このページは、迷走録の平成12年12月24日分からスタートして、「マイ・フェア・レディ」と「ロンドン学派」について関係のあるところを古い順に抽出しただけで、内容は初出時とまったく同じです。
平成12年12月24日
今年のエリザベス女王のクリスマス・スピーチは例年より注目している人が多いのではないでしょうか?というのも、CNN.co.jp に12月21日付けのエリザベス女王の英語が庶民化?(英語版はこちら)という記事があったからです。他にも「エリザベス女王の英語、庶民に近づく=豪言語学者が分析−科学誌 (時事通信)」が Excite ニュース や LYCOS ニュースにありました。
The Daily Yomiuri にも、詳しい記事があったのですが、今どこにいったかわからなくなってしまいました。確か、女王の happy の発音が heppy に近くなっているとか、マイ・フェア・レディの Henry Higgins 教授のモデルは Henry Sweet だったとか、いろいろ載っていたと思います。見つかったら、また紹介しようと思います。
しかし、「当の本人は、今年のスピーチを変に意識してしまうのでは?」と、人ごとながら気になってしまいます。
平成12年12月31日
忙しい毎日を送っていたので、エリザベス女王のクリスマス・スピーチは聞き逃してしまいました。例年よりも注目している人が多かったと思うのですが、私のように聞き逃してしまった人も結構いるのでは?
そんな人のために、捜してきました。http://www.royalinsight.gov.uk/current/front.html で見られます。
24日に「女王の happy の発音が heppy に近くなっている」と書きました。The Daily Yomiuri の記事からは、そうともとれるのですが、いろいろな記事をネット上で読み比べたところ、BBC News On Yahoo!の Queen's speech 'less posh'の"Hed" to "Had"にあるように In the Queen's Christmas broadcasts of the 1950s, for example, the word "had" almost rhymed with "bed". But 30 years later "had" migrated halfway to the standard southern English pronunciation, which rhymes with "bad". のようです。他の記事も大同小異です。
読んでみたのは、下のイギリスの有名な新聞のニュース等です。(主なものだけ。)
The
Times:
Queen's English
is not as it was spoke
date: 21/12/2000
Decline and fall
of the Queen's cut-glass accent date: 21/12/2000
良くも悪くも優等生的な記事
The
Independent:
Cor blimey! Even
the Queen no longer speaks the Queen's English date: 21/12/2000
David Abercrombie のコメントあり
Guardian
Unlimited:
The Queen's
English of today: My 'usband and I ... date: 21/12/2000
Wells のコメントあり
Electric
Telegraph:
Blimey, what
became of the Queen's English? date: 21/12/2000
発音の変化の例多数あり
もとは、 Nature の記事ということです。調べたところ、記事自体はさがせませんでしたが、出典は Harrington, J., Palethorpe, S. & Watson, C. I. Does the Queen speak the Queen's English? Nature 408, 927-928 (2000).でした。
Nature
News Service:
phenomena: The
Queen's English dethroned date: 21/12/2000
Peter Roach のコメントあり
それから、正確な情報で定評のある BBC のものも載せておきます。
BBC
News On Yahoo!:
Queen's speech
'less posh' date: 27/12/2000
簡潔な記事
RIP RP
The fuss over the Queen's slow departure from "RP" -
received pronunciation - is more to do with informality than
accent. date:
21/12/2000
伏せ字が何か気になります。
※休み中にしっかり読んで、自分の理解が正しいか、ネイティヴの先生に聞いてみようと思っています。
平成13年1月1日
12月24日に「マイ・フェア・レディの Henry Higgins 教授のモデルは Henry Sweet だった」と書きましたが、ちょっと蘊蓄を披露したいと思います。
My Fair Lady (1964)は、Audrey Hepburn 主演のミュージカルです。 Hepburn は、ヘップバーンと読みますが、 Hepburn 式とくれば、ローマ字のヘボン式です。イギリス発音とすれば、ヘボンのほうが原音に近いのでは?
閑話休題、原作は George Bernerd Shaw (バーナード・ショー)の戯曲 Pygmalion 「ピグマリオン」です。Pygmalion (ピグマリオン)とはギリシャ神話に出てくる彫刻家の名前です。その神話とは、自分の彫った女性の彫刻に恋をしてしまった男性の思いが神に通じて、彫刻が人間になってしまったという話です。
教育学の用語にも、「ピグマリオン効果」というのがあります。教師の理想像の影響を受けて、生徒が教師の望む様に変化するという効果です。
あ〜〜〜っ、全然閑話休題になっていない!!
