ドラ1の採点簿(42年度オフ入団選手編)

〜入団後10年間の活躍を振り返る〜

 

Oカンファレンス

 超大型ルーキー不在の中、競合指名を受けたのは3名で、それぞれ2球団または3球団からの指名となり、単独指名となった球団が4チームと、比較的指名がバラけた印象のドラフトであった。
 競合指名を受けたのは三尾谷、蟹谷、衛藤の3選手。三尾谷は花園に入団後、スタミナがSとなった2年目に才能を開花。14勝を挙げ、以降5シーズンで70勝とハイペースで勝ち星を重ねた。また、その間にもMVPや2度の最多勝に輝いている。しかし、スタミナがAに落ちた49年度シーズンにまさかの3勝21敗という成績に沈んでしまう。その後も勝てないシーズンが続き、逆に以降4シーズンで60敗を喫するという、まさにこれまでの選手生命の前半は天国、後半は地獄のシーズンを送っている。評価は非常に難しいところだが、上記5シーズンの貢献度を勘案しB+とした。
 蟹谷は旭川に入団し、3年目から先発の中心投手として活躍している。ただ、まずまず安定感のある投球を続けているものの、すべてのシーズンで2桁の敗戦を喫しており、評価はBとする。
 もう一人競合を受けた衛藤は強打の即戦力野手として新居浜に入団した。1年目から1軍で活躍してきたが、指名打者の出場が中心であることを考えると、やや物足りない成績か。評価はBとした。
 しかし、この年のドラフト組で最も好成績を残しているのは単独指名された世戸だろう。高卒後3年間は2軍での生活が中心であったが、セカンドの守備力と選球眼をアップさせた4年目に一気にレギュラーを獲得し、新人王に輝いた。さらに、翌年には盗塁王、また翌々年には首位打者と、攻走守においてリーグを代表する選手になった。以降も安定した成績を残しており、さらに53年度には長打がSとなっていることから、ますますの活躍が期待される。評価は今後の期待度も加味しAとする。
 その他では、同じく単独指名の宇居が挙げられるか。宇居は速球派の即戦力右腕として沖縄に入団。初年目からクローザーとして抜擢され、3年目には最優秀救援投手に輝いている。4年目以降やや調子を落とすシーズンが続いていたが、ここ数年は再びクローザー、セットアッパーとして沖縄の守護神として活躍している。抑え中心ではあるが、通算の防御率も優れている。
 三木が単独指名した西谷内は将来性の高い高校生として入団。その後、毎シーズン球速を伸ばし速球派投手として期待されたものの、その後やや伸び悩み、思うような成績を残せていない。53年度には福岡に移籍し新天地での活躍が期待される。

 はずれ1位の5選手(田呂丸、弓気田、倉ヶ崎、浜脇、小谷川)については、佐久に入団した倉ヶ崎がドラ1としてはぎりぎり及第点の成績を残しているが(その倉ヶ崎も50年度以降1軍での出場は無し)、その他の4選手は出場試合数も少なく、B-またはC評価はやむをえないだろう。

投手
チーム 選手 入団 評価 試合 防御率 セーブ 奪三振 主なタイトル 備考
沖縄

宇居

単(21) B+ 272 3.07 19 22 159 418 救、9、☆×3
三木 西谷内 単(18) B- 171 5.11 25 21 18 349 53福岡
花園 三尾谷 3(21) B+ 294 4.14 97 105 0 1379 M、勝×2、9、☆×5
福岡 田呂丸 は(21) C 9 5.55 3 3 0 30 50世田谷、52東松山
旭川*1

蟹谷

3(18) B 244 4.56 65 114 0 1228
石見*2

弓気田

は(28) B- 146 4.80 24 32 1 435 47世田谷、48引退
野手
チーム 選手 入団 評価 試合 打率 安打 本塁打 打点 盗塁 主なタイトル 備考
東北

