海岸線・岩礁地の鳥  オロロン鳥 NO. 1/2
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ウミガラス = オロロンチョウ
ウミガラスの鳴き声から、「オロロン鳥」と呼ばれているウミガラスは絶滅の危機
ついに、ウミガラスの孵化は2年連続でゼロ羽となった。
ウミガラス・オロロン鳥1
ウミガラス・オロロン鳥1
ウミガラスの特徴

種名: チドリ目/ウミスズメ科
    和名 ウミガラス、学名 Uria aalge 、英名 Common Murre
時期: 冬鳥。 北海道では夏鳥。
形態: L440mm、W730mm
    雌雄同色。嘴は黒色で基部にある白線は極めて少なく、
    次列風切羽の先は白色。
夏羽は頭部から頸部、上面は焦げ茶色(光のあたり具合で黒く見える)で、胸部・腹部は白く、脇腹には黒褐色の横斑があり、目の後方には白線がある。スタイルがペンギンによく似ている海鳥。
嘴は黒く、嘴峰41-46mm。 脚は黒褐色で前面褐色、ふ蹠35-40mm。

成鳥の冬羽は、顔が白く、目の後方に黒い線があるが、若鳥と似ている。
ウミガラスの鳴き声は「ウォルルン オロロロ........」。その鳴き声が「オロロン」と聞こえたところから、「オロロン鳥」と呼ばれている。

ウミガラスの主な食べ物捕食の仕方
コウナゴ(イカナゴの稚魚)、イワシ、ギンポ、カジカ、ニシン、イカ...。水中を飛ぶように泳ぐ「水中飛翔」 をして魚をとります。

ウミガラスの世界分布域
全北区。北太平洋や北大西洋の亜寒帯・寒帯海域で、ロシア、北海道北部、北米など。
アイスランド・ウエストマン諸島やサハリンには、数十万羽というウミガラスが生息。カナダ・ファンクアイランドには50万つがいが繁殖。

ウミガラスの日本分布域生息数
1938年、天売島に4万羽以上のウミガラスがいた当時は、北海道東部のユルリ島、モユルリ島や北海道南部の松前小島でも繁殖していたが、
現在、日本では天売島だけで繁殖している、その生息数は次のとおり。
2001年、21羽
2002年、13羽(繁殖数5つがい)
2003年、17-20羽(繁殖数3つがい)が観察されただけ。
2004年、20羽だけ飛来し、繁殖数は観察史上初、0羽だった。
2005年、2年連続で繁殖数が0羽となった。ウミネコの繁殖数0羽。

ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い、絶滅危惧 1A類 (CR)

ウミガラスの夏羽
頭部から頸部、背は焦げ茶色(光のあたり具合で黒く見える)で、胸部・腹部は白く、脇腹には黒褐色の横斑があり、目の後方には白線がある。
ウミガラスの冬羽・若鳥
顔が白く、目の後方に黒い線がある。
成鳥の冬羽と若鳥は似ているため、その識別は難しい。
ウミガラスの生息地
非繁殖期は、海洋上で生活し、繁殖期は、断崖のある海岸、孤島、岩礁に集まる。
ウミガ
ラスは海に面した断崖の岩棚に群れをつくって集団営巣します。
現在、日本でのウミガラスの観察は、好運に恵まれれば、海上から見ることが可能。

天売島のシンボル・赤岩
赤岩は矢尻の形をした標高48m。さらに上部が天売島で一番の標高184.5m。
岩が白くなっているのは、海鳥のフン。以前、いかに海鳥の数が多くいたかが推測できます。
その赤岩の対岸の岩棚で、ウミガラスが繁殖しています。

ウミガラスは、天売島の中でも赤岩対岸(写真上)、屏風岩付近で営巣しているのみ。
屏風岩と赤岩対岸にはウミガラス(オロロンチョウ)のデコイ(模型)を設置し、
オロロン鳥を絶滅の危機から救おう、と環境省と共に努めています。

(ウミガラスは集団で生活する習性があるため、デコイを置いてウミガラスを呼び寄せる作戦)

画面に向かって左半分はデコイで、右半分が本物のウミガラス(7羽観察)です。
デコイ設置以来、2002年、はじめて2つがいが繁殖。

繁殖期は絶壁の岩棚にコロニーをつくり、
求愛、交尾、産卵、抱卵、育雛などの繁殖生活を行います。

ウミガラスの求愛ディスプレイ
ウミガラスの求愛ディスプレイは、オス・メスが相互に「おじぎ」を行います  5月
ウミガラスの繁殖生態
ウミガラスの卵  産卵数、大きさ、形、抱卵、子育て、巣立ち
産卵数、1巣卵数 1卵(6月、産卵)
大きさ、長径 約85mm、短径 約55mm
卵殻の地色・模様、白っぽい地色・緑っぽい地色に、大小の黒褐色の斑点・線模様など様々。
、洋ナシ型。
抱卵、雌雄交代で抱卵を行い、抱卵日数、30〜35日で孵化。
育雛、オスとメスが子育てをする。
巣立ち日数、孵化した雛は半早成性・半離巣性。孵化後21〜30日で巣立つ(8月、巣立ち)。
雛の体重は成鳥の25%しかないため飛べず、滑空して海洋上に出る。

卵の形が洋梨のような形をしている訳は
ウミガラスは巣材を使わず、岩の上へ直接産卵するため、岩棚から転がり落ちにくい洋ナシ形。
卵の尖った方が中心に回転するため(回転範囲は、長径の約2倍)、直線的に転がらない。

ウミガラスの巣立ち
右は成鳥、左は巣立ったウミガラスの若鳥。
約250グラムの若鳥は4年後、繁殖可能な成鳥となります。
ウミガラスの採食生態・水中飛翔
先端が鋭く尖った、ウミガラスの嘴 
ウミガラスの採食方法
海洋上を浮遊から海中に潜って魚を追う、潜水追跡型で捕食をします。

ウミガラスの水中飛翔
ウミガラスの潜水能力は海面下 ふつう 4-8メートル。ときには10メートル以上。100mの記録もある
その素晴らしい潜水能力をもつウミガラスは、小さい翼(翼長 約200mm)を羽ばたいて、水中を飛ぶように泳ぐ水中飛翔をし、
コウナゴ(イカナゴの稚魚)、イワシ、ギンポ、カジカ、ニシン、イカなどを主に捕食し、海底にいる甲殻類なども捕食します。

水中飛翔で捕食する瞬間

写真上 水中飛翔をして魚を捕らえる瞬間
写真右 嘴に魚を捕らえた
飛ぶのは不得手で、水中飛翔は得意なウミガラスと、飛ぶのは得意で、水中に潜ることができないウミネコ。
かれらの体の比較は次のとおり.....
ウミガラスは、L440mm、W 730mm 翼長200-221mm 体重1,000gに対し、
 ウミネコは、L470mm、W1,200mm 翼長340-390mm 体重 500-600g。

ウミガラスが潜水の名選手である訳は.....
ウミガラスの全長や翼はウミネコより小さいが、それは水中で水の抵抗が少なく、体重が2倍以上あるため、
ウミガラスは潜るのが得意。

その潜水の名選手が、絶滅の危機に追い込まれた訳は、次ページのオロロン鳥 絶滅の危機

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