その「ピグマリオン」が、先ず Broadway で「マイ・フェア・レディ」としてミュージカルになり、後に George Cukor (ジョージ・キューカー)監督によって1964年に映画化されました。
Broadway では、Julie Andrews が Eliza Doolittle (イライザ)の役をやったようです。個人的には、Julie Andrews のほうが見てみたいかな。Professor Henry Higgins (ヒギンズ教授)のほうは、Broadway も映画も Rex Harrison がやったそうです。
粗筋は、コヴェントガーデンの貧しい花売り娘イライザが、音声学者のヒギンズ教授の指導によって洗練されたレディーに変身するというミュージカルです。
がさつで身分の低い花売り娘イライザをヒギンズ教授が自分の思い通りにレディーに仕立て上げていく姿をピグマリオンの神話に重ね合わせています。
しかし、私としては、訛りのひどい花売り娘を躾け直して、一流のレディーにできるかどうかまで賭けにしてしまうのは、ちょっとどうだかなあという気もします。それじゃあ、いかにもイギリス上流階級のステレオ・タイプそのまんまじゃないかい?まあ、映画にはよくありがちですが、・・・。
それから、タイトルの「マイ・フェア・レディ」は、高級街である「メイフェア」をコックニー訛りで読むと「マイフェア」になるということとひっかけているそうです。
今日はここまでとします。本題に入る前に力尽きた・・・。(本日分は未完成なので、後日一部改訂予定です。)
平成13年1月2日
昨日に続き、今日はやっと本題の Professor Henry Higgins (ヒギンズ教授)ネタについて書きます。
My Fair Lady (1964)の Henry Higgins 教授のモデルは一般に Henry Sweet だったと言われています。そこで今日は Henry Sweet についての蘊蓄を、・・・。
Henry Sweet はロンドン生まれのイングランド人で、音声学の基礎を築いた人です。もう少し正確にいうと、philologist で、事実上の English Philology の創始者ということです。幻の名著といわれた A Handbook of Phonetics 「音声学提要」(1877)の復刻版が三省堂からでています。
劇と違い Sweet は Oxford 教授職の選に漏れ、 Reader (準教授)だったということです。名前と違って本人は、あまり sweet な人ではなかったようです。もともと人付き合いの上手なほうでなく、希望していた教授職の選に漏れてからは、一層不機嫌になり、 Bitter Sweet というあだ名がついていたということです。
Sweet は、初めはドイツのハイデルベルク大学に学び、後に Oxford の Balliol College で学んだ人です。彼は、自分の論文のなかで、「ドイツの学者は勉強家ではあるがペダンチックで大言家である。」といっているそうです。Pedantic な My Fair Lady の Henry Higgins 教授と違って、かなり堅実な人柄であったようです。
(本日分も未完成なので、後日一部改訂予定です。)
平成13年1月3日
昨日の Henry Sweet 編に続き、 Professor Henry Higgins (ヒギンズ教授)ネタ その2 Daniel Jones 編について書きます。
『イギリス英語のイントネーション』によると、最近の研究では、ヒギンズ教授のモデルは、 Jones という説が出ているそうです。(Beverly Collins, The Eary Career of Daniel Jones, University of Utrecht)今井邦彦,「『マイフェアレディ』の謎」,『言語』,1991年7月号,参照。『イギリス英語のイントネーション』 P.330より
Daniel Jones は、 発音辞典として権威のある English Pronouncing Dictionary を1917年に出版した人です。また、英語の発音記号(Intenational Phonetic Alphabet: 国際音声字母)を制定した人としても知られています。
発音記号そのものは、19世紀末にフランスで作られました。しっかり調べられませんでしたが、どうも発音記号は、1886年にヨーロッパの当代一流の音声研究者が集まって発足された世界音声学会(Intenational Phonetic Association)で作られたようです。Daniel Jones が IPAに参加したかは調べられませんでした。
Daniel Jones は、 Henry Sweet の業績を受け継ぎ、University
College London (ロンドン大学ユニヴァーシティーコレッジ)に
Department of Phonetics and Linguistics (音声学科)を開設し、ロンドン学派を形成し、世界の音声研究をリードしてきたということです。
University College London
Department of Phonetics and Linguistics のホームページ
(またまた、本日分も未完成なので、後日一部改訂予定です。今回は分量が多すぎて整理しきれないので、当初予定していた「ロンドン学派編」は、またいつか書きます。)
平成13年1月5日
今日はコックニー訛りについて書きます。
コックニーの定義は、ボウ・ベルの音が聞こえる範囲(ところ)で生まれた人ということです。Cockney London には、「A Cockney is, by definition, a person born within the sound of the Bow Bells - the bells of St. Mary-Le-Bow Church (also known as Bow Church) - in Cheapside, London EC2.」と書いてあります。