鳥嶋

単(22) B- 547 .250 437 36 170 69 47東松山、52宇部
佐久

倉ヶ崎

は(22) B 619 .273 570 54 269 58  
浜松 浜脇 は(24) C 16 .212 11 0 8 1
横浜 小谷川 は(22) C 15 .333 3 0 0 0
竜安*3 世戸 単(18) A 1011 .296 1081 159 494 203 新、首、盗、9×5、☆×5
新居浜 衛藤 2(21) B 1056 .244 819 154 489 0

*1:現丸ノ内、*2:現宇部、*3:現酒田
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ1位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

 

Uカンファレンス

 Uカンファレンスは6球団が集中した天道中心のドラフトとなった。天道は高校生離れした制球力、球質そしてスタミナを持つことから、即戦力としての期待から上記の通り6球団からの指名を受けた。その結果当たりクジを引いたのは盛岡となった。高卒1年目こそ9勝止まりだったものの、2年目以降はすべてのシーズンで2桁勝利を挙げている。高めだった防御率もここ数シーズンは3点台で安定している。もちろん評価はAだろう。
 天道の他に競合指名を受けたのは時吉と
烏田。時吉は3球団からの指名を受け、北海に入団している。高い制球力と投球技術を持つ即戦力左腕として期待され、2桁勝利のシーズンも4度あるが、やや不安定な投球が多く、防御率は芳しくない。評価はやや厳しいが、ドラ1ということを勘案し、Bとした。
 
烏田は好守の二塁手として花巻に入団し、10シーズンに渡り当球団の正二塁手として出場を続けてきたが、欲を言えばもう少しバッティングを上げたいところ。やはり、ドラ1ということで評価はB。
 唯一の単独指名となった増保はほぼ期待通りの成績を残していると言えるか。1年目に新人王を獲得後も3割を越すバッティングで世田谷打撃陣を引っ張ってきた。近年、やや年齢から衰えがみられ、53年度には紫雲に移籍しているが、総合的にみると評価はAとしたい。
 はずれ1位選手は、残念ながら小粒感は拭えない。投手では伊勢の
白木、多摩の金邊、安濃津(現名古屋)の藤得はいずれも似たような成績を残しており、それなりの実績はあるものの、ドラ1としては最低限の成績と言えるか。屋島の奧間、厚木(現御殿場)はB-、通算2勝の堺についてはC評価をした。
 野手では津の
塚部が高い守備力で出場機会にも恵まれているが、そのポジション(一塁、外野)を考えると、やはりもう少し打撃成績が欲しいところ。
 東松山
の小波津については、47年度に東北、53年度に福岡にそれぞれ所属球団を変えているが、10シーズンでの出場試合はわずか4。C評価もやむを得ないか(とはいえ、11年目に移籍した福岡では20節消化時点で97試合に出場。まずまずの成績を残している。年齢も若いので今後の活躍が大いに期待されるところ)。

投手
チーム 選手 入団 評価 試合 防御率 セーブ 奪三振 主なタイトル 備考
北海 時吉 3(21) B 303 5.66 63 49 5 768
伊勢*1 白木 は(22) B 261 4.48 64 59 3 700
多摩 金邊 は(22) B 284 5.16 82 80 2 1168
安濃津*2 藤得 は(24) B 312 4.50 35 22 17 577
盛岡 天道 6(18) A 330 4.66 127 111 1 1359 勝、☆×3
屋島 奧間 は(18) B- 113 4.49 11 8 0 177
京都*3 は(18) C 11 7.54 2 3 0 13
厚木*4 柳橋 は(23) B- 122 5.78 12 29 1 274 49東松山、50花園
野手
チーム 選手 入団 評価 試合 打率 安打 本塁打 打点 盗塁 主なタイトル 備考
東松山 小波津 は(18) C 4 .143 1 0 1 1 47東北、53福岡
塚部 は(18) B 925 .234 709 123 399 50 9、☆×2
世田谷 増保 単(24) A 1206 .294 1327 195 726 243 新、9、☆×3 53紫雲
花巻*5 烏田 2(24) B 1022 .225 743 121 330 107 ☆×2 53唐木田

*1:現唐木田、*2:現名古屋、*3:現大分、*4:現御殿場、*5現紫雲
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ1位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

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