、多種の昆虫にわたって性フェロモンの存在が知られ、害虫駆除に利用されています。
性フェロモンの存在が最初に確認されたのは、カイコの性フェロモンです。
♂の触角(アンテナ)
写真左:
♂は羽化直後から触角の向きをかえ、
♀の求愛のフェロモンを感知しようとします。

写真右:
雌雄共に大切な触角を手入れします。
カイコの触角
触角(アンテナ)で匂いを感知します。 ♂の触角は♀の触角より大きく、その表面積も広い。
♂は孵化直後から♀が出す性フェロモンの匂いをキャッチしようと、触角をレーダーのようにぐるぐる回します。
大切な触角の手入れは♂も♀も、たびたび行います。

♂は強く羽ばたいて気流を発生し、♀が出す性フェロモンの匂いを求めます。

カイコの求愛 カイコガの♂はアンテナで♀の性フェロモンを感知すると、全ての♂が羽ばたいて♀を探します。
♂と♀との距離が3メートル以上離れていなければ、その匂いの強さで♀の居場所が判断できるようです。
♀と♂の距離を3メートル以上離すと、♂は羽ばたきをやめました。
♂2頭が先を争っていましたが、1頭が先に♀にたどり着きました。
カイコの交尾 蚕蛾の♂は、生殖器の鉤器などを♀の生殖器にひっかけて連結・交尾をします。
腹部の大きいほう(左)が♀です。カイコの交尾...右は交接器をひっかける♂蛾。
子孫を残すために♀は、♂から精子を受けて有精卵をつくります。
♂は交尾の初めと中間で数回羽ばたく。
交尾中、♂は常に翅を上にあげています。 交尾の始終、交尾を始めた姿勢とほとんど同じです。
雌雄とも交尾中は、うつむいて顔が見えません。 カイコは音にはあまり驚きませんが、振動には驚いて顔を上げます。
カイコガの体内・内部生殖器と
外部生殖器(♂♀)
♂のカイコ蛾の精子は、♂蛾の内部生殖器の精巣でつくられ、貯精嚢に蓄えられます。

交尾時に精子が入っているカプセルのような精包が前立腺を通るとき、前立腺液と混合されて精子が活発に動くようになります。
カイコの♀の内部生殖器
カイコの外部生殖器
蚕蛾の交尾

♂蛾は交尾時、♂の生殖器入り口にある交接器の鈎器・補握器を、♀蛾の生殖器入り口にある背面板・腹面板の内側にフックさせて連結を確実にします。

さらに連結は、♂の外部生殖器を♀の陰門から交尾嚢導管に挿入します。

♂の精子は貯精嚢から射精管・前立腺を通ります。
精子が前立腺を通るとき、精子と前立腺液とが混合されて活発に動くようになります。

♀の交尾嚢に放精された精子は精子管をとおって産卵管に出たあと、螺旋管を経て受精嚢に入ります。
その後、螺旋管から出てきた精子が前庭で卵子と出会い、精子が卵内に入って受精します。

産卵管には粘液腺が開口しています。産卵管で粘液腺からの分泌液が卵にくっつきます。
分泌液は卵が産卵場所にくっつきやすい糊の役割をします。

カイコの交尾を放っておくと5時間〜6時間も続きます。
2〜3時間経過後、雌雄の腹部を*ひねって離します。
1時間の交尾で受精卵を産卵するための精子は充分に送り込まれています。

* 雌雄の腹部をひねって離す訳は、雌雄の交接器(鈎器・背面板など)が確実に連結していることから、
引き離すだけでは交接器が離れないため、ひねって離します。
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