コックニー訛りは、一般に、「'A' (エイ)の発音が 'eye'(アイ) になるのと、'h' の発音が、抜けること」等が、よく知られていますが、日本では、rhyming slang については、あまり知られていないと思います。
発音の方では、自分が聞いた中で一番印象に残っているのは、「It ain't 'alf 'ot today」( = It isn't half hot today = 今日の暑さは半端じゃねーぜ!)です。「イッアインッ アーフ オッ トゥダイ」くらいに聞こえて、最初は全然分かりませんでした。
発音については、The Cockney
Internet に、いい説明があるので引用します。
「Cockney is
only partly the famous rhyming slang. It's also dropped 'H's at
the beginning of words and syllables (be-ave yerself), 'th'
replaced by 'f', dropped 'G's at the ends (listen ere, darlin),
and glottal stops in the middle replacing 'T's and other
unimportant consonants (a drin' a wa'er). I really can't
describle the glottal stop, it's a consonant that ordinary
English just doesn't have. Except sometimes; one example is the t
in Gatwick, which just about everyone uses a glottal stop for.
And the vowels are different, usually longer. "down" is "dahn", "out" is "aht". It's hard to spell them phonetically, but if you're really interested, there's a good web site. 」
Rhyming slang
の方で、印象に残っているのは、Trouble And Strife( = Wife )と Apples And Pears( = Stairs )とAdam And Eve( = Believe
)です。
たぶんコックニーじゃないと思いますが、ライムでは、"See
you later, alligator." "In a while
crocodile."が印象に残っています。
Rhyming slang
については、下のお勧めサイトを覗いてみてください。
以下は、お勧めサイトです。
Cockney
London
簡潔で分かりやすいので、最初に読むといいと思います
Mary-Le-Bow Church
の大きな写真あり
The Cockney
Internet
一番詳しい
Cockney
Online
RHYMING SLANG のページは分かりやすい
他は、ロンドン情報が主
Cockney Rhyming Slang
このサイトは、「A
slang dictionary with an innovative twist - it is compiled not by
linguists but by slang users ourselves.」が、ウリのようです。
平成13年1月6日
今日は、12月31日に紹介した記事のヘッドライン等の読み比べを書く予定でしたが、明日に延期します。・・・というのも、今日のレッスンに、主な記事や、自分の分からない箇所やおもしろい表現の抜粋をプリントして持っていったのですが、説明を受けると、ちょっとしたヘッドラインにも二重の意味があったりして、纏めるのに時間がかかりそうだからです。
レッスンのなかで、おもしろい話しがあったので、今日はそれについて書きます。記事を捜すうちに Anorak というサイトを見つけました。そこは、ロンドンの Tabloid と呼ばれる大衆紙のおもしろい記事を紹介するサイトです。そのサイトの説明を先生にしているときに、「Anorak の意味は知っているか?」と聞かれました。
Anorak は、アノラック(フードつきの防寒服)の意味以外に、「おたく」の意味があります。OALD6 には、2(Bri, informal) a person who spends so much of their time learning facts or collecting things that most other people think they are boring とありました。その意味も知っていましたが、アノラックとのつながりは、想像もつきませんでした。Train spotting という言葉は知っていると思いますが、spotter たちが防寒着に着るのがアノラックなのです。アノラックは、寒いイギリスで train spotting するには、perfect だが、全然 cool ではない。格好を気にせずに、全然おもしろくないことに長時間費やす人たちが、アノラックを着ているので、「おたく」いう意味ができたそうです。
ちなみに www.anorak.co.uk に紹介されていた記事のヘッドラインは「You Wot?」でした。
平成13年1月7日
