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永遠への飛翔

グインサーガ94
永遠への飛翔
―FLIGHT TO FOREVER―

アモンを探し、星船を進むグイン。彼はグランドマスターとしてすでに星船の乗員に登録されており、何の障害もなく、星船の中を探索することができた。そして、カプセルの中で眠るさまざまな異星人たちの姿を見る。その中には、中原ではクラーケンと呼ばれる怪物やヤンダル・ゾックにそっくりのものたちの姿もあった。
中央管制室と呼ばれる広大な空間でアモンに再会したグイン。アモンは、星船のシステムにグインの正体を問いただすことを説く。
グインは人間なのか、真実を知ることが恐ろしいのか、アモンの言葉に激昂するグイン。星船のシステムが異様な磁場の発生を告げる。2人の放つエネルギーが、星船の許容量を超えようとしていたのだ。
アモンは姿を消すが、磁場はより強大になろうとしていた。なぜなら、そのエネルギーはグイン自身から発生していたからだ。
グインを排除すると警告する星船のシステム。システムにとって、星船の維持と待機こそが3000年にわたって遂行されてきた任務だった。
回避する方法は唯ひとつ。次の命令、つまり航行再開の指示を与えることだ。
グランドマスターグインは、待機の解除、航行再開をシステムに命じる。
システムが告げる。
「航行準備が終了しだい、本船は航行プログラムにセットされている、<<帰還>>のプログラムにしたがい、アリシア星系第三惑星ランドックを目指します」
星船は、ノスフェラス、グル・ヌーを後にして飛び立つ。
システムとの会話で、グインは多くのことを知った。
ランドックは、調整者たち、そしてグインのいた惑星の名であり、クラーケンに似た異星人たちと戦争状態にあったこと。
乗組員たちは、不時着時の損害で全滅したこと。
グインは調整者たちの皇帝であったが、なんらかの罪を犯して廃帝となったこと。
女神と称されるアウラ・カーにより追放されたこと。
そして、かつてルードの森に現れたときに自分は生まれかわったのであり、帰る場所は中原しかないことを改めて認識する。
グインはシステムに命令する。
転送システムを使ってグインを中原に戻すこと、アモンを星船に封印したまま自爆することを。
システムは自爆命令を了解し、また、短期間に転送を何度も行うことと長距離転送のため、グインの身体に与える危険性を警告する。
だが、グインの意思は揺るぐことはなかった。
グインはアモンを呼び出し、本体を集結させ、アモンの分身が生き残る危険性を排除すると、システムに自身の転送を命じる。
グインは、転送された・・・そしてノスフェラス。
セム族とラゴンによって砂漠より救出されたグインは目を覚ますと小さくつぶやいた。
「俺は・・・・・・誰だ」

■■■

前巻によれば、92巻から93巻の間に1ヶ月ぐらいの時間があるかもしれないんだけど、だとしたら、今回星船の中にいたアモンくん。
この間何してたの?

100巻に向けていろいろとネタばらしがすさまじい勢いで進んだ。

ほんで、悪の定義なんて相対的なものでしかない、というアモンの言うことにちょっと同意しちゃったりして。
結局グインは、アモンを絶対的な悪じゃなくて、グインの主観として悪なんだと結論したわけだけど。
つまり、他は知らないけど、俺はお前が嫌いなんだってことだな。

んで一気にいろいろわかった本巻。
ここまで(94巻まで)引っ張るだけ引っ張って意外とあっけない。ネタばらしなんてそんなものか?
それはそれで、いろいろな事実に納得できるかどうかは別なわけで・・・

1)ランドックの科学技術
ランドックまではおよそ2万ラグという期間がかかるらしい。2万ラグがどのくらいかよくわからないけど、ソラー星系第三惑星(中原のある星)に星船が不時着したのが約3万7200ラグ以前(p.178)、カナンが星船の墜落によって滅んだのがおよそ3000年前と考えると、2万ラグは2000年弱、1500、1600年ぐらいか・・・
おいおい、すごいかかるな・・・ランドックまで。
システムはグインに告げている。2万ラグかかるからスリープに入る準備をします、と。
え?ワープとかないの?宇宙戦争起こすような宇宙の帝国がだよ・・・何千年もかけて星々を渡り歩いているのかい?

