三番瀬(Sanbanze)と 谷潟  線・海岸湿地の鳥

セイタカシギ 絶滅危惧1B類 (EN) 水辺の貴婦人

採食中のセイタカシギ ♀のセイタカシギ
成鳥冬羽 左メス、右オス 2000.10.28 谷津干潟
成鳥オス
種 名 チドリ目/セイタカシギ科/セイタカシギ 丈高鷸 Himantopus himantopus Black-winged Stilt
時 期 旅鳥、または留鳥。
形 態 L 370mm* 嘴峰57-68mm 翼長222-251mm  尾長80-90mm ふ蹠119-137mm.
    雌雄ほぼ同色。 夏冬異色。
    脚はピンク色で、細くて長い脚で半蹼型。 嘴は黒く細い。
    オス冬羽は、頭部、頸部が黒い。背と翼は金属光沢の黒緑色。 下背、腰、上尾筒、下面は白色。
    オス夏羽は、頭部が黒い。
    メスは、冬羽・夏羽ともに頭部が白い。背と三列風切羽は暗灰褐色。
    幼鳥は、頭上、後頭部、後頸が灰褐色で金属光沢がなく、脚のピンク淡い。
    鳴き声: ふだんは「ケッ」「ピュー」、繁殖期は「ケッケッケ」と鳴く。 
生   態
分 布 世界的に広く分布する。
    アフリカ大陸中南部、ユーラシア大陸南部、インド、東南アジア、北アメリカ大陸南部、南アメリカにかけて
    不連続的に繁殖分布する。
    日本では、ほぼ全土の各地で希に見られるが、個体数は少ない。

    1971年、千葉県に約40羽ガ渡来した。1975年、愛知県で繁殖を確認し、千葉県市川市行徳では越冬した。
    現在は毎年、千葉県市川市新浜鳥獣保護区では、繁殖して、行徳海岸で越冬している。

    絶滅危惧種に指定されている。

生息地 熱帯から温帯にかけての降雨林から砂漠地帯まで、広く生息する。
    浅い淡水、塩水の湖沼、河川と河川に近い湿地帯などで繁殖する。
    非繁殖期は湿地帯、河口、入江の干潟、河川の氾濫源、水のある水田。湖沼の砂泥地に生息する。
背高シギの採食 採 食
透き通るきれいな水を好み、静かな水の中を歩きながら採食する。
採食時、シギ類が入れない深さまで入る。

採食の仕方は、首を外側から内側に振って、開いた嘴を水中に打ち込む
ようにして楕円に動かし(写真左)、甲殻類、ゴカイ、甲殻類を採食したり、
長い脚を巧みに動かしながら、嘴を水面と平行にしてついばむ。
  セイタシギは、首を外側から内側に振り、
  ソリハシセイタカシギは、首を内側から外側に振る。

食べ物は、魚類、甲殻類、昆虫、ゴカイ、オタマジャクシなど。
嘴を前後に振りながら採食している成鳥メス
繁 殖 繁殖期は、5-7月。 一夫一妻。 つがいは縄張り分散をする。
    巣づくり: 雌雄が協力して巣をつくる。
          巣は、乾いて開けた場所で、草がまばらに生えている砂泥地に浅い窪みを掘り、
          巣材の小石や植物片を敷いて巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、3-4個、4個が多い。
    抱卵: 雌雄交代で抱卵する。
    孵化: 22-25日で孵化する。 雛は早成性の離巣性。
    育雛: 雌雄が協力して28-32日ほど子育てをする。

絶滅指標 絶滅危惧1B類(EN)

    非繁殖期、7月下旬から10月下旬にかけて、数家族が集まって30羽ほどの群れをつくる。
    10月下旬から翌年4月上旬までは、群れは崩壊して家族にもどり、日中はそれぞれの採食地へ行き、
    夜は、集まって群で、ねぐらを共にする。

    
ディスプレイは、グランドディスプレイと、フライトディスプレイをする。
    フライトディスプレイは、オスが高度5-10m上空でホバリングしてから降下し、再び上昇して同高度に行き、
    10-25mをバタフライでゆっくり飛び、ホバリングになり、首を縮めて尾羽を開き、脚をブラブラさせる
    (Cramp & Simmons, 1983)。
    グランドディスプレイは、つがい形成に関するオスのグループディスプレイをする。
    3-4羽のオスが、大声で叫びながら、肩羽を逆立てて飛び上がる。
セイタカシギの水浴び
セイタカシギの群
海水に入って採食したあと、淡水池などで水浴びをしているメス
セイタカシギ 7羽の群 谷津干潟 2000年10月
セイタカシギの群
セイタカシギ 24羽の群
近くにタシギ6羽、オオハシシギ2羽、アオアシシギ1羽がいた。

葛西臨海公園・汽水池 2002. 04. 06
セイタカシギのディスプレイ
求愛のグランドディスプレイ? 跳ねて踊るグループディスプレイ
セイタカシギの交尾? 疑似交尾?  2000.9.16
2羽は離れた 採食地の縄張り争い?  2000.9.16 谷津干潟
飛翔時、スラッと長く伸びたスマートな脚
* 鳥類の全長(L)は、嘴の先端から尾羽の後端までが全長です。
  セイタカシギのように、脚・足趾(ゆび)が尾羽より後方に出る鳥類も、嘴の先端から尾羽の後端までが全長です。。

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