水地帯・水辺の草むら

バン オオバン

バン 葦を食べているバン
つがい  2000.11.25  谷津干潟
黄色い脚の脛節の上は赤い  東京都
バ  ン
種 名 ツル目/クイナ科/バン 鷭 Gallinula chloropus indica Indian Moorhen
時 期 北海道、本州北部では夏鳥、それより南では夏鳥あるいは留鳥。
形 態 L 320mm 嘴峰32-44mm 翼長154-176mm 尾長64-74mm ふ蹠44-54mm.
    雌雄同色。
    クイナより大きく、嘴の先は黄色で上嘴から前額に鮮やかな紅色の額板がある。
    頭部から頸と体の下面は灰黒色で、脇腹に白色の縦斑がある。 下尾筒の大半は黒く、両側の羽は長く、白い。
    背と翼は緑黒色。 脚は緑黄色で脛節から上は赤い。 水掻きはない。 幼鳥は全体に淡色。
    鳴き声:「クルルル」「ケッケケケ」
生  態
分 布 全北区、東洋区、新熱帯区、エチオピア区。
    繁殖: オーストラリア区を除く世界中の温帯から熱帯に繁殖分布する。
    冬期: 温帯の個体は南方へ渡って越冬する。
    日本では、北海道、本州北部では夏鳥、それより南では夏鳥あるいは留鳥。

生息地 湖沼、河川、水田、ハス田など、ヨシやガマなどがある湿地で生息する。
    クイナほど警戒心は強くないが、物音や人影に敏感で、すぐに草むらに身を隠す。
    オオバンのように水掻きをもたないが、水面を速く泳いだり、潜水もできる。
採 食 水面を泳いだり、浮き草植物の上を歩きながら水草の葉、茎、種子などを採食する。
    また、水辺の昆虫、貝、甲殻類、オタマジャクシなども捕食する。
    クイナはヨシやガマの茂み近くで採食するのに対し、広い水面で採食することもある。

繁 殖 繁殖期は、4-8月。 年に1-2回、繁殖する。 一夫一妻、なかには一夫多妻(巣は一つ)。
    つがい形成期、雌雄が餌の相互交換を繰り返す。
    巣づくり: 雌雄共同作業で、アシ、ガマなどの草むらや水田に枯れ草などを積み上げて、皿形の巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数: 5-9個。 種内での託卵もあるため、1巣卵数20個になることもある。
    抱卵: 雌雄交代で21-22日間、抱卵する。 孵化した雛は早成性。
    育雛: 雌雄が雛に給餌する。 孵化後2-3日間は巣で抱雛され、その後、巣から離れる。
    雛は生後、約25日経つと自分で採食し、40-50日経つと飛ぶことができる。

    形成した縄張りの防衛は、脚でけり合う、嘴を突きだして頭を下げ、両翼を上げて威嚇する。
    2回繁殖した場合、先に産まれた若鳥が、ヘルパーとして縄張り内の巣に残り、妹や弟の世話をする場合もある。
    若鳥の額板が鮮やかな紅色になると、親の縄張りから出る。

バンの額板と光彩。
上嘴から前額にかけて赤い。
光彩は、赤茶色。
バンの助走
水中に潜る鳥類は体重が重いので、飛びたつときに助走が必要。
バンの足趾(あしゆび)は長い・・・体重が長い趾に分散されるため、
ハスの葉の上を歩くことができる。さらに泳ぐときの水掻きの役割を果たす。
池の中でヨシ沿いに歩きながら、葉を採食中。
水辺の草むらでヨシの葉を採食中。
長い趾(ゆび)をもつバンには水掻きはないが、速く泳ぐことができ、
浮き草植物の葉の上を歩きながら採食できる。
伸びをする若鳥
若鳥の嘴や額板は赤色と黄色がほとんどなく、体の色が赤褐色ぎみ。
生まれて間がない幼鳥は、額板・上嘴は赤く、嘴の先端は黄色いが、
若鳥になると、全体に淡い色になり、次第に成鳥と同色になる。

オオバン

オオバン オオバン
池を泳ぐオオバン 東京都 & 宮城県
オオバン
種 名 ツル目/クイナ科/オオバン 大鷭 Fulica atra Common Coot
時 期 東北地方北部以北では夏鳥、それより南では留鳥もしくは冬鳥。
形 態 L 390mm 嘴峰40-52mm 翼長194-220mm  尾長52-62mm ふ蹠52-63mm.
    バンよりも大きい。 雌雄同色。
    頭と頸部が黒色。 額板は白色。 背以下の上面、翼、尾は灰黒色で、次列風切の先端に白色の斑がある。
    下面は灰黒色。 嘴は白く、脚は暗い青緑色で、木の葉状の弁足がある。
    幼鳥は上面が褐色で、下面が淡色。
    鳴き声:「ケッケ」「キュッ」甲高い声。
生   態
分 布 旧北区、東洋区、オーストラリア区。
    ユーラシア大陸の亜寒帯から以南、オーストラリア大陸で繁殖し、冬期、熱帯・亜熱帯に渡って越冬する。
    日本では、主に北海道、本州中部以北で繁殖し、本州各地でも少数が繁殖する。
    東北地方以北の個体は、冬、南へ渡って越冬する。 冬、小笠原諸島、琉球諸島で見られる。

生息地 湖沼、河川、水田、ハス田など、ヨシやガマなどがある湿地で生息する。
採 食 足趾についている水掻きで水面を泳いで水草の葉、種子を採食し、潜水をしてヒメガマなどの茎を採食する。
    水辺の昆虫、貝、甲殻類なども捕食する。

繁 殖 繁殖期は、4-8月。 年に1-2回、繁殖する。 一夫一妻。
    巣づくり: 主にオスが巣材となる枯れ草などを運び、オス・メスがヨシ原などの水面に巣材を積み重ねて、
    メスが脚や嘴で巣材を整えて皿形の巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、6-10個。
    抱卵: 雌雄交代で21-25日間、抱卵する。 早成性で黒い幼綿羽に覆われている。
    育雛: 孵化後、育雛専用の巣をつくって雌雄が給餌する。 親は、はやく孵化した雛ほどよく世話をする。
    雛は生後、約30日経つと自力で採食し、生後、55-60日経つと飛べるようになる。

    つがい形成期、オス同士が追いかけ合う、蹴り合う、などの行動をして縄張り形成し、縄張で繁殖する。
    

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