2)アモンの正体
アモンの正体は解析不能らしいけど、似ているのが2万4000ラグ以前にカレナリア星系第三惑星の文明を滅ぼした有害生命体、通称<<ヨーグ>>だそうだ。ランドックを離脱したのが5万6700ラグ以前(p.177)で、ランドックとのコンタクトはほぼ4万ラグにわたって断絶(p.211)といっているけど、2万4000ラグ以前に起こった事件の情報はどうやって入手しているの?
通信するにも、声が届くまでに何千年もかかりそうだけどね・・・

3)カイザーシステムって・・・
カイザーシステム、いわゆるパロの古代機械はどこにでも転送できるんじゃなかったんだろうか?
システムは、グインに対して、あまり離れちゃうとノスフェラスに転送できなくなると告げている。
しかも空気の組成の変わる場所とか宇宙から惑星上への長距離転送の場合、転送先にレセプターってのがないと、いろいろと危険らしい。
星船に搭載しているカイザーシステムが、恒星間移動用のものでないということらしいけど(p.184)、パロにあったものはもっと高性能だったのだろうか?p.276の記述によると、星船のカイザーシステムは、パロにあったものと同じように見えるし、どちらかというと、パロにあったものよりもずっと大きくて複雑っぽいんだけど。
どこにでも行けるとか、次元をも超えるとかってのは、魔道師たち、ひいてはナリスたちの勝手な思い込み?

4)アモンは死んだのか?
p.257の記述によると、アモンは宇宙空間でも生きていられるらしい。ずっと漂い続けることは不可能かもしれないけど、どこかの惑星に流れ着けば、そこで大きくなれるかも、と言っている。
ってことは、星船爆発させてもアモン(の一部)は生き残るかもしれないじゃん。
アモンを閉じ込めたまま、星船を自爆させるって作戦は確実だったのか?

5)グインの犯した罪って
p.301の記述によると、ノスフェラスには花が咲き始めたらしい。ものすごい勢いで環境変化しているよね。
グインの罪がなんなのかは結局明かされていないんだけど、その償いが、仮にノスフェラスの再生だったとしたら、すでに罪はあがなわれたってことになるのだろうか。というか、星船発進させれば良かったってこと?
んでも、グインが追放された後に墜落しているから、もともとの罪は違うか。
しかしあれだ、3000年前に墜落したのに、なんで3000年後に転送されてきたんだろうね、グイン。

6)スカールは?
南の鷹ことスカールは、重要なパスワードをロカンドラスより教えてもらっていたはず。
グインはさっさと星船動かしちゃったけど、スカールの持つパスワードの意味は?
というか、ロカンドラス、グインに会ったんだから教えてあげればよかったのに。

7)ロカンドラスは?
いつの間にかいなくなってたけど、どうなったの?星船から外へ出ていった形跡はなかったと思うけど、実は一緒に宇宙で自爆?(もともと死んでいるか)

8)グラチウスは?
前巻で別れたままだったけど、どうなったの?

9)そしてグインは?
記憶喪失?マジかい?これまでのことはなかったことにするのか?
っても、みんなグインのこと覚えているだろうけど・・・とりあえず、七人の魔道師でグインがヤンダル知らなかったことへの布石?
ほんで、グインが後生大事に隠し持っている謎の銀の棒、かつてノスフェラスで、広大な砂漠の中で偶然(!)運命的(?)にも拾ったアレはどうなったのだ?というか、星船に関係ないのならアレはなんなのだ?

10)あとがきより
「ナリス事件簿その1、消えた女官」って好評だったの?

2004/04/17更新