グレミオのお守り道中


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今日もいいお天気です。
わたしグレミオは、坊ちゃんと共に修行の旅に出ています。
出発してほぼ1ヶ月経っていますがこれといってなにもなく、わたしとしては 、ほっとしています。
坊ちゃんにとってはつまらないようですが。
まったく、困ったものです

今回の修行の旅もわたしは反対したんです。

−約1ヶ月前−

「なんですと?大統領は辞退したい?」
解放軍のメンバーの1人であるレパントは、驚くように言った。
「ごめん。だけどこのまま大統領に就くのは、なにか納得できないんだ」
「しかし、マッシュも倒れ、フリック、ビクトールも行方不明のいま・・・」
「いや、解放軍はみんなの力で帝国を倒したんだからいままで通りみんなの力 で共和国をやって欲しいんだ。」
「しかし、1人で修行の旅なんて無茶です。」
いつも通りの心配声でグレミオが言った。
「大丈夫だってば、グレミオ」
「いいえ、わたしはそんなこと許せませんよ。坊ちゃんの身に何かが起こって は・・・」
「そこまで言うのであればわたしには止める権利はございません。」
「ちょ、ちょっと、レパントさん、なんてことを言うんですか。坊ちゃん、わ たしは許しませんよ。」
「ちょっと、グレミオそこまで止めなくても良いんじゃないの?」
「でも、クレオさん。わたしは心配で心配で。」
「そろそろ1人で修行に出るのも必要だと思うよ。」
と、クレオも止める気はないようだ。
グレミオは、みんなの説得を受けしばらく考えていたようだが、しばらくして 彼らしいのかこう言った。
「わかりました。修行は許します。そのかわり・・・」
「そのかわり?」
3人はもしやと思ったが、見事にも的中してしまった。
「わたしも付いていきます。」
(やっぱり・・・・)
「まぁ、ふたりのほうが安全と言えますからな。いつかはここに戻っていただ きたいですし。」
レパントは、逆にこれで安心したようだ。
「しょうがないね。グレミオの過保護はもうなおらないようだし。」
クレオは半分あきれた様子でもあった。
「ちょっとクレオさん、過保護って。わたしは坊ちゃんが心配だから・・・」
「それを過保護って言うの。」
「なるべく早く出発しようと思うんだ。グレミオよろしく頼むよ」
「はい、坊ちゃん。」
「お戻りになるまでこの共和国をきっとよい国に作りあげますぞ。」
「うん、頼むよレパント。」

結局わたしが付いていくという事で許可をしたのですが、今後なにか起きない だろうか不安です。
しかし、それがもうすぐ来てしまうとは・・・・

数時間歩くと、ある小さな村に到着しました。
しかし、なぜか村の人々の表情はあまりよくありません。
すでにわたしの直感ではマズイという気持ちがふくれてきました。
ぼっちゃんも村の状況に気付き、いろいろ聞こうとしているようです。
ただ、村の人はなにも言いませんでした。
「坊ちゃん、あまり関わらない方がいいですよ。」
「そうは言っても、なにかあるよ。なんか脅されているようだし。放っておく わけには行かないよ。」
「だけど坊ちゃん・・・」
その時、ある3人組が馬を使って村に駆け込んできました。
格好から判断すれば、この辺の山賊のようです。どうやら、この村は山賊に
狙われているようです。同じ山賊なら、バルカスさんとシドニアさんを見習っ て
もらいたいものです。
3人は村で一番大きな家で馬をとめました。村長宅でしょうか。
他の村民も全員家に戻ったようです。
「とりあえず、いま入っていくのはまずい。ここは隠れて山賊が帰ってから話 を聞こう」
ここは坊ちゃんの言うとおりに待つことにしました。
本当は、この村から去りたかったんですけどね。
絶対ダメだと言われてしまうので今回は坊ちゃんに従うことにしました。
10分ほどして、3人が出ていくのを確認すると、私たちはその大きな家に
行きました。扉を開くと・・・
「今度はなんの用ですか!さっき渡したじゃないですか。」
40過ぎの典型的な中年太りの男がいきなり叫んできました。
しかし、相手を倒そうというような雰囲気ではなかったようです。
わたしは、おどろいて
「なんて無礼な。この方は帝国を倒した解放軍の・・・」
それと同時に肩を叩かれ
「ちょ、ちょっとグレミオ・・・」
と坊ちゃんが小声でいってきます。
どうやらここは、共和国から離れており解放軍の戦いの話しは届いていないよ うです。
ま、ちょっと考えればすぐにわかったんですけどね。
坊ちゃんが一歩前へ出て、
「すいません。わたしは旅の者ですが、なにかお困りのようですね。よければ 、わたしに話していただけないでしょうか。」
「山賊じゃないんですか。それは失礼。しかし旅の方にお手間を取らせるわけ にはまいりません。どうぞお引きとりください。」
「私たちのことは気にしないでかまいません。このまま山賊に頭を下げ続ける 方が大変と思いますが。」
男はしばらく考えたのち、
「わかりました。お話しいたします。とりあえずこちらへ。」
話しをまとめると、村長であるガリッシュさんは16歳の娘である、メイリィ さんを人質に取られ、脅迫されているという事です。
ガリッシュさんも昔は戦いの経験があるそうですが、5年前に体をこわし、
戦いどころか力仕事もあまりできないということです。
いままでお金はもちろん、作物など取られ放題です。
この村はいままでずっと静かに暮らしていたので戦いに長けている者はほとん ど居ない上、人質もいるので反抗もできない状況です。