昨日のレッスンで、12月31日に紹介した記事の中から、自分の分からない箇所やおもしろい表現について質問したり、自分の意見を言ったのですが、録音を失敗しました。後で聞き返そうと思っていたので、メモも取っていなかったし全然細かいところが思い出せません。でも、気を取り直してしっかり覚えているところだけでも、書いてみます。
一番「ほほー」と思ったのが、L A TIMES のものです。ヘッドラインで Study Finds the Queen's English Has Acquired Common Touches と内容説明した後、Ho, ho, ho, Henry Higgins, the queen's English ain't wot it used to be. と続きます。ヒギンズ教授がイライザに 'h's ( = aiches)の発音を教えるとき、まず "Ha, ha, ha" とHの音を練習させ、次に、"In Hartford, Hereford and Hampshire, hurricanes hardly ever happen." と文の練習をさせます。その後に "Poor Professor Higgins ・・・ "という歌詞のある歌が来ます。この辺をもじって、"Ho, ho, ho, Henry Higgins" としている訳です。クリスマスに関係あることなので、笑い声も、"Ha, ha, ha"から Father Christmas (サンタ・クロース)の笑い声の "Ho, ho, ho" に変えてあるわけです。(笑い声だけは自分が気がつきました。えへん。)
ちょと脱線して、"Ha, ha, ha" は本当におかしいときの笑い声ですが、"Ho, ho, ho" は本当にはおかしくないときの笑い声です。Father Christmas (サンタ・クロース)もおかしくて笑っているわけではないでしょう?ついでに "Hee, hee, hee" とくると childish です。それから"Ha, ha, ha" といえば、"Funny ha ha, or funny peculiar?"(=おかしいって、おもしろい?それとも変?)という表現もあります。
後半の The queen's English ain't wot it used to be. ですが、これは The queen's English isn't what it used to be. を訛って言ったものです。先生によると、what it used to be. という表現も My Fair Lady のなかにでてきたと思うとのことです。XTRA Entertainment とYahoo News のヘッドラインは Queen's English Not What It Used to Be で、ずばり what it used to be が入っています。
ヒギンズ教授が「どうしてイギリス人は正しい英語の教育をしないんだ。」となげいていたのを、新聞は「ヒギンズさん、とうとう女王ですらも正しい英語を話さなくなりましたよ。」と皮肉っぽい表現をしているわけです。
BBC News のヘッドラインに RIP RP とあります。RIP は、墓標にある Rest In Peace (安らかに眠る)で、「Recieved Pronuncation は、すでに絶えた。」と言っているわけです。
Guardian Unlimited のヘッドラインは、The Queen's English of today My 'usband and I でした。女王が初めに言う My husband and I をコックニー訛りで言ったものです。 My husband and I は、他にもでていました。
まだまだ、たくさんあるのですが、今日はあと一つでお終いにします。前に、blimey について書きましたが、4つ見つけました。3つのパターンがありました。
Independent
Cor blimey! Even the Queen no longer speaks the
Queen's English.
Telegraph
Blimey, what became of the Queen's English.
Boston Globe Online
LETTER FROM LONDON
The queen no longer speaks the Queen's English
Commonness creeps into royal accent
LONDON - Blimey, 'er royal 'ighness is a right oul' one of us.
The queen, incidentally, will be spending Christmas at 'ome, with
the 'usband.
CNN.com
Britain's Queen 'don't speak proper'
She is hardly "gor blimey" these days,
Blimey は、スラングで、元は God blind me です。 God と言うのを避けて、「Gawd」「Gor」「Cor」とバリエーションができたようです。「Sh*t」が「shoot」「suger」と変わっていったのに似ていますね。
書ききれなかったことも多いので、もし希望が多ければ、「マイ・フェア・レディ」ネタだけでコーナーを作ってもいいかなと思っています。とりあえずこのネタはこれで終了とします。
以下に新聞等の「ヘッドライン」と「記事のうちでおもしろそうな表現の一部だけ」紹介します。
YORKSHIRE POST
’Definitely not as plummy’ The Queen making her
traditional Christmas Day broadcast.
