海岸線・岩礁地の鳥  ウミウ・ヒメウ・ウミスズメ

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ウミウ ヒメウ ウミスズメ

岩礁のウミウ
種 名 ペリカン目/ウ科/ウミウ 海鵜
    phalacrocorax capillatus
    Japanese cormorant

時 期 日本海側では、九州北部以北、
    太平洋側では、東北地方北部以北で留鳥。
    他の地域では、冬鳥。

形 態 L840mm W133mm カワウより大きい。
    嘴峰63-73mm 翼長312-350mm
    尾長140-150mm ふ蹠60-68mm
    
雌雄同色。
    成鳥は、カワウに似いているが、その違いは、
    嘴、眼の周囲の裸出した肌を取り巻く白色帯に
    緑黒色の斑点があること、肩羽と雨覆は
    青緑銅で羽縁が暗緑色であること、
    下面がカワウより緑色を帯びた光沢がある。
    
鳴き声:「グルルル」「グァグァグァ」

波の荒い海にある岩礁で休息しているウミウ 6月
生  態
分 布 旧北区。
    沿海州、サハリン、日本など、東南アジアの日本海沿岸に繁殖分布する。
    日本では、北海道、本州、九州の海岸や島で繁殖し、冬は全国の海岸で生息する。
    長良川の鵜飼いに使われる鵜はウミウ。
ウミウのシルエット
生息地 岩礁・断崖の多い荒海や、外洋に面した海岸に生息する。
    島嶼や、海岸の岩礁・絶壁に集団で営巣する。
    日中、岩礁で小集団がよく休息する。

    カワウは、内陸の淡水、干潟、浅い海で生息するのに対し、
    ウミウは、外海の島や、荒波が打ち寄せる岩礁で生息する。
飛び立つウミウ
採 食 潜水して主に底性の魚類を採食する。
    潜水する鳥類は体が重いため、水面では体がほとんど沈み、
    首だけが出ているように見える。

    体が重いウミウは、助走して飛び立つ。
ウミウの繁殖地
ウミウの繁殖地

高い岩礁の上にウミウの巣がたくさん見られます。
抱卵中のウミウおり、雛も育っています。

ウミガラスやオオセグロカモメと混成営巣するところもある。天売島では、ウミウがウミガラスの繁殖地を占領する。

繁 殖 斑初期は、4-7月。 年に一回繁殖する。 一夫一妻。 つがいで分散し、コロニーに営巣する。
    巣づくり: 岩礁・断崖の上に枯れ草・枝、枯れ葉などを巣材にして巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、4-5個。
    抱卵: 雌雄交代で抱卵する。
        海で採食して胃に蓄え、抱卵中のつがいの相手にくち移しで餌を与える。
    孵化: 孵化日数は、約34日で孵化する。 雛は晩成性。 抱卵期も巣材を調達する。
    育雛: 雌雄で給餌・子育てをする。 雛は頭を揺らしながら親に餌をねだる。
        雛への給餌は、雛の頭を親鳥の嘴に入れさせ、半消化の魚を食道まで吐き戻して与える。
        雛が成長するに連れ、親と同じ食べ物になる。
        日射が強くて暑い日は、親鳥が嘴で雛に水をかけて、冷やしてあげる。

    年間をとおして群で生活することが多い。
    繁殖期は一定の距離を保って集団営巣する。
    越冬期は、日中、分散して採食し、夜間は集団でねぐら入りする。
    ねぐらと採餌場を往復するとき、V字型の編隊飛行するを組むが、カワウほど上空を飛ばず、水面を飛ぶことが多い。
    冬は、ヒメウに混じることもある。

ヒメウ
種 名 ペリカン目/ウ科/ヒメミウ 姫鵜
    phalacrocorax palagicus Plagic Cormorant

時 期 北海道では、留鳥。
    本州以南では、冬鳥。

形 態 L730mm W98mm. カワウより小さい。
    嘴峰47-55mm 翼長248-271mm
    尾長140-161mm ふ蹠47-54mm
    
雌雄同色。
    成鳥は、全体に金属光沢のある藍黒色。
    繁殖羽は、頭部に冠羽があり、頸には白い糸状の羽毛があり、
    腰に白い三角斑がある。裸出した皮膚が鮮やかな赤色になる。
    幼鳥は、全体に黒褐色で金属光沢がない。
    