はなしを、聞き終わると同時に1人の少年が飛び込んできました。
やや、やせ形ですがどうやら武術の経験はある体つきでした。
「村長!いつまで山賊の言いなりになるんだい!」
「フェイ、来客中だ。あまり騒がないように。」
彼は、坊ちゃんとわたしを見ると、
「これは失礼しました。わたしこの村のフェイという者です。でも村長、この まま黙って言いなりではこの村は全滅です。」
「わたしもそう思います。」
坊ちゃんの発言に、ちょっと戸惑いながら彼は、
「あなたが、山賊を?」
「そうしようと思っています。」
「旅の方、わたしも連れていってください。彼女はわたしが助けたいんです。 」
「わかった。ところでガリッシュさん、山賊の居場所は?」
「それが不明なんです。相手は馬をつかっているので尾行も難しくて」
「なるほど、わたしに良い考えがあります。次ぎに山賊が来たときに後を追い ます。」
「明日も来ると思います。あなた方には宿を用意しましょう」

その日の夜
坊ちゃんはしきりになにかを作っています。
麻の小さい袋が見えますが・・・
「坊ちゃん、それはなんでしょうか?」
「前に、クリンから教わったんだ。簡単な物だけど」
「そんなので、うまくいくんでしょうか?」
「相手は村から取り放題で油断しているだろうから。
 とりあえずやってみるしかないよ」
「・・・・・」

次の日
いつもどおり、3人がやってきました。坊ちゃんとわたしは隠れて待機、3人 が家に入ったのを確認してから行動開始です。
一番後ろから来た馬をまず確認し、昨日作った麻袋を馬の目立たない位置に付 け、開けておいた穴をひもで縛りひもの反対をそばの柱に付けました。
ひもは引っかからないように長めにし、砂で隠してます。
それで出発と同時に、ひもがほどけ中の物が地面に落ちていくという寸法です 。
前日に試験はしたので大丈夫と思いますが・・・
取り付け後、また隠れるとしばらくして3人が出てきました。
村長にいつもより多めにと言っておいたので、3人は上機嫌でした。
これでさらに油断するはずです。
なにも気が付かずに、3人は去っていきました。
そして村長宅に戻りました。
「こんなにゆっくりで良いんですか?」
村長はあわてています。
「あんまり早すぎると見つかってしまいます。とりあえず外に出ましょう」
外に出ると、村の出口の方から黒い線が外へと続いています。
どうやら今のところは順調でしょうか。
「ほう。あれで追いかけるのですね。」
「そうです。だけどあそこまでうまく行くとは思いませんでしたが。」
「馬をお貸しします。フェイ頼んだぞ」
「はい!」

3人は、馬で出発しました。あんまり遅すぎると今度は風などで消える可能性 があるからです。
分かれ道も順調にこなし小一時間も走ったでしょうか、山のふもとに一軒の砦 を発見しました。
隣の小屋にさっきの馬を含め4頭いるようです。
まずは人質であるメイリィさんの様子を見て助け出さないと山賊は倒せません 。
「やっぱり4人か・・・とりあえず中の様子を見ましょう」
坊ちゃんは、中の様子を見ようと近づきました。しかしその時、中から
「念のため外の様子を見てこい」という声を聞こえました。
こ、これは・・・
運が悪いとしか言いいようがありません。
「しまった・・・」と思っても、隠れるところがありませんでした。
「おい、侵入者だ!」
まず2人が飛び出してきます。
ひとりが、フェイに気付いたようで
「おい、こいつ村の者だぜ」
「よし、ならば連れてこい」
最後の1人が、3人より少し後ろに立ちました。
しかも手を縛られた女性を連れて・・・
「メイリィ!」
「フェイ!あぶないから逃げて!」
「くそっ、どうすればメイリィを・・・」
「しかしおまえら、よくここがわかったな」
どうやらこのお間抜けさん達はまだ気が付いてないようです。
「しかしここまでだ。へたな真似をすればこの子の命はないぞ。」
メイリィに、ナイフが向けられています。人質がいる以上てが出せません。
3人は、山賊に殴られ放題です。しばらくして・・・
「今回だけはこれで勘弁してやる。しかし今後はいままでの2倍もらうからな 」
このままでは完全に負けです。なんとかしなければ。
すると、坊ちゃんがこうなったらとばかりに。
「坊ちゃん、それを使っては・・・」
「こうなってはしょうがない、このまま負けるわけには!」
坊ちゃんの右手が上がると、指先に紋章が輝く
それと同時に、メイリィさんを連れていた1人の山賊のいる場所に黒い渦が出 現、そのまま、山賊は渦に巻き込まれました。
驚いた山賊達は一瞬ひるみ、とっさにメイリィは逃げだしました。
それと同時にフェイとわたしは2人の山賊に飛びかかりました。
坊ちゃんも、そのあと残りの1人に挑みました。
帝国を倒すだけの力がある2人に、村民相手に悪さをしている山賊が
勝てるわけがありません。あっさり勝敗は付きました。

再会を喜ぶ2人を見て、坊ちゃんは
「行こう」
とばかりにわたしの肩を軽く叩きました。
しばらく、林の一本道を歩いていると、
「グレミオ。」
「なんですか、坊ちゃん。」
「僕もまだまだ修行しないと。」
「なんでですか?勝ったじゃないですか。」
「あの力を使ってしまったからね。本当は使ってはいけない力なのに・・・
 あの力がなくても、勝てるようにしないといけないんだ。」
「坊ちゃん、もうこういうのに関わるのはやめましょうよ。わたしは心配で」
「・・・・・」

だれがなんと言おうと坊ちゃんをあぶない目に遭わせるわけには、いけないん です。
今後は、なにも起こらないことをさらに願う旅になるでしょう。


▽第2話「謎のお嬢さん」
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