迷走録 2008年1月


 

平成20年1月1日

みなさん、あけましておめでとうございます。今年は昨年のエイプリル・フールに作った『語学の天才空海に学ぶ英語術』少しずつして更新してい きたいと思います。これまで自分が学んだ正統派の音声学の知識とロンドン大学の音声学夏季コースで学んだ知識・実技等をベースにして、アカデミックな記述にこだわらず、効果があればとりあえずなんでもOKという姿勢でやってみたいと思っています。そのうち音声は師匠にお願いして少しずつ充実させていきたいと思います。

昨年は、いろいろありましたが、英語では英検1級合格が一番大きな出来事でした。今年もいろいろチャレンジしてきたいと思っています。

それでは、みなさん本年もよろしくお願いいたします!

 

平成20年1月7日

私の『イギリス英語で学ぶ英会話』をリンクしていただいているボルドー(諏訪アンナ)さんが『ポアント・フィッティング・ルーム』という本を出版されました。すばらしい本だと思います。ボルドーさんのHPをご覧にになって、興味を持たれましたら是非購入していただきたいと思います。また、まわりに関心のありそうな方がおられましたら是非ご紹介くださるようお願いします。出版業界のことはよくわかりませんが、初版がある程度売れないと絶版になると聞いたことあります。この本で救われる方も多いと思いますので、この本は絶対に絶版にしてはいけないと思います。英語とは関係ないですし、それに売れても私には何のメリットもないのですが、私としては初めてここで英語以外の物を宣伝したくなりました。

さて、全然進んでいない英検1級の受検についての回想ですが、次回には宿題を果たしたいと思います。期待せずに、もうしばらくお待ちください。
 

 

平成20年1月13日

さてさて、ようやくお約束の宿題です。平成19年9月30日と 平成19年10月8日の迷走録にも書きましたが、毎日同じ音声教材を1時間聞くというTOEIC対策によって、9月には師匠から「very impressive」とか「very clear」とか評価されるくらいの効果がありました。レッスンで、師匠とその進歩の要因について話し合って合意したことは概略以下のとおりです。

たとえば、よくできたコマーシャルなんかを繰り返し聞くとイントネーションとかも含めて丸ごと記憶されてしまうことがあります。師匠がまだ日本語が少しおぼつかない頃にこんなことがありました。何かの話題で師匠がコマーシャツのフレーズを真似したのですが、「引っ越しのサ○イ、さよおーなーらー(パシャン:ドアの閉まる音)」というフレーズを完全なリズムとイントネーションで覚えていました。それからしばらくしてだんだん師匠の日本語が流暢になってきました。

流暢に話せる条件として、先ず、音韻情報がリズムやイントネーションも含めて完全な形でいったん頭の中に入って定着することが必要だと思います。これは、無意識のレベルまで入っていないと効果は薄いように思われます。なので、コマーシャルのようなキャッチーなフレーズは効果が高いと思います。ようは、繰り返し聞いて、頭の中に丸ごと収納するのが第一です。そして、今度はそれを丸ごとアウトプットするという経験を一度すると、インプット・アウトプットの自然なサイクルが徐々に形成されるのではないかと思われます。

ものの本によりますとインプット・アウトプットの自然なサイクルの形成には「リハーサル」というものが重要だそうです。このお話はまた次回ということで。なんか、英検1級の受検についての回想 はなかなか進みませんが、ぼちぼちと続けていきますので、あまり期待せずに、もうしばらくお付き合いください。

 

平成20年1月20日

さてさて、お約束の宿題「リハーサル」です。えー、これについては、白井恭弘著『外国語学習に成功する人、しない人 第二言語習得論への招待』をお読みください。っていうのは冗談ですが、この本は本当に優れています。実は、今日某ブログでもこの本を宣伝してきました。実は、私の恩師のお薦めの本で、恩師も少しだけ関わっているのです。

その本に、突然完全な文を話し始める子どもの例がでてきます。なんと最初の言葉が「おかあさん、夕陽がきれいだねえ」だったそうです。この事例で考えれば、言語習得には実際に話すこと(すなわちアウトプット)は必要条件でないといえます。なぜなら、1回のアウトプットもなしに完全な文を習得しているからです。

ところが、聴覚障害者の親を持つ子が、テレビを見て育った例では、発見されたときには、テレビは理解できるが、話すと文法的には無茶苦茶だったそうです。また、受動的バイリンガルというものもあります。これは、移民の二世、三世にはよくみられ、聞いて理解はできるが話せないのだそうです。たとえば、日系アメリカ人が親の話す日本語は理解できるが、日本語は話せないという事例が受動的バイリンガルに該当するそうです。

これらの違いは、「アウトプットの必要性」の有無によるのではないかと言われています。突然完全な文を話し始める子どもは、頭の中で文を組み立てる練習をしていると考えられるそうです。この頭の中で考えているのを「リハーサル」というのだそうです。

留学すると、すべてを英語で言わなければならないので、一人でいるときでも伝えたいことを自分の頭の中でまとめるときには英語を使うようになります。白井氏は留学して、この「リハーサル」が「英語で考える」の一形態だと気づいたそうです。その効果について、実際に口に出すか出さないかの違いはあるが、頭の中では英語で考えているので、英語を話す時間が2倍・3倍に増えたのと同じだと言われています。(理解可能な大量の)「インプット」+「アウトプットの必要性」が習得のカギと考えられるそうです。

私の場合も例のTOEIC対策では、たくさん聞いていたわけですし、それとは別に、今度師匠に会ったらなにを話そうかと英語で考えているわけですから、知らず知らずのうちに「インプット」+「リハーサル」していたといえます。また、英検1級の2次に向けての対策は、それこそ、いわゆる「リハーサル」そのもののわけだし、「アウトプットの必要性」も桁外れに高いです。だって、しゃべれなければ落ちるわけですから切実です。そういうこと考えるとあの英検1級の2次も、日本人の英語力アップに少しは寄与しているといえるのかもしれません。
 

 

平成20年1月27日

ちょっとしたメールのやりとりがきっかけで、ここ数日、毎晩クラシックを聞いています。昔より楽しめます。っていうかクラシックってこんなにすばらしかったのかという気持ちで一杯です。どっかの広告で、英語には高周波成分が多いのでクラシックで高周波成分を増幅して聞くとリスニング力を鍛えるのにいいとか書いてあったのを読んだことがあります。ここ数年はほとんどクラシックを聞いていませんでした。その間に英語のリスニングは格段の進歩を遂げました。もしかしたらリスニングを鍛えたために欧米の人のように高周波成分もよく聞こえるようになったのかの知れません。まあ、理屈はどうでもいいですが、クラシックに癒される毎日を送っています。

昔、ギターを練習したら、音楽を聞くと自然にギターがよく耳に入ってくるようになりました。同じギターでもアルペジオのテクを覚えるとアルペジオがよく聞こえるようになり、スリーフィンガーを覚えるとスリーフィンガーが、ブルーノート・・・以下省略。英語でもイントネーションを覚えるとイントネーションががはっきり認識でき、硬音前短縮を覚えると硬音前短縮が、声門閉鎖音・・・以下略。でも、しばらくすると普通になってしまう。意識すれば認識できるという点は前と違うけど、なんというか普通になってしまう。そういう訳で、今はクラシックを楽しめるだけ楽しんでおこうと思っています。

 

 

 


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