ドラ１の採点簿（43年度オフ入団選手編）

〜入団後10年間の活躍を振り返る〜

Ｏカンファレンス

　この年のＯカンファレンスのドラフトで最も注目を集めたのは、即戦力の先発投手として期待され４球団からの指名を受けた徳屋だった。その徳屋は抽選の結果、佐久に入団し、１年目から先発の一角として９勝を挙げた。以後、一時スランプの年が数年あったものの、安定して２桁勝利は計算できる投手として佐久投手陣の柱として活躍している。評価はAを付けたいところだが、ドラ１の評価としてB＋とした。
　その他の投手では東北に入団した前里の活躍が光る。入団後６年間は中継ぎ、セットアップとして非常に安定した成績を残した。球速が150km/hとなって、先発に転向後も２桁勝利を続けている。評価はどの立場でも防御率をはじめ、安定した成績を残しておりＡとした。
　浜松の田土部は３年目のシーズンに１２勝を挙げ新人王を獲得、その後もまずまずの成績を残していたが故障のため実労期間は４シーズンと残念な結果となっている。沖縄の野入は使い勝手の良い投手として活躍、５１年シーズンには大分に移籍している。横浜の中武は入団６年目には３３セーブを挙げ、横浜の守護神を勤めた。以上の３選手はさすが光るものを持っていると感じるものの、ドラ１としては最低限の活躍と評価し、Ｂとした。
　竜安（現酒田）の貞舛、石見（現宇部）の中股、新居浜の横屋はドラ1としてはやや寂しい数字と評価し、Ｂ-ないしはＣとした。
　野手陣では小木田と万木がまずまずの成績を残している。小木田は将来性を見込まれて高卒で三木に入団、リード、肩、バッティングすべてに水準以上の力をつけ６年目からは正捕手としてチームを引っ張っている。万木も小木田と同じく高卒で福岡に入団、しばらくはそのバッティングセンスを生かすことが出来ないでいたが、選球眼を鍛え上げた５１年度に一気に開花、本塁打王と打点王の２冠に輝いた。その後もチームの中心選手として活躍している。田代もそのパワーを買われて高卒で花園に入団したものの、期待ほどの成長が見られなかったのが残念。それでも貴重なスプレーのパワーヒッターとして花園の中核で活躍している。旭川（現丸ノ内）の但見はその能力を発揮することなく４７年度に引退している。

*1：現酒田、*2：現宇部、*3：現丸ノ内
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ１位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

Ｕカンファレンス

　Ｕカンファレンスはぞれぞれ４球団から指名を受けた仲久木と森賀の即戦力投手に注目が集まった。仲久木は名古屋に入団。速球派投手として１年目から９勝挙げた。しかし、２年目以降は思うように成長がみらなかったが、まずまず安定した成績は残している。また、51年度からは新しい環境ということで大分でプレーしている。評価はギリギリのB+とした。もう一人の注目選手の森賀は期待通りの成績を残していると言えよう。仲久木と同じく速球派の即戦力として１年目から活躍、２年連続で奪三振王となった。また２年目には最多勝も獲得し、順風満帆のスタートとなった。しかし、入団後自慢のスタミナがダウンし続け、３年目からは中継ぎに回ることとなった。とはいえ、中継ぎでもその能力を発揮、49年度に移籍した世田谷ではクローザーをつとめ、救援王も獲得している。評価は文句なしのＡだろう。
　その他の投手では北海の輪倉に注目したい。高卒で入団し、しばらくはなかなか結果が出ないシーズンが続いていたが、地道に成長を続け、ここ数シーズンは非常に安定した成績を残している。入団後10シーズン中のタイトル獲得は無かったものの、11年目となる54年度には防御率と勝率の２部門でタイトルを獲得、リーグを代表するエースになりつつある。厚木（現御殿場）の西園寺は高校生ナンバー１の速球投手して注目を浴びたが、プロ入り後はなかなか結果が出ていない。潜在能力の高さは誰もが認めるところ。今後の活躍に期待したい。
　伊勢（現唐木田）の門坂と津の望木はドラ１としてはやや寂しい数字となっている。盛岡の稲子は２球団の競合となったが、入団後の出場登板は90試合にとどまっている。評価Ｃは仕方のないところ。
　野手では概して地味な選手が多い印象を受ける。その中で屋島の匡は堅守・強肩・俊足の外野手として10シーズンで1123試合に出場している。ただドラ１としては、もう少しバッティングでも貢献したいところ。東松山の赤前も堅守・俊足を売りに売りにしているが、10年目となる53年度にはバッティングも好調でベストナインに選出されている。多摩の取田は１年目にいきなり３割、５年目には自己最高となる３割２分をマークしたが、その後出場機会を失っている。世田谷に入団した古草は長打力が魅力の選手であるが、やや好・不調の波が大きい。53年度には東松山に移籍し、活躍の場を広げている。花巻（現紫雲）の青梅は安定したリードとバッティングを持つ大型新人として期待され、新人王にも輝いていたが、１軍での出場は入団後５シーズンのみ。52年度には引退を決めている。以上野手のドラ１については、それぞれ一長一短ということで、全員Ｂ評価とした。

*1：現名古屋、、*2：現唐木田、*3：現御殿場、*4現紫雲
入団の「数字」は競合球団数、「は」ははずれ１位、「単」は単独指名、カッコ内は入団時の年齢

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