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アリスの散歩道 うさぎ!


アリスの世界

アリスの世界が
できるまで

作者//
ルイス・キャロル

オックスフォード
をたずねて

はちゃめちゃなストーリーにユニークなキャラクター、『不思議の国のアリス』は子どもから大人まで、世界中で愛されているベストセラーです。何と、今や125種類の言語に翻訳され、聖書やシェイクスピアについで引用されることの多い文献だとか。そんな私もアリスが大好き!調べれば調べるほど、奥がふか〜い物語なのです^^。そんな夢のつまったアリスの足跡をたどってみました!

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★“アリス”の世界★

アリスが出てくるおはなしは2つ、言わずと知れた『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』。

『不思議の国のアリス』は、知らない人はいませんよね^^。ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいると、チョッキを着た兎が時計を取り出しながら、急ぎ足に通りすぎて、生垣の下の穴にぴょんと飛びこみました。アリスも続いて飛びこむと・・・・、そこから始まる、アリスのアドベンチャー!

不思議の国のアリス大きくなったり小さくなったり、へんてこなキャラクターに翻弄されたり、となんとも不思議で楽しいストーリー。意外にも、始まりは知っていても、終わりは知らないという人も多いようです。ラストをしめくくるのは、はちゃめちゃ裁判シーン。「首をはねよ!」が口癖のコワ〜イ(?)ハートの女王に、とうとうアリスが爆発。「だれがあんたたちのことなんか気にするもんですか。・・・あんたたちなんか、ただの一組のトランプじゃないの!」そういったとたん、トランプたちは、いっせいに空に舞いあがり、アリスの上にひらひらと・・・。そして気がつくと、木からひらひら落ちてきた木の葉を、お姉さんが優しく払いのけているところ。

アリスの見た不思議な夢のはなしを聞いて、お姉さんが、空想します。アリスが大人になっても、少女時代の素朴で優しい心を見失わず、他の子どもたちを楽しませてあげることだろう。そして自分自身の少女時代と、幸福だった夏の日々を思い出すだろう、と。これがほんとのエンディング。きっと、最後は、作者ルイス・キャロルの願いだったんでしょうね。

鏡の国のアリスもうひとつのアリスのおはなしは、『鏡の国のアリス』。暖炉の上の鏡の中を通りぬけ、「鏡の国」へ飛び降りたアリスが繰り広げる大冒険。こちらもどたばた愉快なおはなしなんですが、チェスが主体になっているので、正直ちょっと分かりにくいかも。アリスの飼っている子猫たちと、チェスの女王たちが夢の中でつながっていて、さりげなく深い(?)おはなし。ちょっとここではまとめきれませんが、赤の女王、白の女王その他、ユニークなキャラクターが続々と登場するのは、『不思議の国』と同じ。

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★“アリス”の世界ができるまで★

アリスのおはなしって、ほんっとに型やぶり!それもそのはず、これは作者ルイス・キャロルが、少女たちのために“即興で”作って聞かせてあげた物語なのですから。あちこちに英語で韻が踏んであったり、言葉遊び・シャレがあったり、仲間内ネタがあったり、と日本語で読んだらなおさらとっぴょうしもないストーリー!

フォーリー橋始まりは、今から100年以上も昔、1862年7月4日の“黄金の昼下がり(Golden Afternoon)”。オックスフォード大学クライストチャーチの数学教師ルイス・キャロルと友人のダッチワーフは、フォーリー橋でボートを借りて、3人の少女を乗せました。学寮長の娘たち、ロリーナ、アリス、イーディス。少女たちを喜ばせることが上手なキャロルは、この日もせがまれるまま、ボートをこぎながら、アリス・リデルを主人公にした即興の物語を語りました。10歳のアリスはこの話をとても気に入り、書き留めてほしいとキャロルに頼みます。それにこたえて、キャロルが自分で描いたイラストをつけて製本、1864年に、『地下の国のアリスの冒険』としてアリスへのクリマスプレゼントに。
..................... テムズ川にかかるフォーリー橋↑→


キャロル直筆の絵←キャロル直筆の絵。手作りの味はあるけど・・・・・・、ちょっとアリスがこわいです(笑)。

こどもたちの評判も大変よく、キャロルは出版を考えます。最終的に挿絵をを当時売り出し中のジョン・テニエルに頼み、文章も加筆、そして1865年にマクミラン社から出版。これが世にも有名な『不思議の国のアリス』です。数学者らしく、異常に注文も多いキャロルにテニスンはほとほとまいってしまい、次の『鏡の国のアリス』の挿絵だけはようやく引きうけたものの、それ以後キャロルの仕事はいっさいお断りだったそうな。

少〜しシュールなテニスンの絵が物語と不思議とマッチしていて、大人たちをも惹き付けるんだなぁとしみじみ思います^^。

それまでの子ども向けの物語は、お説教や教訓ばっかり、そこにナンセンスやパロディーアリでひたすら楽しい2冊のアリスが登場、こどもたちが夢中にならないはずがありません。そしていつか、世界一有名な子どもの本となったのです。

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★作者//ルイス・キャロル★

ルイス・キャロル ルイス・キャロルの本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。1832年1月27日、英国国教会の司祭である父親のもと、マンチェスター近郊のダーズベリ(チェシャー州)生まれました。一家がヨークシャーのクロフトに引越し、翌年チャールズはリッチモンド・グラマー・スクールに入学、そこで優秀な成績をおさめます。1846年には名高いパブリック・スクール(私立中学校)、ラグビー校に入学、しかし寄宿学校での毎日は、かなり暗かったもよう。1851年、オックスフォード大学のクライストチャーチ学寮に入学。在学中から早くも特別研究員に任命され、卒業すると数学の講師として大学で教えるようになった、というから、頭のい〜い人だったんでしょうね。キャロルはこの大学で、生涯のほとんどを過ごします。

教師としてはきまじめで保守的、イマイチ人気はなかったみたいです。なんと約10万通の手紙の記録を全部書きとめておいた、というから几帳面にもほどがある・・・。

アリスの写真キャロルは・・・・・はっきり言ってロリコンでした(!)。どもりのために大人との社交が苦手だったキャロルも、少女たちには大人気。写真の腕はなかなかにすばらしく、仲良くなった少女たちの写真もたくさんとっています。なかでもお気に入りは、もちろん、学寮長の娘、アリス・リデルちゃん。

キャロルがとった写真。右がアリス、左が姉のロリーナ。→ 

なんでも、13歳になったアリスに結婚を申し込んだとかいうんですから。(その頃キャロルは30歳)。もちろん、アリスの両親によって拒否されてしまいますが・・・・。(後日談:すっかり年頃になったアリスには、急速に興味を失います。そして新たな、少女へ・・・・・。そんなこんなで、一生独身だったんですね。

“アリス”の物語、その他の物語にすっかり人気が出ても、キャロルはあくまで数学者、ちゃんと数学の論文や本にもとりくんでいるのです。そのときは、本名のチャールズ・ドジスンを使い、ルイス・キャロル宛てに大学にきた手紙は送りかえしていたほど。

1897年のクリスマス休暇をギルフォードで過ごしていたキャロル、そのうちに気管支炎にかかり、享年65歳で亡くなります。町の高台にあるギルフォード墓地で眠るキャロル、不思議の国で少女たちとのんびりしているのかもしれませんね。