Actress Elizabeth Richard, from Durham, who does Queen
impersonations, agreed: “She’s definitely not as plummy as
she was.”
XTRA Entertainment
Queen's English Not What It Used To Be.
Winnipeg Free Press
Egads! Her Majesty's not speaking Queen's English.
No one, however, suggests the Queen is dropping 'er aitches like
Eliza Doolittle and requires the help of a modern-day Prof. Henry
Higgins.
The Times
Queen's English is not as it was spoke.
The Australian
Queen's accent becomes more common
The Age
Bed news on royal vowels
Standard speech in southern England has been influenced by
Cockneys. But the Queen has yet to use the glottle stop - purists
will be reassured that her "Hice of Windsor" will not
become the "Ouse of Windsor" in the foreseeable future.
Sunday Mirror
IT AIN'T 'OW YER SAY IT, YOUR MAJ, IT'S WOT YER BLOOMIN'
WELL SAY
Having said that the idea of Her Maj opening her Yuletide speech
with the immortal words "'Ello me old cocks. 'Ow's it
goin?" requires a gigantic leap of the imagination.
ABC.NEWS.com
Study: Queen's Accent Moving With The Times
Will Her Majesty one day, like Eliza Doolite, need some 'elp from
an 'enry 'iggins?
No one, however, suggests the queen is dropping 'er aitches and
agrave; la Eliza Doolittle, and she's unlikely to require the
help of a modern-day Professor Henry Higgins.
BBC News
Queen's speech 'less posh'
The standard accent of England - modern, received pronunciation -
has been subtly influenced by the Cockney accent, for example,
leading to some people dropping the "l" from milk.
And Estuary English has a glottal stop, dropping the
"t", as in "a li'le bi' of breab wiv a bi' of
bu'er on i'".
He told BBC News Online: "If you look at the way Spitting
Image and other professional mimics might stereotype the Queen's
speech with words like House pronounced as 'Hice', that is
something she would be likely to change to reduce the distance
between herself and other people.
"But she is not likely to start dropping her aitches or
using glottal stops."
So for the time being at least, the House of Windsor is unlikely
to become the 'Ouse of Windsor'.
ITN
Queen's English turning cockney.
Yahoo News
Queen's English Not What It Used to Be
Nature
phenomena: The Queen's English dethroned
L A TIMES
Study Finds the Queen's English Has Acquired Common
Touches
Ho, ho, ho, Henry Higgins, the queen's English ain't wot it used
to be.
Independent
Cor blimey! Even the Queen no longer speaks the Queen's
English.
Guardian Unlimited
The Queen's English of today My 'usband and I.
CNN.com
Britain's Queen 'don't speak proper'
She is hardly "gor blimey" these days, but a scientific
study of Queen Elizabeth II's accent shows she no longer speaks
the Queen's English, and is instead starting to sound like a
cockney.
Boston Globe Online
LETTER FROM LONDON
The queen no longer speaks the Queen's English
Commonness creeps into royal accent
LONDON - Blimey, 'er royal 'ighness is a right oul' one of us.
The queen, incidentally, will be spending Christmas at 'ome, with
the 'usband.
Telegraph
Blimey, what became of the Queen's English.
Anorak
You Wot?
