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<三陸海岸大津波>
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著者 吉村 昭
文春文庫
定価 (本体438円+税) |
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2011年3月11日に東日本大震災が発生し、3ケ月以上たつが、いまだに行方不明者の捜索が続き死者と合わせると2万人を超す。福島第一原発事故も解決への道筋が見えず、東京都内の放射能汚染も心配になってきた。そんなときに、この本を読んだ。
著者が三陸沿岸を旅した際に津波の話を聞き、気になって調べはじめその内容を地方史として残したいという記録小説だ。明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の3県にわたる三陸海岸は3回大津波に襲われた。そのたびにおこった悲劇、体験談や子どもの作文を基に、津波の前兆、被害、救援の状況を生々しく記している。生死を分けた原因、この歴史から学ぶものは大きい。
急に豊漁になる、井戸水がにごる、井戸が枯れる、そして地震、大きな(海底が見えるくらいの)引き潮、ドーンドーンという大砲のような音、その後大津波が数回・・教訓は荷物を持たずに高いところへ必死で早く逃げること。ところが、昭和8年の津波は、「天候が晴れだし、冬だから津波はこない」と深夜の地震の後また布団に入った後にやってきた。昭和35年は、チリ地震によるもののため地震はなかった。明治以前にも何回も津波があった地域だという。海の近くではなく、高台に住むという教訓を守ってきた地域は、今回の東日本大震災でも助かった。それでも、海の近くに住んできた人々は、明治35年の被害状況の絵と同じような悲惨なめにあってしまったように思う。
津波のことを「よだ」とよび恐れてきた歴史のある地域、「海の壁」「のっこのっことやってくる」と表現されている。この3回の大津波を経験した方の「津波は、時世が変わってもなくならない。必ず今後も襲ってくる。しかし、今の人たちは色々な方法で十分警戒しているから、死ぬ人はめったにないと思う」という言葉が最後にあるが、人間の無力、無念を感じ、どうしようもない気持ちになった。
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