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ヤーンの翼 グインサーガ80
ヤーンの翼
―THE FLYING OF THE FATE―

いまのぼくならば・・・兄アルド・ナリスに協力すべくケイロニアを出奔したマリウスは、グラチウスの使い魔であるユリウスに拉致されそうなところを、イェライシャに救出され、パロが落ち着くまで彼の隠れ家にかくまわれることになった。

その頃、ワルスタット城に残存兵力を残したグインは、精鋭8000を率いてケイロニア最南部の要衝ワルド城に入っていた。
そのグインの元へ、レムスの治めるパロ王国からは魔道師ルエンが、アルド・ナリスの治める神聖パロ王国からは宰相ヴァレリウスが使者としてケイロニア軍の誘致に現れる。
しかし、グインはどちらの勢力に味方すると表立って明かすことはなかった。

一方、イシュトヴァーンは、わずか5000の兵を連れて現れたタルー軍を壊滅させ、タルーを遂に捕獲すると、彼を斬首する。
イシュトヴァーンの懸念は、タルーを裏で操っていたと思われるサウルと名乗った魔道師の存在だった。
自由国境地帯に点在する都市、村落を威圧し、情報を集めたイシュトヴァーンは、パロ北端の都市シュクを目指すが、またもや、彼の進軍の前に謎の軍勢が現れたのだった。

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今巻、なんといってもタルーが悲惨。ユラニア滅亡以後、姿を消していた彼がどうやってイシュトヴァーンの前に現れ、以後どのようにイシュトヴァーンと絡んでいくのか注目していただけに、なんか端役程度に扱われてしまった。
最初から端役といわれればそれもそうかもしれないけど、旧クムの公子であり、黒竜戦役ではモンゴール滅亡の一翼を担い、アムネリスを拘留。
イシュトヴァーンのモンゴール復活戦では旧クム軍を率いるも惨敗。
その後、復活したモンゴールに対抗しようとユラニア・クム連合に暗躍するも、アリストートスの姦計の前に反逆罪の汚名を着せられて、対モンゴール戦では妻ネリイをイシュトヴァーンの刃によって失い、消息をたったタルー。
いつでもイシュトヴァーンの歴史に大きく関わってきた彼だけに、今回現れたときはいよいよ因縁の対決に終止符かと思われたわけで、まぁ、確かに終止符は打たれんだけど、さくっと敗れておしまい。
なんかね、ホントに5000の軍勢しか率いていなくて、イシュトヴァーンを苦戦させたわけでもない。
どうせならもっとでかいことやって欲しかったなぁ。イシュトヴァーンが留守のイシュタールを襲撃するとか、一方でアムネリスと組んでいてモンゴール残党が挙兵とか、タルーのせいでゴーラ大内紛勃発とかそうゆうのってダメだったのかなぁ。
タルーを後ろで引いていた人にしてみれば、タルーを餌にイシュトヴァーンとグインをシュクあたりでぶつけるのが目的なんだろうけど・・・
いや、歴史上、実際にはそんな劇的な展開なんてないんだよ、と言われればやっぱりそれもそうかもしれないけど、物語なんだからさぁ、やっぱりこれじゃぁ厚みに欠けるというか、期待はずれと言いたいです。
なんかね、鉄仮面なんてのもさ、さくっと出てきて、なんだったのってなったりしないよね?

さて、そのタルーを後ろで引いていた人というのは、ヤンダルか。
魂返りの術を使うっって意味ではヤンダルもグラチウスもありえるんだけど、グインを足止めしたいのはヤンダルなのかなぁ、ってところ。ってゆうか、グインがナリスに付くと、ヤンダルもさすがに面倒なんだろう。

んで、このところイシュトヴァーンの残虐性だけが妙にクローズアップされてきている感が否めない。
まぁ、狂王ってイメージを強めたいんだろうけど、タルーへの拷問はまだしも、ナラ村を焼き払ってなんの意味があるんだろう?意味がないから狂王?

んで、マリウス。なんかねぇ。ナリスに協力って、あまりにも今更じゃないか?
やっぱりぼくは吟遊詩人で、ぼくはどこまでいってもぼくなのだ!って、それで通じりゃ世の中面白いことだらけだよ。
って、イェライシャとは初めて出会ったかのように記述されている・・・そんなわけはないんだけど、ま・・・いっか(実際には18巻P.170でマリウスとイェライシャは会話している)。

ほんで、一応山場としては、グインとヴァレリスの再会なんだろうなぁ。唐突だったけど・・・
んでも、グインは望星教団のヤン・ゲラールのことを、知っておくがいいとか言いながらヴァレリウスに教えているけど、ヤン・ゲラールの名はそれなりに知られているっぽいけど、その辺が謎。
74巻「試練のルノリア」P.40では、ナリスとジェニュアのバラン司教との会話に彼の名が登場する。
確かにこのときヴァレリウスはアグリッパを探しに行っているので、その場にはいないんだけど、ヨナも知っているっぽい人物のことをヴァレリウスは知らないのだろうか?
ってゆうより、あの2人が再会したからなんなんだ?ってところだ。特に話が進んだようには思えないけど読者サービスか。

それと、本文中に年月関係を明らかにする記述として、イシュトヴァーンの年齢は27歳(P.137)、グインが中原に現れたのが7年前(P.252)とあった。

なんか文句ばっかり言ってる気もするけど、それも、ま・・・いっかってことで。次は81巻だな。

2002/08/15更新