平成13年1月23日
昨日先生からメールが来ました。ちょっとおふざけモードでおもしろいので、肝心のP.S.のところだけ引用します。
Did U C page 16 in Monday's Daily Yomiuri ? Jolly hockey sticks, eh, wot wot ? ! |
早速 The Daily Yomiuri (22 Jan)を見ると、1月7日に紹介したL A TIMES の記事が載っていました。ヘッドラインが Study Finds the Queen's English Has Acquired Common Touches で、Ho, ho, ho, Henry Higgins, the queen's English ain't wot it used to be. と続くものです。この記事は、ウェブ上では出だしのところしか見えず、続きは有料になっていたので、勿体ないという気持ちと、めんどうくさいという気持ちもあって保留にしていたのですが、労せずして、しかも無料で読めてラッキー って感じでした。
平成13年1月28日
昨日は、2時間英語のプライベートレッスンをして、夜にはDVDを2本見ました。合計すると4時間21分英語に費やしました。さすがに疲れた。でも、これくらいで疲れるようになってしまったとは! 情けない。
数年前は、英会話学校だけでも週に、最低でも3時間程度は行っていたし、その中の半年ほどは、週6時間25分(気が向けば、もう1〜2時間ほどプライベート・レッスンを追加)レッスンを取っていたので、休みの日が英語漬けでも、なんともなかったのに、・・・。
さて、DVDの話しに戻りますが、昨日はを字幕なしで見てみました。理解度が低いのは、前と変わりませんが、音は前よりよく拾えるようになりました。特に子音がよく聞こえるようになったので格段に楽になりました。
一本目にアシッド ハウス、二本目にファイナル・カットを見ました。一本目は、馴染みのない英語だったので、ほとんど理解不能でした。二本目の英語は、今までに見た映画の中では、自分がロンドンでよく聞いた英語に一番近かったので、聞いててしっくりきました。この映画では、顔のアップのシーンが多用されているので、口や歯のかみ合わせよく見えます。その点では発音の勉強に向いているかも知れません。ただ、英字幕が入っていないので、どこかでスクリプトを捜すか、聞き取れるまで辛抱強く繰り返す必要がありそうです。
ファイナル・カットは気に入ったので、繰り返して見てみるつもりです。でも、どこかにスクリプトないかな?
平成13年3月11日
昨日、ふらっとM善に寄ったら、Cambridge Learner's Dictionary という辞書がでていました。価格は2,200円、CD−ROM付きで2,800円です。CD−ROMにはイギリス英語とアメリカ英語の両方の発音が入っています。CD−ROM付きの方を即座に購入しました。
それから、Ladefoged の Vowels and Consonants という本もでていました。これもCD−ROM付きです。これには、IPAのチャートやイギリス英語とアメリカ英語の発音を始め、発音に興味のある人には堪えられないものが、ぎっしり詰まっています。しかも、このCD−ROMの内容は本を買わない人にもWeb上でアクセスすることができるのです。アドレスは、http://hctv.humnet.ucla.edu/departments/linguistics/VowelsAndConsonants/です。
最近、おもしろい本やCD−ROMがいっぱい出るので、時間が足りなくて困っています
平成13年3月18日
先週から忙しくて、ちょっと体調を崩しました。それで、英語について、新しいことは、ほとんどなにもできませんでした。
先週紹介したラディフォギッド(Ladefoged) の Vowels and Consonants のおもしろそうなところだけざっと目を通したら、久しぶりにギムスン(A. C. Gimson)やオコナー(J. D. O'Connor)の本を読みたくなりました。今読み直してみても新鮮です。やはり名著は一味違いますね。
それから、ラディフォギッドの Vowels and Consonants では、ウェルズ(J. C. Wells) の Longman Pronunciation Dictionary と同じ発音記号を採用していました。(「シュワ記号+r」と「フックト・シュワ」の記号自体には、直接ふれていませんでしたが、・・・。)
これで、英米でのIPAの英音・米音の表記方法の統一化について、少し希望が持てそうです。(Ladefoged とWells は、それぞれアメリカとイギリスを代表する音声学者です。)
いずれにしても、ビデオのベータとVHSの争いのように、消費者を巻き込むのだけは、やめていただきたいものですな。
平成13年3月25日
引き続き忙しくて、体調もなかなか戻りません。英語については、停滞しています。
ギムスン(A. C. Gimson)の Gimson's Pronunciation of English の第6版がでていたので買いました。ついでに、Foulkes & Docherty の Urban Voices (Accent Studies in the British Isles) も別売のテープとともに買いました。テープには、RP( Received Pronunciation 「容認発音」)やEstuary English(河口域英語)も収録されていましたが、残念なことに自分が練習の手本にしたいと思うものではありませんでした。
DVDでは、「ひかりのまち」と「チューブ・テイルズ」を買いました。どちらも、ロンドンが舞台です。最近イギリス映画がたくさんリリースされるので、ロンドンが舞台のものだけでも、見ておこうと思っていたのですが、それすらも大変な状況です。これも、昔のことを思えば贅沢な悩みなのですが、・・・。
それでも、イントネーションについては、少し上達しました。この勢いを殺さないようにしたいのですが、なかなか集中力が続きません。かといって、ただ聞き流しても、イントネーションについては、あまり効果がないようです。
平成13年4月2日
3月25日の迷走録に書いたギムスン(A. C. Gimson)の Gimson's Pronunciation of English の(第6版)におもしろいことが載っていたので紹介します。
よく最近は日本語が乱れたとかいわれますが、イギリスでも同じような傾向が、・・・。(イギリス人がそれを嘆いているかは、学術書なので載っていませんが、・・・。)
第6版の7章の Recent Innovations に「The over-frequent use of a 'checking' high rise on declarative sentences in conversational narratives, where some from of fall would previously have been expected, e.g. (the mark´ indicates the high rise) 'I was at Heath´row yesterday. They've got a new duty-´free shop'. This was a new trend in Australia and New zealand some 20 years earlier,and perhaps even before that in parts of USA. How it has spread to British is a matter of some dispute; suggested strong influences have been the high number of Australasian shop assistants in London and the popularity of Australian soap operas on British television.」とあります。
日本のー「・・・じゃないですかー。」みたいなー、語尾が上がり調子って感じー。・・・でしょうか?
