がんばれいそげたつなりくん
−京都駅− 1

東寺一帯を火の海にして激闘を繰り広げる2大怪獣。綾奈を求めてひたすら京都駅めがけて前進するイリスに、ガメラは徐々に圧され、やがて2大怪獣はもつれあうように京都駅へ・・・

まさに日本特撮史において、本編と特撮の融合という面における新境地を開いた感のある『GIII』の京都駅シークエンス。徹底して本編中の人間の視点を考慮した特撮シーンは、かつてない迫力と臨場感を感じさせるものだったっす。

また、一部の意図的な映画的虚構を除いて、綿密なロケハンによってキャラクターや怪獣、建築物の位置関係上の「嘘のなさ」が貫徹されていて、作品世界に空前のリアリズムを生み出してるっす。

そこで、この傑作シーンの舞台となった京都駅を徹底的に歩き回り、映画の名シーンの数々の現場を存分に追体験してみました。さらに「一部の意図的な映画的虚構」も例によって徹底解明。

これできみも「ガメラ京都駅博士」!(そんなもんになって嬉しいかどうかは別にして(^_^;)

これが京都駅。まん中が駅施設、向かって右が伊勢丹百貨店、美かって左がホテルグランヴィアとシアター1200。映画では両側はほとんどないかのような扱いだったっすけど(^_^;

京都駅ビルを特徴付けるのは、そのパブリックスペースの多様さ。至る所に通路や抜け道や開放スペースがあり、思い思いに散策したりいちゃいちゃしたりできるつくりになっているっす。映画でも、この建物の独特の構造を活かした画作りが、随所になされていました。

人間側の芝居の主な舞台となる室町小路広場から見た、中央コンコース。御存じの通り総ガラス張り。向かって左側が北(駅前広場や京都タワー)、向かって左側が南(駅構内や東寺)っす。

遥か下に見えるコンコースが、長峰ら一行が列車の運休で足留めされていたところ。イリスの飛来を察知した綾奈は、いきなりコンコースからこの室町小路広場まで、一気にエスカレーターを駆け上がってくるわけっす。

若いもんは体力あるのう。長峰たちは必死で走って追い掛けてるのに、息一つ切らさずにさりげなく追い付いてる倉田も恐いっすけど(^_^;。

なぜこんなところまで駆け上がってこなければならないかは、映画を見ているだけでは謎かも知れないっす。でも、実際の京都駅の構造を知っていれば、それが実に理に適った行動だったってことがわかるんすよ。

南側から見上げた室町小路広場。向かって右方向が中央コンコース、左側が大階段。御覧の通り南北に大きな開口部が開いているっすけど、地上十数メートルの高さっすから別に通り抜けができるわけではなく、ただ開いているだけっす。主な用途は「景色を眺めること」。

実はコンコースをはさんで反対側(東側)にも烏丸小路広場という同じような構造の広場があり、それぞれの広場は、室町通、烏丸通の延長線が駅ビルと交叉する位置に造られていて、京の街の通りが空中を通って駅ビルを貫いているという趣向になっているっす(このページの上から2番目の写真参照)。向こう側の開口部が駅の北(駅前広場・京都タワー)方向、こちら側の開口部が駅の南(駅構内・東寺)方向を見渡せるようになっていて、それほどの高さはないのに結構眺めがいいっす。

手前の階段は、朝倉美都が綾奈から奪った曲玉をかかげて呪文を唱えながら降りていった階段っす。この階段はどこに続いているかというと、駅ビルの南側を東西の端から端まで貫く、とてつもなく長い大バルコニーに続いてます。南側は駅の構内で、通り抜けできないっすから。

この階段の上から長峰らはイリスとガメラの激闘を眺めていたわけっす。

これがその、室町小路広場の南側開口部から眺めた、駅の南側の風景っす。駅構内を跨ぐ陸橋の屋根と八条口(南口)側の新幹線ホームが見えてます。室町小路広場は新幹線ホームの屋根よりもかなり高い位置にあるので、ここなら京都駅の南側の市街(東寺方向)が一望できるっす。

つまり、ここまで上がってこなければ、駅構内や新幹線ホームが邪魔をして、東寺近くに降り立ったイリスを直接見ることはできないわけっす。綾奈がここまでダッシュしてくるのも、駅の構造を考えれば極めて当然。

さらに、そうさせることによって、長峰ら一行をガメラとイリスの突っ込んでくる中央コンコースから自然に退避させ、しかもガメラやイリスに近い目の高さの場所へと導くという、作劇上実に論理的かつ自然な展開を可能にしているっす。

ところで、イリスを狙ったガメラのプラズマ火球が京都の街を火の海にする一連のショットは、ここから見た視点として描かれていたっすけど、ご覧の通り実際の風景では映画で右端近くに見えていた、東寺の五重塔は見えません。方向的にはそれほど間違ってはいないっすけど、実際にはホテルの影になって東寺の五重塔は見えないっす。

でも京都の人間でも、室町小路広場から東寺の五重塔が見えるかどうか聞かれて、即答できる人間はそうはいないんじゃないかと思うっす。見えていても不自然じゃないっすから。

燃える町並みを見て、朝倉さんが「京都が・・・」とか言ってるっすけど、京都駅から南側は、わりと最近開けた下町で、由緒あるものは北側ほど多くないっす。平安京が出来た頃ならともかく、桃山時代には七条から南は何もなかったそうっすから。豊臣秀吉が京都の街の周りに巡らした土塁「お土居」の南端が、今の京都駅の1番ホームだというし。せいぜいあるのは城南宮と東寺ぐらいのもの。あとDX東寺とか(爆)(^_^;

DX東寺に何か思い入れでもあるのか、朝倉さん。昔出演してたとか。

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