真珠養殖場・養殖真珠のできるまで
真珠養殖場
日本の主な真珠養殖場の分布と生産量は、 |
|||
母貝の育成 天然稚貝の採集 | |||||
1945年頃までは、海女さんが海に潜って真珠養殖用の天然母貝を採集していました。 海女さんは挿核した貝を海で管理したり、養殖カゴの掃除なども行っていました。 当時の天然母貝から採集した真珠の寿命は14〜年ありました。か5年ありました。 しかし、天然母貝が不足となって以来、海女さんの数も減ったため、 杉葉の小枝をイカダから吊して、海に浮遊する天然の稚貝を集め、 それを育てて利用するようになりました。 現在では、大部分のアコヤガイが人工採苗され、それを母貝に育てます。 |
|||||
母貝の育成
1.人工採苗 1年目、2〜3月 |
|||||
核入れ手術の準備 3年目、5〜6月 アコヤ貝の生殖巣に挿入する「ピース」と「核」の準備。 ピース切り |
||||||||||
ピース切り
外套膜が真珠層に接している面(表面)を上向きに置き、 2mm角に切断した外套膜の切片を「ピース」に使います。 |
||||||||||
真珠核 | ||||||||||
アコヤ真珠養殖に欠かせない核 真珠の中心になる核の材料は、 |
||||||||||
核のサイズ | ||||||||||
挿核手術(核入れ) 3年目、5〜6月 挿核手術は「核入れ」ともいいます。 |
||||||||||
挿核手術、核入れは次の順序で行われます。
1. 開口器で貝殻を少し開き、くさびを挟んで貝殻を開いたままにします。 |
||||||||||
手術貝の養生・沖出し・管理
「養 生」 3年目、6月 |
||||||
「沖出し」 3年目、7月 手術後、養生して体力が回復したアコヤ貝が体内で真珠を育てるため、 海水温が13度C以上あって潮の流れが良く、プランクトンが豊富な 沖合の「真珠イカダ」に吊るします。 ここで小珠は7カ月、中珠以上は1年〜2年半ほど養成します。 |
||||||
木枠イカダと浮き玉イカダ
|
||||||
「管 理」 通年 アコヤガイを養殖期間中、貝の掃除・養殖カゴ(100種以上)に貝の入れ替えなどの管理を、繰り返して行います。 |
||||||
● 貝掃除 アコヤ貝や養殖カゴに、海草・カキ・フジツボ・ホヤなどが付着すると 網の目づまりとなるため、カゴの掃除、貝の掃除を繰り返して行います。 ● 避寒作業 アコヤガイに好適な海水温は13〜25度であるため、 10℃以下になるとアコヤガイは死亡します。 秋から冬の間は、暖かい海水域へイカダを移動して春を待ちます。 ● 浜揚げ準備 4年目〜 浜揚げする年には、真珠の色調と光沢を整えるための海域である 「化粧巻き漁場」「仕上げ漁場」に移します。 |
||||||
アコヤガイに付着したフジツボ
|
||||||
真珠の採取時期の決定は、次の調査を行って決めます。 真珠貝を試しに剥いて「テリ(光沢)」「色」「巻き(真珠層の厚さ)」の出来具合を調べ、その結果で決定します。 |
||||||
浜揚げ 真珠の収穫 採苗から4年目の11〜1月(挿核手術から18カ月目。 現在は6〜8カ月) 養成している真珠の光沢は、秋から冬の間に良くなってピンク色を帯びると言われているため、 11月〜1月、真珠が最も美しい輝きのときに浜揚げが行われる。 |
|||||||
浜揚げの行程 イカダから真珠カゴを引き揚げて、カゴからアコヤガイを取り出し、 ナイフで貝柱を切って貝殻を開き、貝の身を剥きます。 真珠が大きいサイズは、貝肉から真珠を1粒ずつ取り出します。 貝柱は切り取って食用とします。 真珠が中サイズ以下は、粉砕機にかけて肉を細かく砕いたあと、 海水で粉砕片を洗い流すと、機械の底に真珠が集まります。 粗塩と水を入れた珠みがき機で真珠の表面をみがいて水洗したあと、 良品の真珠だけを集めて浜揚げが終わります。 |
|||||||
貝肉を剥いて取り出した真珠。
花珠が採れた喜びは、ひとしおです。 |
|||||||
選 別 4年目、12〜2月 浜揚げが終わると、商品になる珠と廃棄する珠に分け、 商品珠は大きさ・色・形・キズなどで、様々の種類に選別します。 真円になった「輝き」「色」「巻き」の優れた「花珠」の真珠は、 ほんの一部(5%)しか生産されません。 養殖期間中に全体の半数のアコヤ貝が死んでしまいます。 また、真珠層を巻いていない珠(核の状態)が5%、 さらに、不良真珠が17%あることから、 商品価値のある良質以上の真珠収穫は全体の28%以下です。 良い真珠を採集できない訳は、 1945年頃までは、核入れから浜揚げまで18カ月以上養殖をした。 現在は、95%以上が核入れから浜揚げまで6〜8カ月の養殖です。 |
|||||||
%は真珠博物館の資料に基づく | |||||||
入札会 4年目、12〜2月 真珠養殖業者が稚貝から育てて浜揚げ・収穫した真珠は、12月から2月の入札会で真珠の取引が盛んに行われます。 |
|||||||
|
|
Nature Photo Gallery = S.Ochi`s HomePage に掲載の写真・記事の無断転載を禁じます。
すべての著作権は、越智 伸二に帰属します。
Copyright(c) Shinji Ochi. No reproduction or republication without written permission.