アメリカで始まったイントネーションが、オーストラリア等を経て、イギリスにまで影響を与えているようですな。
日本のも、アメリカの若い世代が使う、上がり調子のイントネーションと、やたら「like」とかを使う流行の影響らしいですが、いやはや、何処もアメリカの影響力の大きなことですな。
次回は、第6版から /u:/ の新しい傾向を紹介しようと思います。
平成13年4月8日
今回は、ギムスン(A. C. Gimson)の Gimson's Pronunciation of English の(第6版)から /u:/ の新しい傾向を紹介します。
第5版にはなかった /u:/ の variant: newer unrounded realization of English /u:/ が、第6版には載っています。
この新しい /u:/ は、日本語のウーに近いので、発音するときに前ほど口を強く丸める必要はなくなりました。
それによって、advice to foreign learners にある日本人へのアドバイスも、should add fairly close lip-rounding.から、 should introduce some more lip-rounding.に変わりました。
参考までに、それぞれの該当個所を引用しておきます。
Advice to foreign learners(第6版)
The unrounded back vowel of Japnese may involve considerably more lip spreding than the newer unrounded realization of English /u:/ and Japnese learners of English should introduce some more lip-rounding.
Advice to foreign learners(第5版)
...and those whose own close back vowel is unrounded, as in Japnese, should add fairly close lip-rounding.
これでまた一段とイギリス英語のほうが、アメリカ英語よりも発音しやすくなりました。最近はイギリス映画も元気がいいので、だれか日本人むけの最新のイギリス英語の発音教材をだしてくれるといいのですが、・・・。
平成13年5月27日
昨日と今日は、今までの疲れがどっとでたので、レッスンもキャンセルして、家でごろごろしていました。この2か月はこれまでに経験したことのないくらいの忙しさでした。特にプライベートで自分の好きなことに全身全霊を込めて自分の実力以上の仕事をしたので、後になって、疲れがどっとでたようです。
そんなわけで、今日は1日家でごろごろしていたので、昨日届いたばかりのテープを聞いてみました。
聞きたいテープがあったので、出版社(南雲堂)に直接注文しておいたものです。せっかく注文するので、ついでに去年の12年12月17日に紹介した『日本人だからうまい英語が話せる!』(河田英一著)のテープも注文しておきました。
肝心の聞きたかったテープとは『イギリス英語のイントネーション』(Intonatuon of Colloquial English)です。テープは著者の J. D. O'Connor と G. F. Arnold によって吹き込まれていました。最初は、G. F. Arnold の方が少し聞き難かったのですが、直ぐに慣れました。ちょっと量が多いので、やりこなせるか心配ですが、イギリス英語のイントネーションとしては、貴重な教材だと思います。
※ なぜ吹き込み者が特定できたかというと、『英語音声学−改訂版−』(Better English Pronuncation)のテープの吹き込み者がJ. D. O'Connor と S. C. Fletcher と John Wells なので、2つのテープを聞き比べると、J. D. O'connor が特定できるわけです。
次回は、『日本人だからうまい英語が話せる!』のテープの感想を書くつもりです。
平成13年6月17日
6月10日に、外国人のRP使用についてのページで『RPの教材である程度上達したら Estuary English(河口域英語)をモデルにするとよいかもしれません』については、近日中に追記する予定です。と書きましたが、なかなかまとまりません。
Estuary English(河口域英語)については、J. C. Wells (ウェルズ) 教授のHPに説明があります。一番参考になりそうなところだけ、下に引用しておきます。
No accent is intrinsically good or bad, but it has to be recognized that the way we perceive accents does play a role in our attitude to others. Different people have differing perceptions. So there are significant numbers of young people who see Estuary English as modern, up-front, high on 'street cred' and ideal for image-conscious trendsetters. Others regard it as projecting an approachable, informal and flexible image. Whereas RP, Queen's English, Oxford English and Sloane Ranger English are all increasingly perceived as exclusive and formal. --Paul Coggle, 1993, in Do you speak Estuary? |