鳴き声:「グゥゥゥ」

生   態
分 布 全北区。
    沿海州、カムチャツカ半島、コマンドル諸島、アリューシャン列島、千島列島、アラスカなどの亜寒帯・寒帯に分布し、
    同地域の海岸や島などに繁殖分布する。
    日本では、北海道の太平洋側・日本海側に繁殖分布する。 冬は、南下した個体が本州中部以北に生息する。

生息地 岩礁・断崖の多い荒海に面した海岸に生息する。
    島嶼、岩礁、断崖で集団営巣する。ウミガラス、ウミウ、オオセグロカモメと混成営巣するところもある。
    冬は2-3羽の小集団で生活し、港湾に入ることもある。

採 食 海上を泳いだり、潜水して採食する。
    主に魚類を採食し、カニ類、エビ類なども食べる動物質食。

繁 殖 繁殖期は、5-7月。 年に一回繁殖する。 一夫一妻。 
    巣づくり: かけ草・枝、海草を巣材にして岩の窪みに巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、2-6個、3卵が多い。
    抱卵: 雌雄交代で抱卵する。
    孵化: 約30日で孵化する。
    育雛: 雌雄で子育てをする。 雛は生後、48-58日で巣立つ。

    年間をとおして群で生活することが多い。

    繁殖期、冬期、飛行などは、ウミウとほぼ同じ。

ウミスズメ 絶滅危惧1A類(CR)
ウミスズメ
種 名 チドリ目/ウミスズメ科/ウミスズメ 海雀
    Synthliboramphus antiquus
    Ancient Auk

時 期 東北地方以北では留鳥。 南では冬鳥。

形 態 
L260mm W460
    マダラウミスズメとほぼ同じ。
    嘴峰16-19mm 翼長120-130mm
    尾長32-37mm ふ蹠24-27mm.
    雌雄同色。
    頭頂に冠羽があり、その両側は白い。
    顔から頭にかけて幅広の黒帯があり、
    上胸の黒帯につながる。後頸に白い羽毛があり、
    背から下の上面は灰褐色。顎と喉の下面は、
    白い。腹の側面は黒い。
    冬羽は、前頭の羽毛が短く、冠羽がない。
    鳴き声:「ピュピュ」
潜水を繰り返して採食していたウミスズメ  5月
生   態
分 布 全北区。
    日本海沿岸、千島列島、カムチャツカ半島南部からアリューシャン列島、カナダ沿岸にかけて繁殖分布する。
    冬は、中古国東海岸から台湾沿岸、カリフォルニア半島まで南下する。
    日本では、本州北部以北に繁殖分布し、冬は、ほぼ全国の沿岸で見られる。
    コウミスズメ、エトロフウミスズメ、マダラウミスズメ、ウミオウムといることもある。
    天売島では、1959年ごろは500羽ほど生息していたが、1963年にはほとんど見られなくなった。現在、少数が繁殖している。

生息地 岸から数kmの沖合の海上に生息し、繁殖期に岩礁や島に上陸する程度。 海荒れのときには、港湾にも入る。

採 食 海上に浮かび、活発に潜水をして採食する。
    潜水して水中飛翔をしながら、魚を追いかけて採食する。
    主にオキアミなどのプランクトン性の甲殻類を採食し、イカナゴなどの小魚類、貝類も採食する。

繁 殖 繁殖期は、5-7月。 一夫一妻。 
    
    巣づくり: 巣は、岩礁や、樹林、草地の地上や、岩のすき間などの、深さ20cmの窪みに枯れ草などを敷いて巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、2個。 第1卵産むと1週間ほど巣を離れ、その後、巣に戻って第2卵を産む。
    抱卵: 雌雄交代で抱卵する。 夜間に交代。
    孵化: 34-42日で孵化する。 雛は半早成性の半離巣性。
    育雛: 孵化後、2-3日は親鳥に抱雛される。 親鳥は雛へ給餌をしない。
        夜間、雛は親に連れられて巣立ち、夜明けには岸から10km以上も沖合にいる。

    非繁殖期は、3-4羽の小群で生活する。 大きい群をつくることもある。 50-60kmも沖合に出る。
    繁殖期は、コロニーに集まる。
    カムチャツカ半島に3,500つがい、朝鮮半島には1,000-5,000つがい、アラスカには、50,000万つがいのコロニーがある。

絶滅指標 
絶滅危惧 IA類 (CR)

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