蚕の吐く糸
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吐糸口から糸を吐いているカイコ。
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左右の絹糸腺から吐糸口につながっている。
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カイコの吐く糸は大変細く、1個の繭の糸の長さ(繭糸長)は1300m〜1500mもあり、 繭3個の繭糸長は、富士山(3776m)の標高をはるかに超えます。 絹糸の太さ(繊度)は、デニール(d)という単位で表し、1デニールは糸長450mで0.05gと定められ、 デニール数値は、糸長900mをg数で表し、dと表記されています。 例、品種「黄白」は2.8d。 3dの繭糸を標準の太さとし、それ以上は太繊度になります。最近、約1.6dの極細繭糸を吐く品種もあります。 |
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繭糸の構造
繭糸は断面図のように、 |
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繭糸の顕微鏡写真 | ||||||||||
顕微鏡で繭糸を見ると、2本のフィブロインと、フィブロインを取り巻いているセリシンが見えます。
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どの繭糸もフィブロインが2本であることが解ります。
その繭糸が交差するところは、はみ出すほど多量のセリシンで接着されています。 カイコが繭をつくるとき、糸を蔟(まぶし)に接着したり、糸の交差点を接着するときは、 頭を振って接着しているようすが観察できます。 |
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繭は、繭糸をセリシンで糊付けしたように かためて形成されています。 |
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繭の外側をおおっている真綿のような繭糸は、 カイコが繭を作るときに吐いた足場糸。 |
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繭糸の利用 1本のフィブロインは、約1000本以上のフィブリル繊維が集まり、 さらに1本のフィブリルは、ミクロフィブリルの束からできているそうです。 その繊細な繭糸の構造からは、絹の柔らかさ、しなやかさ、軽さ、保温性、光沢などが生れ、 純度の高いタンパク質でできている天然繊維の繭糸からは、衣料品がつくられるだけでなく、 食品、化粧品にも利用されています。 絹製品は着物、ウェディングドレス、スカーフ、ネクタイ、シルクパウダー、食品、化粧品、 カーシートのコーティング剤などにいたるまで、多種の製品に利用されています。 セリシンの利用 フィブロインがセリシンに包まれたままの繭糸は、繭から糸繰りによって生糸となります。 生糸を精練してセリシンを取り除いて絹糸にする際の精錬液は、廃液として捨てられていました。 平成13年以後、セリシンの価値が見直され、絹セリシンのスキンケアとして、女性用の洗顔石鹸、 化粧水、乳液、美容液など、多種の製品が生まれました。 足場糸の利用 足場糸は、カイコが繭をつくるとき、足場をつくるために吐いた真綿のような繭糸です。 繭層を取り囲んでいる足場糸を取り除き・・・取り除いた繭糸を毛羽(けば)といい、 繭毛羽は精錬されずに紡績され、織物、編物などになった後、精錬します。 やわらかく、膨らみを持ち、暖かい、などのフ利点があります。 製品化する繭を得るには・・・ 養蚕農家はカイコが繭を作ってから羽化する前に、蔟(まぶし)から繭をかき出します(収繭)。 蛹化して日数が経たないときは、蛹がやわらかいため、体液で繭の内側がよごれ、 羽化後では繭に穴があいて*糸が切れたり、繭に汚れが発生します。 繭をつくり始めてから約10日後は、蛹の皮膚が堅くなっているため、収繭するのに好都合です。 *カイコが羽化するとき、成虫が繭内から繭層を湿らせてセリシンを溶かし、繭糸と繭糸の間隔を広げ、 繭糸を切らずに成虫が出てきますが、糸がまったく切れない訳ではありません。 糸が切れる、汚れるなどで糸繰りに手間がかかるため、繭をつくり始めてから約10日後に収繭します。 |
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