まだ、日本ではRPに比べて認知されていないようで、調べようとしてもあまり手頃な資料が見つかりません。あの Oxford Advanced Learner's Dictionary でさえ初めて載ったのは、最新版(第6版)からです。
最近は、HPの更新のためだけに、勉強しているような状況なので、なにかマンネリ打破の秘策を見つけなくては!そんなわけで、(どんなわけだ?)みなさんからのおたよりお待ちしています。
平成13年9月2日
今度は、1965年に出版された English Pronunciation explained with diagrams という本を入手しました。著者の Raymond Huang という人は、preface によると、A. C. Gimson と Daniel Jones に学んだとあります。しかも、foreword は、あの A. C. Gimson が書いています。今読んでも、30年以上前に書かれたとは思えないほど新鮮です。コミュニケーションのツールとしての英語の急速な普及と、それに伴う言語の学習における発音の重要性を明確に指摘しています。一番簡潔に表現されている一文を引用します。
It is now recognized that the spoken language is to be considered as its prime form and that, however thorough the command of grammatical structures or however extensive the vocabulary, the result is ineffective if it fails in the transmission stage.
肝心の内容の方も、A. C. Gimson が foreword を書いているだけあって優れています。ハミングバードのようにアイコンを使っていますし、30音のように母国語(この本では広東語)と比較して間違いやすいところにフォーカスをあてています。しかも/α:/(father の母音はこうタイプされている。)の説明には共鳴音(resonance)についても触れられている。当該箇所のみ引用します。
Note that the English sound is more retracted and more open than the Chinese sound. The latter is nearer to the centre, and consequently dose not have the same depth of resonance as that of the former.
しかも、うれしいことに使われている英語は、イギリス英語です。ただ、多くの初版にありがちなように誤植があります。そのなかで、1か所重要なところが誤植かどうか気になるので、第3版をインターネット見つけて注文しました。届き次第集中的に練習してみるつもりです。
平成13年9月23日
9月2日に書いた English Pronunciation explained with diagrams の第3版が昨日届きました。購入先(アメリカ)から、「9月10日に発送しました。」とメールが届いていたのですが、テロの影響が心配でした。通常は、1週間もあれば届くのですが、やはりテロの影響で遅れたようです。日本のふつうの家庭にまで、小さな影響が及び、そのことで、テロを少し身近に感じました。(実際、テレビで見ているだけでは、映画のようで全くピンときませんでした。被害に遭われたかたに、謹んでご冥福を申し上げます。)
前に、『1か所重要なところが誤植かどうか気になる』と書いたところは、やはり誤植でした。これで安心して練習できます。(少し自分の理解度に自信がもてるようになりました。)
しかし、いつまでも個々の発音にこだわって、なかなかイントネーションに集中できないのは、我ながら感心できませんが、・・・。
最近の練習は、先ず個々の発音で、口慣らしをして、次に例文をリピーティングするというものです。このときは、意味も考えず聞いたまま、(発音の技術にも意識を向けずに)なるべくそっくりに繰り返すよう努力します。最後に、もう一度個々の発音をおさらいして、音が崩れていないかチェックして終わりとなります。
私の場合、この最終調整をしないと、発音(特に母音)が不安定になるようです。これは、まだ、自分の頭のなかで響く音が一定でないことから起こるように思われます。
グレゴリー・クラーク氏の著書には、そのような例をあげて、「発音をいろいろなモデルから無作為に取り入れると、ネイティブ・スピーカーからは、分かりにくいものになる。」と注意が書かれています。(確か、フルーツ・サラダ・アクセントと書かれていたような気がします。)
はーっ、なかなか自分の思うようには、進歩しません。